中国・四国地方の世界遺産登録運動地リスト ▼遺産名の帯が青は主に文化遺産からなる場所、緑は主に自然遺産からなる場所です ▼現況は、過去2年間の動きが不明のもの、中止を明言していないものは「休止中」としました ▼登録の可能性は、弊サイトが独断で判断したものであり、各遺産の価値を絶対的に決定づけようというものではありません |
妻木晩田(むきばんだ)遺跡 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
鳥取県/米子市、西伯郡大山町 | 経緯 |
特徴 1〜2世紀の大規模な集落遺跡。「大山スイス村」の建設中、平成7〜9年に発見された。900基以上の建物跡が出土し、多くの貯蔵穴が開けられた貯蔵地区や、二重の濠に囲まれた要塞跡なども確認されている。弥生時代の集落として全国最大。[2] |
山陰海岸 | 現況:方針転換して運動終了 | |
鳥取県/鳥取市、岩美郡岩美町 京都府/舞鶴市、宮津市、与謝郡伊根町、京丹後市 兵庫県/豊岡市、美方郡香美町、美方郡新温泉町 |
経緯 |
特徴 |
三徳山(みとくさん) | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
鳥取県/東伯郡三朝町 | 経緯 |
特徴 706年に開かれ、9世紀以降は天台宗の伝播とともに多くの神々が合祀された聖山。平安時代後期、断崖にへばりつくように建造された三仏寺(さんぶつじ)投入堂(なげいれどう)は国宝指定。[2] |
大山(だいせん)、隠岐(おき)、三徳山 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
鳥取県/東伯郡三朝町、西伯郡大山町、西伯郡琴浦町、西伯郡江府町 島根県/隠岐郡隠岐の島町、隠岐郡海士町、隠岐郡西ノ島町、隠岐郡知夫村 |
経緯 |
特徴 大山(1729m)は中国地方の最高峰。奈良・平安時代から修験道の霊地となり、北西の山腹には大山寺と門前町がある。隠岐の最高峰である大満寺山(607m)も古くから霊山として信仰されてきた。[9] |
田和山遺跡 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
島根県/松江市 | 経緯 |
特徴 平成9〜12年に発見された弥生時代前〜中期の遺跡。三重の環濠があるものの、住居が環濠の外に分布するという、これまでに例のない構造をもつ集落であることが判明した。出土品のなかでは、武器として使われたと思われる3000点もの自然石が注目される。[2] |
隠岐の牧畑(まきはた) | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
島根県/隠岐郡知夫村 | 経緯 |
特徴 隠岐諸島の南端にある知夫里島で見られる。牧畑は12世紀の文献に記録があり、耕作と放牧を交互に行う耕地のことをいう。山麓の牧畑境界には、江戸時代後期のものとされる自然石を積み上げた石垣も現存。昭和40年代以降、牧畑による耕作は衰退した。[3] |
近世岡山の文化・土木遺産群 ※単独で運動中の「閑谷(しずたに)学校」を含む |
現況:中止 | 可能性:★★★ | |
岡山県/岡山市、備前市、赤磐市、和気郡和気町 | 経緯 |
特徴 池田光政・綱政の2代にわたって岡山藩を支えたのが、藩郡代の要職に就いた津田永忠である。永忠が統括した技術集団は、1675年の洪水後の復興事業のなかで水門や防波堤などを建造。さらには閑谷学校や岡山後楽園などの造営も行った。[1] |
大名庭園群(偕楽園、小石川後楽園、兼六園、岡山後楽園、栗林[りつりん]公園) | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
岡山県/岡山市 香川県/高松市 茨城県/水戸市 東京都/文京区 石川県/金沢市 |
経緯 |
特徴 岡山後楽園は1686年に岡山藩主・池田綱政が造営。太平洋戦争で園内の建築や借景の岡山城を失ったが、地割などの保存状態はよい。栗林公園は、室町時代の旧庭を、江戸時代に高松藩主・松平家が拡張した。大名庭園のなかでも作庭技術の高さで知られる。[2] |
