北海道・東北地方の世界遺産登録運動地リスト

▼遺産名の帯が青は主に文化遺産からなる場所、緑は主に自然遺産からなる場所です
▼現況は、過去2年間の動きが不明のもの、中止を明言していないものは「休止中」としました
▼登録の可能性は、弊サイトが独断で判断したものであり、各遺産の価値を絶対的に決定づけようというものではありません


函館要塞 現況:休止中 可能性:★★★
北海道/函館市

経緯
●06年以前に登録運動開始 ※06年9月の「はこだて市史編さん室だより第7号」に「函館山要塞という近代土木遺産に着目し、世界遺産の候補にどうかという声すら聞こえる」との一文あり。

特徴
明治半ば、日露戦争を想定した日本政府は、津軽海峡防衛のための要塞を函館山に築いた。以後、太平洋戦争期にかけて、レンガ壁や砲台座、コンクリート補強された地下壕などが建造された。戦後になるまで市民の立入りが禁じられたこともあり、保存状態は良好。[11]


函館の夜景 現況:休止中 可能性:★★★
北海道/函館市

経緯
●06年、「函館の夜景を世界遺産にする会(現・函館山から眺望する夜景と街並みを世界遺産にする会)」発足。

特徴
長崎、神戸とともに「日本三大夜景」に数えられる。砂洲から函館山のふもとにかけて広がる市街地、湾曲した海岸線、遠方の山並みなどが、ほかにはない独特の夜景を見せ、とくに函館山と函館港からの眺めが美しい。[9]


紅葉山49号遺跡 現況:休止中 可能性:★★★
北海道/石狩市

経緯
●03年、石狩市の「広報いしかり」に、「『北の縄文回廊づくり構想』のなかで、青森県三内丸山遺跡などとともに『石狩紅葉山49号遺跡も世界遺産にしたらどうか!』というニュースが飛び込んできました」との一文が記載される。
●09年、「北海道、北東北、その他地域の縄文遺跡群」が日本の暫定リストに記載されたが、本件は構成資産に含まれなかった。

特徴
札幌市との市境にほど近い石狩市南部にある縄文遺跡。およそ4000年前の川の跡から、サケの捕獲に使ったと思われる木柵の跡と銛(もり)が見つかった。それまで、縄文人がサケを食していたことは知られていたが、捕獲施設に集めたサケを銛で突くという当時の漁労方法が、初めて明らかにされた。[12]


空知の炭鉱関連施設 現況:休止中 可能性:★★★
北海道/夕張市、美唄市、歌志内市、芦別市

経緯
●07年、北海道の高橋はるみ知事が、道議会一般質問で、夕張市をはじめとする空知管内の炭鉱関連施設群を世界遺産に登録することについて「地元の市民グループなどと協議しながら、取り組みを進めていきたい」と述べる。

特徴
北海道空知支庁はかつて国内最大の石炭産地として、100もの炭鉱を数え、現在も中・南部を中心に炭鉱関連施設が残る。国指定の重要文化財はないが、1890〜1970年に稼動した「旧北炭夕張炭鉱」(夕張市)は、坑道やアーチ橋など7件が国の登録有形文化財になっている。[2][11]


大雪山 現況:運動中 可能性:★★★
北海道/富良野市、上川郡上川町、上川郡東川町、上川郡美瑛町、空知郡上富良野町、空知郡南富良野町、河東郡士幌町、河東郡上士幌町、河東郡鹿追町、上川郡新得町

経緯
●98年、「大雪と石狩の自然を守る会」の会報「ヌタプカムシペ」に「大雪山を世界遺産に−'98大雪山フォーラムによせて−」が掲載される。
●03年、環境省の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で国内19か所の最終候補にノミネートされるも、暫定リストには記載されず。
●詳細は大雪と石狩の自然を守る会

