近畿地方の世界遺産登録運動地リスト

▼遺産名の帯が青は主に文化遺産からなる場所、緑は主に自然遺産からなる場所です
▼現況は、過去2年間の動きが不明のもの、中止を明言していないものは「休止中」としました
▼登録の可能性は、弊サイトが独断で判断したものであり、各遺産の価値を絶対的に決定づけようというものではありません


彦根城
★暫定リスト記載物件
現況:運動中 可能性:★★★
滋賀県/彦根市

経緯
●92年、日本の暫定リストに記載。
●07年、長野県と松本市が、「姫路城」(93年に世界遺産登録)の拡大登録として、松本城・彦根城・犬山城を登録することを提案。彦根市は「選択肢の一つ」と回答。

特徴
国内に現存する12の天守閣の一つ。天守には火灯窓(かとうまど)や破風が多くつくられ、ほかの城にはない独特の意匠性が見られる。また、馬屋や下屋敷の楽々園・玄宮園などの建築や庭園が、天守とともに保存されている点も、ほかの城にはない特徴といえる。


琵琶湖 現況:運動中 可能性:★★★
滋賀県/長浜市、米原市、彦根市、東近江市、蒲生郡安土町、近江八幡市、野洲市、守山市、草津市、大津市、高島市

経緯
●08年、滋賀県の嘉田由紀子知事が登録を目指す構想を発表。庁内に準備チームをつくり、知事が任期満了となる14年7月までに見とおしをつけたいと述べた(08/01/04産経ニュース)。

特徴
湖面面積6万7000haの日本最大の湖。動物600種、植物700種が生息し、魚類15種、淡水貝類30種が固有種。ガンカモ類の越冬地としても重要で、1993年にラムサール条約の登録湿地となり、2008年に付属する内湖の一つ西之湖が拡大登録された。[7]



琵琶湖疎水 現況:運動中 可能性:★★★
滋賀県/大津市
京都府/京都市

経緯
●08年、京都市が登録の検討を始める。
●10年、定例市議会一般質問で、門川大作市長が「日本の急速な近代化に大きな役割を果たした貴重な遺産。世界遺産登録を目指したい」と方針を示した(10/05/19京都新聞)。
●11年、学識者を含めた庁内プロジェクトを立ち上げ、申請のための調査に入る予定(10/12/31京都新聞)。

特徴
琵琶湖から伏見の宇治川まで結ぶ全長20.1kmの運河。東京遷都後、勢いを失っていた京都市が、市勢回復のため着工し、明治23年に完成。一連の工事は日本人のみで行い、その後の土木技術の発展に大きく影響した。蹴上(けあげ)にある日本初の水力発電所は、世界でも最初期のもの。[9]



「古都京都の文化財」(94年に世界遺産登録)の拡大登録 現況:運動中 可能性:★★★
京都府/京都市

経緯
●94年、13の寺、3つの神社、1つの城からなる「古都京都の文化財」が世界遺産に登録された。
●98年、この年刊行の『ユネスコ世界遺産4 東アジア・ロシア』(講談社)で、「大徳寺・南禅寺・東福寺・妙心寺などの寺院建築、また京都御所・桂離宮・修学院離宮などの住宅庭園建築など、世界遺産に追加登録すべきところは少なくない」と指摘。この頃より拡大登録についての意見が各所から聞かれるようになるが、地元で本格的な運動が存在したかは不明。
●06年、知恩院、大徳寺、永観堂禅林寺が、拡大登録に向け会合を行う。
●07年、知恩院、大徳寺、永観堂禅林寺から拡大登録を呼びかけられた京都市が、これら3か寺に東山一帯、桂離宮、修学院離宮を加えての拡大登録の検討を開始(07/02/14読売新聞)。
●10年、京都府が登録運動の本格化を決定(10/12/31京都新聞)。

特徴
94年に「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されたのは、建物が国宝または庭園が特別名勝の指定を受け、敷地も指定対象に含まれている場所のみだった。このため、法整備の都合で登録されなかった社寺・庭園の追加登録を目指す運動が起きている。



保津川
※94年世界遺産登録の「古都京都の文化財」への追加登録運動
現況:運動中 可能性:★★★
京都府/京都市、亀岡市

経緯
●07年、「保津川の世界遺産登録をめざす会」設立。
●08年、「保津川の世界遺産登録をめざす会」が講演会「保津川世界遺産登録への道」開催。

特徴
桂川のうち、亀岡盆地を流れる区間が保津川と呼ばれる。平安京の造営や大坂城の築城時には建築資材が運ばれ、江戸時代に保津峡が開かれてからはさらに多くの物資が運ばれるようになった。[11]