閑谷(しずたに)学校 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
岡山県/備前市 |
経緯 |
特徴 池田光政が1666年に領内の村役人クラスの教養のために創建を決意。現在の講堂は1701年の建築。そのほか小斎、習芸斎、聖廟(孔子廟)など主要施設がよく残り、江戸時代の学校施設の典型として価値が高い。敷地は特別史跡、講堂は国宝の指定を受けている。[1] |
近世の教育資産 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
岡山県/備前市 茨城県/水戸市 栃木県/足利市 大分県/日田市 |
経緯 |
特徴 江戸時代の教育機関には、諸藩が領内に設けた藩学(藩校)、民間の有識者が開いた私塾、庶民の初等教育を行った寺子屋、藩主などが設立・補助した「高等寺子屋」とでもいうべき郷学(ごうがく)などがある。弘道館は藩学、足利学校と閑谷学校は郷学、咸宜園は私塾。[8] |
瀬戸内海 ※単独で運動中の「鞆の浦(とものうら)」を含む |
現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
岡山県/瀬戸内市 広島県/福山市、尾道市、呉市 香川県/東かがわ市、丸亀市、三豊市 愛媛県/越智郡上島町 兵庫県/たつの市 |
経緯 |
特徴 「港町ネットワーク・瀬戸内」のウェブサイトでは、室津、牛窓、鞆(とも)、尾道、御手洗(みたらい)、引田(ひけた)、丸亀、粟島、弓削(ゆげ)の9都市が紹介されている。ほかにも下津井、鮴崎(めばるざき)、笠島など、瀬戸内海には交易や漁業で栄えた歴史的な町並みが多い。 |
鞆の浦(とものうら) | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
広島県/福山市 | 経緯 |
特徴 江戸時代、朝鮮通信使が寄港することから重要性を高めた港町。通信使が宿泊した客殿や、江戸時代以来の商家が現存するが、とりわけ重要なのが港湾施設。雁木(荷揚げ場)、常夜燈、船番所、波止(はと/防波堤)、焚場(船の修理場)の5つが現存するのは日本でもここだけ。[11] |
尾 道 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
広島県/尾道市 | 経緯 |
特徴 海岸近くまで丘陵が迫り、山腹を民家が埋める町並みに特徴がある。この景観は、明治時代の鉄道敷設にともない海岸の民家が立ち退きしたことや、大正時代以降、商家の隠居所が建てられることで形成された。町の東にある浄土寺は本堂と多宝塔が国宝。[11] |
山口に花開いた大内文化の遺産 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
山口県/山口市 | 経緯 |
特徴 大内氏は15〜16世紀、地方領主でありながら明や朝鮮と正式な通交を行っていた。山口は、この大内氏が治めた土地。町づくりの模範とした京都的要素に大陸的要素が混じり、独自の文化が育まれた。15世紀建立の瑠璃光寺五重塔(国宝)などが現存。[1] |
萩 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
山口県/萩市 | 経緯 |
特徴 萩は17世紀初頭に造成された城下町。いまも当時の町割りが残り、武家屋敷や寺院なども残されている。幕末期には藩校の明倫館や松下村塾(しょうかそんじゅく)などで、海外を視野に入れた教育が行われ、明治維新の胎動の地となった。[1] |
錦帯橋(きんたいきょう)と岩国の町割 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
山口県/岩国市 | 経緯 |
特徴 錦帯橋は1673年に完成した5連の木造アーチ橋。各アーチの長さは35.1mあり(全長193.3)、伝統工法による木造アーチとしては世界最長。当初の図面をもとに何度も架け替えられ、現在の橋は01〜04年のものである。橋の西詰には城下町が広がる。[1] |
九州・山口の近代化産業遺産群 ★暫定リスト記載物件 |
現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