特徴
神奈川県とほぼ同じ面積23万haの日本最大の国立公園。北海道最高峰の旭岳(2290m)を中心に複数の火山からなる。エゾナキウサギ、ダイセツタカネヒカゲ(チョウの一種)など氷河期の遺存種が多い。高山植物は固有種8種を含む300種が確認されている。[4][6]


摩周湖 現況:運動中 可能性:★★★
北海道/上川郡弟子屈町

経緯
●99年、弟子屈町商工会青年部例会で摩周湖の世界遺産登録へ向けた活動を提案。
●03年、環境省の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で、摩周湖を含む「阿寒・屈斜路・摩周」が国内19か所の最終候補にノミネートされるも、暫定リストには記載されず。
●詳細は摩周湖世界遺産登録実行委員会

特徴
面積1910ha。標高500〜700mの急なカルデラ壁に囲まれたカルデラ湖。透明度が高いことで知られる(1931年調査で41.6m、2002年調査で18m)。流入・流出河川のない貧栄養湖だが、ニジマスが移植され、そのエサとして移入されたアメリカザリガニも繁殖している。[4][6]


阿寒湖 現況:運動中 可能性:★★★
北海道/釧路市

経緯
●03年、環境省の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で、阿寒湖を含む「阿寒・屈斜路・摩周」が国内19か所の最終候補にノミネートされるも、暫定リストには記載されず。
●12年、阿寒観光協会が登録を目指し運動開始。同年は「阿寒湖のマリモ」の特別天然記念物指定60周年にあたり、地元で国際シンポジウムなどの記念行事が企画された。登録運動はその一環として始動(12/06/03毎日新聞)。

特徴
マリモは球形の集合体をつくる藻類。日本では阿寒湖のほか琵琶湖などにも生息し、ヨーロッパにも分布する。しかし、阿寒湖のものは直径20〜30cmほどに成長することがあり、これほど巨大化するマリモはほかでは知られていない。阿寒湖と並ぶ世界的な群落がアイスランドのミーヴァトン湖にあるが、ここでは12cmほどにしかならない。


北海道東部の窪みで残る大規模竪穴住居跡群 現況:運動中 可能性:★★★
北海道/北見市、標津郡標津町

経緯
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募に応募。08年、記載が見送られた。

特徴
およそ7000年間にわたり居住が続けられた竪穴住居群。国内の竪穴住居遺跡はふつう地下に埋没しているが、本件は寒冷地にあるため腐食土層の発達が遅く、地表から確認できる。文化庁に応募した常呂(ところ)遺跡群と標津(しべつ)遺跡群から、合計5000もの住居跡が見つかっている。[1]


クリリスキー自然保護区と南千島自然保護区 現況:運動中 可能性:★★★
北海道/根室市、国後郡留夜別村、国後郡泊村、色丹郡色丹村

経緯
●90年代、国立クリリスキー自然保護区のエフゲニー・グリゴリエフ区長が北方四島などの世界遺産登録の運動を開始。
●00年、クリリスキー自然保護区が、北方四島とウルップ島を登録する申請書を作成。しかし、「日本との領土交渉に影響を与えかねない」という理由で、上部機関からは認められなかった。(大泰司紀之・本間浩昭著『カラー版知床・北方四島 流氷が育む自然遺産』岩波新書、2008)
●03年、世界遺産寒帯ワークショップ(ロシア・サンクトペテルブルク)にて「千島列島は、自然遺産の4つの登録基準すべてに該当するものとして登録できる可能性がある」との評価を受ける。
●05年、「知床」が世界遺産に登録。IUCNは「知床と近海の島々が同様の特徴を備えていることは、日本とロシア双方の研究者が認めるところであり、日本、ロシア両政府は『世界遺産平和公園』の設定も含めた保全促進を行うべき」と提言。
●08年、NPO法人「日露平和公園協会」設立。「知床」の登録範囲を、北方四島とウルップ島まで拡張することを目指す。北方領土の帰属問題が未解決のままでも、ロシア領の「ウルップ島」を登録範囲に入れれば、日本・ロシアの共同登録物件にできるというのが狙い。しかし環境省の鴨下一郎大臣(当時)が、「北方領土は日本固有の領土。(遺産拡張をロシアと)共同で推薦するのは適切ではない」と難色を示す(08/03/24毎日新聞、08/04/01毎日新聞)。
●詳細はロシア自然遺産保護基金。暫定リストへの記載の可能性がある自然地域として掲載されている。