京都の茶文化 現況:運動中 可能性:★★★
京都府/宇治市

経緯
●11年、京都府が登録運動を明言。暫定リスト記載を目指し、11年度中に調査を開始する予定(11/01/31毎日新聞)。

特徴
宇治や小倉など排水のよい旧宇治川扇状地では茶の栽培が盛んである。その起源は室町時代にさかのぼり、のち幕府の保護もあって高級茶の伝統を今日に伝えるにいたった。報道によると、宇治市の茶畑、問屋街のほか、茶道の精神文化も含めての運動となる模様。[9]



美山町のかやぶき民家 現況:休止中 可能性:★★★
京都府/南丹市

経緯
●98年、毎日新聞の記事「手つかずの緑 濃淡鮮やかに 京都府の北東 芦生の森」で、「町内のかやぶき民家の数は約300棟に上る。この民家と芦生の森を合わせて世界遺産にしようという声が上がっている」と紹介される(98/04/29)。

特徴
南丹市美山町は茅葺民家が多く残ることから「かやぶきの里」と呼ばれる。民家は寄棟屋根、板壁、板戸などの特徴をもつ「北山型」。美山町全域で250棟が残るが(平成14年)、平成9年からの5年間で50棟減ったという。町内で最も多く見られる北集落に35棟が集中。[12]



芦生(あしう)の森 現況:休止中 可能性:★★★
京都府/南丹市

経緯
●98年、毎日新聞の記事「手つかずの緑 濃淡鮮やかに 京都府の北東 芦生の森」で、「町内のかやぶき民家の数は約300棟に上る。この民家と芦生の森を合わせて世界遺産にしようという声が上がっている」と紹介される(98/04/29)。
●98年頃、「芦生の森を世界遺産にする会」が存在したが、その後の動静は不明。

特徴
日本海に注ぐ由良川の源流域に位置し、暖温帯と冷温帯との移行帯にあるため、両地域の植物が混在している。森は広さ2000haで、ほぼ全域が京都大学の演習林。高等植物860種が生育し、「植物学を学ぶ者は一度は見るべし」といわれる。[13]



天橋立 現況:運動中 可能性:★★★
京都府/宮津市、与謝郡伊根町、与謝郡与謝野町

経緯
●07年、「天橋立を世界遺産にする会」発足。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募に応募。08年、記載が見送られた。
●応募の提案名は「天橋立—日本の文化景観の原点」。
●08年、「天橋立世界遺産シンポジウム〜日本の文化景観の原点『天橋立』〜」開催。
●10年、京都府が登録運動の本格化を決定(10/12/31京都新聞)。
●詳細は天橋立を世界遺産にする会

特徴
天橋立の全長3.6kmの砂洲の景観は古くから多くの人の目を楽しませ、和歌に詠まれたり、日本庭園のモチーフとなってきた。16世紀、雪舟は、周辺の寺院群もあわせて「天橋立図」を描く。これにより500年以上にわたる景観の変遷をたどることができるのも、天橋立の価値といえる。[1]



山陰海岸 現況:方針転換して運動終了
京都府/舞鶴市、宮津市、与謝郡伊根町、京丹後市
兵庫県/豊岡市、美方郡香美町、美方郡新温泉町
鳥取県/鳥取市、岩美郡岩美町

経緯
●03年、環境省の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で国内19か所の最終候補にノミネート。暫定リストには記載されなかったが、地元で世界遺産運動が起こる。
●08年、日本ジオパークに認定。
●09年、「山陰海岸の世界ジオパークネットワーク加盟をめざす三府県議会議員の会」設立。世界遺産から世界ジオパークへ目標を転換。
●10年、世界ジオパークに認定。

特徴
白亜紀以降、各時代に形成された岩石が複雑に入り組み、それらが浸食されて、海蝕崖や洞門、岩礁、砂丘など変化に富んだ地形と海岸景観が形成された。その地形や、さまざまな種類の岩石が見られることから「地質の博物館」ともいわれている。[6]



