瑞龍寺



登録運動の有無:2006〜07年、文化庁の暫定リスト公募に応募

登録の可能性評価(低)

所在地:富山県高岡市


【世界遺産に登録できるか?】
  瑞龍寺は正式には曹桐宗高岡山瑞龍寺といい、
加賀藩二代藩主前田利長の菩提を弔うため、 三代藩主利常が名工、 山上善右衛門嘉広を加賀藩に招き、 利長の五十回忌(1663)のために約二十年の歳月を要して建設しました。 当時は寺の周囲に壕をめぐらし、 寺というより城郭のような建築でした。 そして広山恕陽禅師が開山しました。

  この瑞龍寺の構造はとても独特です。 まずこの地域は雪が多いので、 建物は雪の重さに耐える太い柱が必要ですが、 瑞龍寺の堂内には、 少しでも内部を広く見せるため、 堂内になるべく柱を立てないように梁で力を分散させています。 また屋根は、 瓦の隙間の水が凍結し瓦を破損する心配が無いように、 すべて鉛で葺いています。

  瑞龍寺は加賀藩百二十万石の威光を示す大寺院であるばかりでなく、 江戸初期の典型的な禅宗建築群であり、 仏殿、法堂、山門が国宝に、 総門、禅堂、高廊下、回廊、大茶堂が重要文化財に指定されています。 江戸時代になって新たに建設された建築が国宝になる例は極めて少なく、 そのことを見ても、 瑞龍寺がいかに価値のある寺院建築か解かると思います。 またこの寺院は保存状態がよく、 当時の遺構をほとんど完璧に伝えています。

  このように瑞龍寺はすばらしい建築ですが、 おそらく世界遺産は無理でしょう。 しかしこれと同じ物が外国にあったら世界遺産になってもおかしくない物件です。 ですからここに紹介しました。(著=収斂)

2003/02/08



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