特徴
ロシア政府が設定している保護区。知床と同様、流氷が運ぶプランクトンに始まる「海から陸へ」の生物循環が見られるが、沿岸部に道路や集落がないため、より原生状態が保たれている。IUCNレッドリストで“絶滅危機種”のシマフクロウや、クジラなど海獣類の生息密度も高い。[13]


北海道、北東北、その他地域の縄文遺跡群
※単独で運動していた「三内丸山遺跡」「大湯環状列石」を含む
★暫定リスト記載物件
現況:運動中 可能性:★★
北海道/函館市、伊達市、茅部郡森町、虻田郡洞爺湖町
青森県/青森市、八戸市、つがる市、東津軽郡外ヶ浜町、上北郡七戸町
岩手県/二戸郡一戸町
秋田県/鹿角市、北秋田市

経緯
●03年、青森県の木村守男知事(当時)が、北海道・青森県・岩手県・秋田県の縄文遺跡群の登録構想を発表(05/10/11東奥日報)。
●04年、秋田県鹿角市で開かれた「縄文シティサミットinかづの」で、「大湯環状列石」など日本の縄文遺跡を世界遺産に登録する取組みが提唱される。
●05年、青森県の三村申吾知事が、「三内丸山遺跡」など青森県の縄文遺跡群の登録構想を発表。03年に木村知事が構想した4道県での共同運動から、青森県単独の運動へ方針転換された(05/10/11東奥日報)。
●06年、「縄文遺跡群」(青森県)と「ストーンサークル」(秋田県)が、それぞれ文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●07年、「縄文遺跡群」(青森県)と「ストーンサークル」(秋田県)に、北海道・岩手県の縄文遺跡を加えた「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、文化庁の第2回暫定リスト公募に応募。08年にリスト記載の認定を受ける。
●09年、日本の暫定リストに正式記載。ちなみに、今後4道県以外からの追加の可能性を残すため、「北海道、北東北、その他地域の縄文遺跡群」という名称での記載となった。
●詳細は北海道教育委員会青森県岩手県二戸郡一戸町

構成資産は次の15件
1.北海道/入江・高砂貝塚
2.北海道/北黄金(きたこがね)貝塚
3.北海道/鷲ノ木遺跡
4.北海道/大船(おおふね)遺跡
5.青森県/三内丸山遺跡
6.青森県/小牧野遺跡
7.青森県/亀ヶ岡石器時代遺跡
8.青森県/田小屋野(たごやの)遺跡
9.青森県/大平(おおだいら)山元I遺跡
10.青森県/二ツ森貝塚
11.青森県/長七谷地(ちょうしちやち)貝塚
12.青森県/是川(これかわ)石器時代遺跡
13.岩手県/御所野遺跡
14.秋田県/大湯環状列石
15.秋田県/伊勢堂岱(いせどうたい)遺跡

特徴
およそ1万年間続いた縄文時代の集落・宗教遺跡群。北海道・北東北は日本で最も縄文遺跡が多く見つかっている地域。国内最大の縄文集落遺跡「三内丸山遺跡」をはじめ、貝塚やストーンサークルなど、縄文時代の全期を網羅する多様な遺跡が保存されている。[1]


