長崎市街の文化財 登録運動の有無:大浦天主堂、旧羅典神学校などは07年に「長崎の教会群とキリスト教遺跡群」として、旧グラバー住宅、小菅修船場跡などは09年に「九州・山口の近代化産業遺産群」として、暫定リスト記載! 登録の可能性評価:★★(中) 所在地:長崎県長崎市 |
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【世界遺産に登録できるか?】 最近、 長崎のキリスト教会建築を世界遺産にしようという運動がありますが、 その運動は、 あくまで対象物件を長崎県内にあるキリスト教会建築に限定して展開されております。 しかし活動が始まってだいぶ経っているにもかかわらず、 未だに世界遺産化に向けた代表的な教会の選定がされておらず、 物件も個数も絞りきれていません。 これは世界遺産運動が掛け声だけに終始している証拠であり、 具体的な活動をしているとはとても思えません。 私は、 キリスト教会建築だけでは、 必ずしも長崎の歴史・文化を説明し代表化できるものではないと考えております。 むしろ多様な長崎の文化財を世界遺産として登録させる方がはるかに合理的であり、 当然であると考えました。 私の考えでは、 長崎の文化財の基本は、 出島と大浦天主堂と諏訪神社と崇福寺と中島川に掛かる8つのアーチ式石橋群、等々が該当し、 ほかに興福寺周辺の寺町(13箇寺の寺院群)一帯と館内と東山手をバッファーに指定し、 幾つかあるオランダ坂の代表的なものをそれに含めます。 同様に大浦天主堂のバッファーとして、 グラバー園にある擬洋風近代建築群(旧グラバー邸、旧ウォーカー邸、旧リンガー邸、旧オルト邸、旧三菱第二ドックハウス、旧自由邸、旧スチイル学校)を含めることが可能でしょう。 さらに浦上天主堂と平和記念像と山王神社の片足鳥居を、 原爆遺構としてではなく歴史遺構として運動するのです。 原爆という不幸な歴史があったとしても、 いつかはそれも歴史の一部になってしまう時が来ます。 もうそろそろ原爆遺構を歴史遺構に見なす時期に来ていると感じます。 以上の物件は、 うまく運動すれば十分に世界遺産を狙える物件であると考えております。 ただし問題点もあります。 まず周辺環境の美観が悪すぎるのです。 長崎に限った話ではないのですが、 坂が多い長崎市内の景観は雑然さを特に強く感じます。 もう少しうまく整備してから運動すると良いでしょう。 さらに長崎の文化財をもっと広域的に主張し、 五島列島にある教会建築群まで含めるという方法も有効かもしれません。 この広域的な長崎の文化財の世界遺産運動の場合は、 教会建築が分布する平戸から天草辺りまで範囲を広げなくては意味が無く、 長崎県だけではなく熊本県や福岡県とも協議する必要が出てくるでしょう。 つまり「長崎街道の文化財」みたいな手法も一つの方法ではないでしょうか。 私はそれはそれで不可能ではないと考えています。 少なくとも現段階では長崎の景観は悪すぎますし、 当分の間は今のままだろうと思うからです。 ただこの方針でも、 長崎の教会建築群の中から模範的該物件を提示する作業を急ぐ必要はあります。 やはり方針に沿って戦略を練らなくてなりません。 つまり長崎の文化財を世界遺産にするためには、 肝心の教会建築の選定作業に係っているのではないでしょうか。(著=収斂) 2003/03/24 |
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