大坂城跡、難波宮(なにわのみや)跡、上町(うえまち)台地 現況:運動中 可能性:★★★
大阪府/大阪市

経緯
●03年、関西経済同友会が提言「『感動集客特区』を突破口に、官民協働で集客ポテンシャル活用を」のなかで、「大阪城と難波宮を一体でとらえ、ユネスコの『世界遺産』に登録することを目指す」と提言。
●05年、西代官山クラブが上町台地の世界遺産登録を提言。
●06年、大阪上町台地研究会が、上町台地の世界遺産登録運動の一環として「第6回『なにわ歴史シンポジウム』なにわの神社と神々 上町台地とその周辺編」を開く。
●詳細は西代官山クラブ

特徴
「記紀」によると、上町台地には応神天皇の大隈宮(おおくまのみや)、仁徳天皇の高津宮(たかつのみや)などが設けられた。難波宮は645年に造営後、およそ150年間存続。発掘により、日本の宮室の原型としての特徴を示すことが知られている。この上町台地の北端に築かれたのが大坂城だった。[8]



百舌鳥(もず)古墳群と古市(ふるいち)古墳群
★暫定リスト記載物件
現況:運動中 可能性:★★★
大阪府/堺市、羽曳野市、藤井寺市

経緯
●05年、堺市の木原敬介市長(当時)が町づくりの一環として登録運動を開始。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募に応募。08年に「史跡指定などの準備が進めば登録できる可能性が高い」として、暫定リストへの記載が内定した。
●応募の提案名は「百舌鳥・古市古墳群−仁徳陵古墳をはじめとする巨大古墳群−」。
●10年、日本の暫定リストに正式記載。
●11年、5月に登録推進本部が初の会議を開く。

特徴
3〜7世紀につくられた古墳群。全長が日本最大の大山(だいせん)古墳(仁徳陵/486m)、第2位の誉田山(こんだやま)古墳(応神陵/425m)、第3位のミサンザイ古墳(履中陵/360m)など、大型のものはいずれも前方後円墳だが、このような形状の古墳は日本独自。[1]



千里ニュータウン、万博記念公園、太陽の塔 現況:運動中 可能性:★★★
大阪府/吹田市

経緯
●04年、「太陽の塔世界遺産推進協議会設立準備委員会」(現・太陽の塔世界遺産を考える会)が「太陽の塔世界遺産への道を考えるフォーラム」を開催。
●09年、関西大学で「千里ニュータウンは世界遺産になれるか?−文化的景観としての都市−」をテーマに研究部門別発表会を開催。
●10年、吹田市が千里ニュータウン、万博記念公園、太陽の塔の登録準備委員会の設立を決定(10/10/25産経新聞)。

特徴
「千里ニュータウン」は1961〜70年に建造された日本初の大規模ニュータウン。教育・医療施設を含む住宅地計画の様々な提案が試みられた。「太陽の塔」は大阪万国博覧会(1970年)の会場中央に建てられた、岡本太郎設計の高さ70mの塔。[14][15]



狭山池
※韓国の「碧骨堤(ピョッコルチェ)」と共同での登録運動
現況:運動中 可能性:★★★
大阪府/大阪狭山市

経緯
●09年、大阪狭山市が、韓国の碧骨堤と共同で世界遺産登録を目指すと発表(09/09/01産経新聞)。

特徴
面積36haの狭山池は日本最古の溜池(ためいけ)。農業用水や飲料水に使われている。『古事記』『日本書紀』にも記述があり、発掘調査で7世紀初めに築造されたことが判明した。碧骨堤(ピョッコルチェ)はさらに古い4世紀の築造。盛り土に植物の枝や葉を混ぜる工法が共通する。[3]



神 戸 現況:運動中 可能性:★★★
兵庫県/神戸市

経緯
●08年、京都府立大学の竹山清明准教授が登録運動の呼びかけを行う。

特徴
1868年の開港以来、発展をとげてきた神戸。明治時代に外国人の居住地となり、いまなお30棟近くの洋風建築が建ち並ぶ北野町・山本通や、英国人技師が設計し、大正〜昭和初期の鉄筋コンクリート建築が残る旧居留地など、歴史ある町並みが広がる。



芦屋川流域 現況:運動中 可能性:★★★
兵庫県/芦屋市

経緯
●12年 神戸夙川学院大学の河内厚郎教授、武庫川女子大学の三宅正弘准教授が、セミナー「芦屋と世界遺産」を開催(12/06/15産経新聞)。

特徴
芦屋には平安時代の歌人・在原業平(ありわらのなりひら)が別宅を構え、彼をモデルにした『伊勢物語』の愛読者・芦屋公光(きんみつ)が住んだ。2人とも能の題材となった人物である。また、打出の小槌の持ち主である竜神が住んだという伝説などが残り、伝承にまつわる文化的景観として特異な存在である。