「平泉—仏教浄土を表す寺院群、庭園群、考古遺跡群」の拡大登録 現況:運動中 可能性:★
岩手県/西磐井郡平泉町

経緯
●00年、「平泉を世界遺産にする会」設立。
●00年、文化財保護審議会で日本の暫定リストへの記載が内定。翌年、正式記載。
●06年、日本国政府がユネスコ世界遺産センターに登録推薦書を提出。推薦名は「平泉—浄土思想を基調とする文化的景観」。
●08年、第32回世界遺産委員会での審議で、「登録延期」に。
●10年、日本政府が登録推薦書をユネスコ世界遺産センターに提出。
●11年、世界遺産に登録。しかし、推薦した6資産のうち「柳之御所遺跡」が選外になったため、菅野洋樹平泉町教育長は「追加登録の余地がある。学問的な調査を積み重ね、ステップを踏んでいきたい」と述べた(11/06/28河北新報)。

特徴
柳之御所遺跡では複数の大型建築と道路の跡が見つかり、出土品は種類が豊富で量も多い。とくに京都などで儀式に用いられた使い捨ての食器「かわらけ」の多さが、この遺跡の性格を暗示している。時代は12世紀後半で、奥州藤原3代秀衡(ひでひら)の時代にあたる。[2]


九州・山口の近代化産業遺産群
★暫定リスト記載物件
現況:運動中 可能性:★
岩手県/釜石市
静岡県/伊豆の国市
山口県/下関市、萩市
福岡県/北九州市、大牟田市
佐賀県/佐賀市
長崎県/長崎市
熊本県/荒尾市、宇城市
鹿児島県/鹿児島市

経緯
●06年、経済産業省が新日鉄八幡製鉄所(福岡県)などの近代遺産の世界遺産登録支援を表明(06/08/21朝日新聞)。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査。08年にリスト記載の認定を受ける。ただしこの時点では、釜石市の「橋野高炉跡」は含まれていなかった。
●07年、釜石市が九州・山口近代化産業遺産群専門家委員会のスチュアート・スミス副委員長を招いて講演会を開催。
●09年、日本の暫定リストに正式記載(ただし「橋野高炉跡」は含まれず)。
●09年、暫定リスト記載を受け、釜石市が働きかけを加速。2月以降、4度にわたり外国人専門家を招いてアピールを行う。
●09年、遺産価値を検討する専門家委員会が、世界遺産評価基準への適合性などを評価した提言書をまとめ、候補を6県22件から7県28件に再編。岩手県釜石市の「橋野高炉跡」が加わった。
その一方、文化庁への応募時に候補に含まれていた「旧伊藤伝右衛門邸」「旧三井田川鉱業所伊田竪坑櫓」「伊田竪坑第一・第二煙突」(福岡県)、「旧高取家住宅」(佐賀県)、「北渓井坑(ほっけいせいこう)跡」(長崎県)、「新波止(しんはと)砲台跡」(鹿児島県)が外された(09/10/23佐賀新聞)。
●11年、近代化産業遺産群の世界遺産登録推進協議会総会開催。構成資産を見直し、計30件に再編した。
●詳細は橋野高炉跡を世界遺産へ

構成資産は次の30件
1.岩手県/橋野高炉跡
2.静岡県/韮山(にらやま)反射炉
3.山口県/前田砲台跡
4.山口県/萩反射炉
5.山口県/恵美須ヶ鼻(えびすがはな)造船所跡
6.山口県/萩城下町
7.山口県/大板山たたら製鉄遺跡
8.山口県/松下村塾(しょうかそんじゅく)
9.福岡県/官営八幡(やわた)製鉄所 旧本事務所
10.福岡県/官営八幡製鉄所 旧修繕工場
11.福岡県/官営八幡製鉄所 旧鍛冶工場
12.福岡県/官営八幡製鉄所 遠賀川水源地ポンプ室
13.福岡県/三井石炭鉱業株式会社三池(みいけ)炭鉱宮原坑施設
14.福岡県/三池炭鉱鉄道敷
15.福岡県/三池港
16.佐賀県/三重津海軍所跡
17.長崎県/長崎造船所向島第三ドック
18.長崎県/木型場(長崎造船所史料館)
19.長崎県/長崎造船所ハンマーヘッド型起重機
20.長崎県/占勝閣
21.長崎県/小菅修船場跡
22.長崎県/高島炭鉱跡
23.長崎県/旧グラバー住宅
24.長崎県/端島炭坑
25.熊本県/三井石炭鉱業株式会社三池炭鉱旧万田坑施設
26.熊本県/三角(みすみ)旧港(三角西港)施設
27.鹿児島県/旧集成館
28.鹿児島県/旧集成館機械工場
29.鹿児島県/旧鹿児島紡績所技師館
30.鹿児島県/祇園之洲(ぎおんのす)砲台跡

