会津若松のさざえ堂 登録運動の有無:なし 登録の可能性評価:★(低) 所在地:福島県会津若松市 |
|
【世界遺産に登録できるか?】 会津若松のさざえ堂は、 正直言って世界遺産は困難でしょうが、 日本の特異的な木造建築として単体で運動しても面白いと思います。 まず先にさざえ堂の長所ですが、 それは何においても建築の独創性でしょう。 本来さざえ堂というのは江戸時代に東日本で流行った宗教建築の一形態で、 観音像を祀った堂内を巡るという参詣用の建物のことですが、 中でも会津若松のさざえ堂が独創的で、 内部が二重らせん構造になっています。 これは「木造二重螺旋建築」としては世界で唯一のものだと言われています。 そしてこういった巧妙なからくりが、 防塞設備などではなく、 宗教建築において出現したというのも意味深いことだと思います。 チェコの「ゼレナ・ホラの巡礼教会」が登録されているのだからさざえ堂も、という訳にはいかないでしょうか? しかしさざえ堂にはいくつか問題点がありまして、 一つには、 世界遺産になるにはあまりにも小規模だということが挙げられるでしょう。 世界遺産はある程度の規模があることが重視される傾向にあるようですので、 直径6メートル強、 高さ16.5メートルの建築物一棟だけでは、 世界的に顕著な価値を有しているのか判断するときに難が付けられる可能性があります。 次に明治時代の廃仏毀釈や補修工事によって、 かなりの部分に手が入っている点も問題でしょう。 外観や独特の二重螺旋は1796年の創建以来変わりないと言われていますが、 賽銭を集める独特の樋の構造が失われていますし、 宗教施設として見た場合に肝心な観音像も残されていません。 またさざえ堂は元から単体の建築物だったのではなく、 正宗寺という寺の付随建築物だったものが、 廃仏毀釈によって今では一棟だけで残っているという状態で、 これも問題視されるかもしれません。 さらに内壁がスプレーやペン、チョークなどによる無数の落書きの被害を受けており、 保全状況は決して良いとは言えません。 以上のことから建築的特徴を見たら優れたものと言えても、 世界遺産登録は可能性の話というだけで、 現実には難しいと思います。 しかし将来、 日本から新しい分野での世界遺産候補を出す必要性が迫られた時などに、 珍しい建築物としてさざえ堂の名前が挙がることも考えられるので、 ここで紹介しました。(著=浦に〜と) 2003/04/13 |
|
目次へ戻る トップページへ戻る |