生野、神子畑(みこばた)、明延(あけのべ)の鉱業施設 現況:運動中 可能性:★★★
兵庫県/朝来市、養父市

経緯
●11年、鉱石の道推進協議会が同年度事業計画案を可決。このなかで、世界遺産登録の可能性についての調査検証が盛り込まれた(11/06/16神戸新聞)。

特徴
「鉱石の道」で結ばれていた3つの鉱山・関連施設。明延鉱山は日本有数のスズ産出量をほこり、大正時代に敷設されたトロッコ道によって、神子畑選鉱所をへて生野製錬所に運ばれていた。生野には鉱山もあり、戦国時代から昭和時代にかけて銀・銅などを産出した。



稲美(いなみ)の溜池(ためいけ)群 現況:休止中 可能性:★★★
兵庫県/加古郡稲美町

経緯
●04年、兵庫県立農業高校が「いなみ野ため池群世界遺産化計画」と題し、東播磨の溜池群を世界遺産にすることや、環境教育に関わる体験活動などを実施。

特徴
水田開発に向かない稲美地方では古くから溜池と水路をつくり、農地に水を供給してきた。現在、兵庫県には全国最多の4万の溜池があるが、貯水量が県内最大(全国3位/49ha)の加古大池、県内2位(35ha)の天満大池など、大規模なものは稲美町に集中している。[16]



瀬戸内海
※単独で運動中の「鞆の浦(とものうら)」を含む
現況:運動中 可能性:★★★
兵庫県/たつの市
岡山県/瀬戸内市
広島県/福山市、尾道市、呉市
香川県/東かがわ市、丸亀市、三豊市
愛媛県/越智郡上島町

経緯
●04年、「港町ネットワーク・瀬戸内」設立。事業目的として、瀬戸内の暮らしと文化を世界遺産ととらえ、瀬戸の海の道を見直すことを掲げる。
●06年、「瀬戸内海を世界遺産にしよう会」準備委員会が発足。単独で運動中の「鞆の浦」(広島県)を中心にした登録運動を開始(毛利和雄著『世界遺産と地域再生 問われるまちづくり』)。
●11年、港町ネットワーク・瀬戸内が主催する「瀬戸内『海の道』と朝鮮通信使シンポジウムin牛窓」にて、瀬戸内海から朝鮮半島へ通じる「海の道」の世界遺産登録を目指し、各地に残る港湾設備や建造物、祭りなどを再検討することを確認(11/06/26山陽新聞)。
●詳細は港町ネットワーク・瀬戸内

特徴
「港町ネットワーク・瀬戸内」のウェブサイトでは、室津、牛窓、鞆(とも)、尾道、御手洗(みたらい)、引田(ひけた)、丸亀、粟島、弓削(ゆげ)の9都市が紹介されている。ほかにも下津井、鮴崎(めばるざき)、笠島など、瀬戸内海には交易や漁業で栄えた歴史的な町並みが多い。



鳴門(なると)海峡 現況:休止中 可能性:★★★
兵庫県/南あわじ市
徳島県/鳴門市

経緯
●98年頃、ウェブ上に鳴門海峡の世界遺産登録を呼びかけるサイトがあった。また、05年頃には「鳴門海峡を世界遺産にする会」が存在した。
●12年、南あわじ市が運動開始。兵庫県洲本市、淡路市、徳島県鳴門市に協調を求め、民間では「うずしおの郷地域振興協議会」を結成し、バックアップ体制をとることが報道される(12/02/16神戸新聞)。

特徴
世界最大の直径20mの渦潮が発生する景勝地。潮の干満により、淡路島を挟んだ播磨灘(瀬戸内海)と紀伊水道では、海面に最大1.5mの高低差が生じることがある。このとき、播磨灘の海水が鳴門海峡を流れ、複雑な海底の地形に押し上げられるなどして、渦潮が発生する。[19]



飛鳥=藤原:日本の古代首都群の考古遺跡群と関連遺産群
★暫定リスト記載物件
現況:運動中 可能性:★★
奈良県/桜井市、橿原市、高市郡明日香村

経緯
●04年、明日香村が世界遺産登録の検討を始める。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。07年に「リスト記載」と認定を受ける。
●07年、日本の暫定リストに正式記載。
●詳細は奈良県高市郡明日香村