特徴
日本の近代化を主導した江戸末期から昭和にかけての製鉄・造船・石炭・紡績遺産群。岩手県釜石市の「橋野高炉跡」は、九州・山口から遠く離れているが、八幡製鉄所(北九州市)の開発につながった重要な遺構として暫定リストに記載された。


松島 現況:運動終了
宮城県/塩竈市、東松島市、宮城郡松島町、宮城郡七ヶ浜町、宮城郡利府町

経緯
●00年、弊サイト管理人が東京駅八重洲北口の旧国際観光会館で聞き込みを行ったところ、「松島で登録運動が起きているらしい」との情報を得る。詳細は不明だが、景勝地としての運動だったと思われる。
●06〜07年、宮城県が松島の登録を目指し、候補資産の選定に関する検討会を開く。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募に応募。08年、記載が見送られた。ただし、同年暫定リスト記載が決まった「北海道・北東北の縄文遺跡群」に追加できる可能性があるとも指摘された。
●応募の提案名は「松島—貝塚群に見る縄文の原風景」。
●10年、宮城県の村井嘉浩知事が登録断念を正式発表(10/02/18毎日新聞)。

特徴
およそ20km四方の湾内に200以上の島が浮かぶ松島沿岸には、縄文時代以降の貝塚や製塩所跡が点在している。07年の文化庁への応募では、「貝塚群に見る縄文の原風景」とのサブタイトルがつけられたものの、国宝の瑞巌寺など、寺院群も含まれた。[1]


北ノ俣沢 現況:休止中 可能性:★★★
秋田県/雄勝郡東成瀬町

経緯
●03年頃、ウェブ上に北ノ俣沢の世界遺産登録を呼びかけるサイトがあった。おそらく成瀬ダム建設反対運動の一環として、登録運動を展開したものと思われる。活動母体などは不明で、その後の動静もわからない。

特徴
秋田県南東部の奥羽山脈の奥深くに位置する。秋田の大河・雄物(おもの)川の支流の一つ、成瀬川の源流域で、ブナなどの広葉樹林が広がる。建設が予定されている成瀬ダムの集水域にあたり、周辺ではダム建設で水没する国道の付け替え工事が進む。


最上川の文化的景観(出羽三山を含む) 現況:運動終了
山形県/山形市、米沢市、鶴岡市、酒田市、新庄市、寒河江市、村山市、長井市、天童市、東根市、尾花沢市、南陽市、東村山郡中山町、西村山郡河北町、西村山郡西川町、西村山郡大江町、北村山郡大石田町、最上郡舟形町、最上郡大蔵村、最上郡戸沢村、東置賜郡高畠町、東置賜郡川西町、西置賜郡白鷹町、東田川郡庄内町、飽海郡遊佐町

経緯
●04年、「山形県世界遺産育成プロジェクト推進委員会」が発足。県内の世界遺産候補地の選定作業に着手。
●06年、同委員会が「出羽三山と最上川」を世界遺産候補地に選定し、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●応募の提案名は「出羽三山と最上川が織りなす文化的景観−母なる山と母なる川がつくった人間と自然の共生風土−」。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査されるも、08年に再度記載見送りに。
●応募の提案名を「最上川の文化的景観−舟運と水が育んだ農と祈り、豊饒な大地−」に変更。
●09年、山形県は世界遺産登録運動の断念を正式に発表。しかしその後も鶴岡市は特設サイトを運営中。出羽三山地域のみでの運動は継続するのか?
●詳細は出羽三山を世界遺産に

特徴
修験の霊場として1000年以上の歴史をもつ「出羽三山」、平安時代から室町時代に内陸部に建立された日本最古の「石鳥居群」、いくつもの河岸集落・農村集落を育み、海岸防砂林など独特の景観を生んだ「最上川」の、3つのグループから構成される壮大な文化的景観。[1]


南会津のブナ林 現況:休止中 可能性:★★★
福島県/南会津郡只見町、南会津郡檜枝岐村、南会津郡南会津町

経緯
●02年、(財)日本野鳥の会南会津支部が講演会「尾瀬・南会津のブナは地球の宝 世界遺産の登録を目指そう!」を開催。その後も同支部のウェブサイトには本件の世界遺産登録を目指すとの記載があったが、07年頃に閉鎖。

特徴
高層湿原を含む南会津の原生林は、広葉樹・針葉樹が混生し、多様な生物を育んでいる。主な種はイヌワシ、クマタカ、イワナ、ヤマメなど。かつて国有林の伐採計画があったが、「南会津のブナを守る連絡協議会」の運動で白紙撤回された。[14]



尾 瀬 現況:休止中 可能性:★★★
福島県/南会津郡檜枝岐村
群馬県/利根郡片品村
新潟県/魚沼市

経緯
●96年に作成された講談社刊『ユネスコ世界遺産』シリーズのパンフレットに「1996年末には宮島・厳島神社、原爆ドームが指定される見通しです。さらに奈良、鎌倉、日光、彦根城、尾瀬、富士山などが続々と申請される予定です」との記述がある。
●00年、弊サイト管理人が東京駅八重洲北口の旧国際観光会館で聞き込みを行ったところ、「登録運動の話は聞いたことがない」との情報を得る。その後も「尾瀬では登録運動をしていない」との話を聞くことが多い。日本に世界遺産が広まった90年代半ば、「白神山地や屋久島が世界遺産なら、尾瀬もなれるだろう」との憶測が広がり、独り歩きしたということか?
●03年、環境省の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で尾瀬を含む「奥利根・奥只見・奥日光」が国内19か所の最終候補にノミネートされるも、暫定リストには記載されなかった。

特徴
東北・北海道の最高峰、標高2356mの燧ヶ岳(ひうちがだけ:福島県)の溶岩流が河川をせき止め、形づくられた湿原が尾瀬である。もともと日光国立公園の一部だったが、2007年に尾瀬国立公園として分離独立。1987年の釧路湿原国立公園設立以来、国内29番目の国立公園となった。[15]



主な参考資料
[1] 各自治体作成の世界遺産暫定一覧表記載資産候補提案書(一覧)
[2] 文化庁−文化財データベース
[3] 『日本の文化的景観』文化庁文化財部記念物課監修、同成社、2005
[4] 『日本の自然公園』国立公園協会・日本自然保護協会編、講談社、1989
[5] IUCN Red List
[6] 第4回「世界自然遺産候補地に関する検討会」詳細検討対象地域の個票(案)
[7] パンフレット「日本のラムサール条約湿地−豊かな自然・多様な湿地と賢明な利用−」
[8] 『日本大百科全書』小学館
[9] 『世界大百科事典』平凡社
[10] 『日本名城百選』村田修三著、小学館、2008
[11] 北海道遺産
[12] 石狩市−石狩紅葉山49号遺跡
[13] 『カラー版知床・北方四島 流氷が育む自然遺産』大泰司紀之・本間浩昭著、岩波新書、2008
[14] 南会津のブナを守る連絡協議会
[15] 環境省->尾瀬国立公園


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