特徴
592年に推古天皇が豊浦宮(とゆらのみや)で即位してから、710年に藤原宮が廃れるまで、日本の中心だった地域。大陸から知識・技術を採り入れて諸寺院が建立され、694年には日本初の本格的な都城・藤原京を造成。日本の古代政治の中枢として、宮殿跡、寺院跡、古墳など貴重な遺跡が密集する。[1]



大和(おおやまと)古墳群 現況:休止中 可能性:★★
奈良県/天理市、桜井市

経緯
●99年、奈良県文化財保存対策連絡会事務局長の杉田義(ただし)氏が、「大和古墳群地域を世界遺産に」と題して講演し、遺跡保存のため世界遺産登録を目指していることを言及。(『明日への文化財』46号所収)

特徴
およそ40基の古墳群。時代は3〜4世紀。萱生(かよう)古墳群と柳本古墳群に分けられ、前者を狭義の大和古墳群とすることもある。西殿塚古墳(全長約230m)、行燈山(あんどんやま)古墳(崇神[すじん]陵/全長242m)など、200mを超すものもある。[17]



今井町 現況:運動中 可能性:★★
奈良県/橿原市

経緯
●10年、今井町町並み保存会などが、今井町が世界遺産に認定されるよう努力していくことを確認(10/03/03毎日新聞)。

特徴
寺院を中心とする町並みや周囲をめぐる堀に特徴がある「寺内町」の一つ。浄土真宗本願寺派などの境内地につくられた今井町は、全国でも有数の保存状態を誇る。住宅の6割が伝統的な様式を保ち、1650年築の今西家など、重要文化財の民家が8件ある点も特筆に値する。[18]



「紀伊山地の聖地と巡礼路網」(04年登録)の拡大登録 現況:運動中 可能性:★★★
和歌山県/和歌山市、海南市、有田市、有田郡湯浅町、有田郡広川町、日高郡日高町、日高郡美浜町、御坊市、日高郡印南町、日高郡みなべ町、田辺市

経緯
●10年、和歌山県が紀伊路などの古道や王子社などの追加登録を目指す事業を開始。今後5年間で現地調査し、世界遺産候補のリストアップをしたうえで、まずは国史跡や国重要文化財など国内での文化財指定を進める考え(10/08/15毎日新聞)。
●11年、有識者会議「王子社学術調査検討委員会」の初会合において、御坊市の塩屋王子、日高町の比井王子ほか約20の王子社などの調査を進めることが確認された(11/08/12日高新報)。

特徴
熊野三山への参詣道は紀伊路と伊勢路の2本があり、歴史的には主に紀伊路が使われていた。紀伊路は京都・大阪から和歌山へ入るルート。現在では田辺以東を「中辺路(なかへち)」として区別している。道沿いには熊野王子と呼ばれる多くの末社があり、参詣者はそれぞれの王子に奉幣した。[9]



主な参考資料
[1] 各自治体作成の世界遺産暫定一覧表記載資産候補提案書(一覧)
[2] 文化庁−文化財データベース
[3] 『日本の文化的景観』文化庁文化財部記念物課監修、同成社、2005
[4] 『日本の自然公園』国立公園協会・日本自然保護協会編、講談社、1989
[5] IUCN Red List
[6] 第4回「世界自然遺産候補地に関する検討会」詳細検討対象地域の個票(案)
[7] パンフレット「日本のラムサール条約湿地−豊かな自然・多様な湿地と賢明な利用−」
[8] 『日本大百科全書』小学館
[9] 『世界大百科事典』平凡社
[10] 『日本名城百選』村田修三著、小学館、2008
[11] プロジェクト保津川
[12] 京都府美山町かやぶき職人 屋根晴のホームページ
[13] 「手つかずの緑 濃淡鮮やかに 京都府の北東 芦生の森」毎日新聞98年4月29日
[14] 『DOCOMOMO選 モダニズム建築100+α』大川三雄・渡邉研司著、河出書房新社、2006
[15] 太陽の塔
[16] 「新たな文化財保護行政の展開」(『文部科学時報』平成17年1月号所収)
[17] ええ古都なら
[18] 「今井町 歴史的町並み」橿原市教育委員会
[19] 徳島県立渦の道


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