山口県/下関市、萩市 岩手県/釜石市 静岡県/伊豆の国市 福岡県/北九州市、大牟田市 佐賀県/佐賀市 長崎県/長崎市 熊本県/荒尾市、宇城市 鹿児島県/鹿児島市 |
経緯 |
特徴 日本の近代化を主導した江戸末期から昭和にかけての製鉄・造船・石炭・紡績遺産群。山口県からは、安政年間に海防の必要性から萩藩が建造した「萩反射炉」(艦船部品などを製造)や、1856年に萩藩初の洋式艦船を製造した「恵美須ヶ鼻造船所跡」など6件がノミネートされている。[15] |
四国八十八カ所霊場と遍路道 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
徳島県/徳島市ほか 香川県/高松市ほか 愛媛県/松山市ほか 高知県/高知市ほか |
経緯 |
特徴 空海ゆかりの88の札所寺院を結ぶ全長1400kmの環状の巡礼路が、八十八箇所遍路道である。すでに平安時代末期に修業の場となり、江戸時代からは庶民の巡礼も行われた。88か寺のうち、石手寺、太山寺(たいさんじ)、本山寺(もとやまじ)には国宝建築がある。[1] |
鳴門(なると)海峡 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
徳島県/鳴門市 兵庫県/南あわじ市 |
経緯 |
特徴 世界最大の直径20mの渦潮が発生する景勝地。潮の干満により、淡路島を挟んだ播磨灘(瀬戸内海)と紀伊水道では、海面に最大1.5mの高低差が生じることがある。このとき、播磨灘の海水が鳴門海峡を流れ、複雑な海底の地形に押し上げられるなどして、渦潮が発生する。[12] |
満濃池(まんのういけ) | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
香川県/仲多度郡まんのう町 | 経緯 |
特徴 溜池(ためいけ)の密集地帯である讃岐平野で最大の溜池。満水時の水面は139haにもなる。701〜704年頃に造成され、堤防が決壊したのち、821年に空海が修築。以後、決壊と再建をくり返してきた。毎年6月15日に「ゆるぬき」と呼ばれる放水の神事を行う。[3] |
別子銅山 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
愛媛県/新居浜市 | 経緯 |
特徴 17世紀末から銅鉱石の採掘・製錬が行われた銅山。明治時代に近代技術を採り入れ、いくつもの製錬施設や鉄道が建設された。最盛期には1万人以上が暮らしたが、明治32年の水害後、製錬拠点は新居浜に移設。大正初期に製錬を中止した。現在、レンガ造りの建物跡や石造りの基壇などが山中に残る。[14] |
四万十川と流域の天然林 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
高知県/四万十市、高岡郡四万十町、高岡郡中土佐町、高岡郡津野町、高岡郡檮原町 | 経緯 |
特徴 高知県と愛媛県の県境近くにある不入山(いらずやま)を水源とする全長196kmの川。支流の総延長は318km。河川では日本最多となる184種の魚類など、多くの生命を育んでいる。流域では伝統的な林業、農業、漁業が営まれ、国の重要文化的景観の選定を受けた。[13] |
主な参考資料 [1] 各自治体作成の世界遺産暫定一覧表記載資産候補提案書(一覧) [2] 文化庁−文化財データベース [3] 『日本の文化的景観』文化庁文化財部記念物課監修、同成社、2005 [4] 『日本の自然公園』国立公園協会・日本自然保護協会編、講談社、1989 [5] IUCN Red List [6] 第4回「世界自然遺産候補地に関する検討会」詳細検討対象地域の個票(案) [7] パンフレット「日本のラムサール条約湿地−豊かな自然・多様な湿地と賢明な利用−」 [8] 『日本大百科全書』小学館 [9] 『世界大百科事典』平凡社 [10] 『日本名城百選』村田修三著、小学館、2008 [11] 『世界遺産と地域再生 問われるまちづくり』毛利和雄著、新泉社、2008 [12] 徳島県立渦の道 [13] パンフレット「四万十川清流保全基金への寄付のお願い」四万十市 [14] 『近代化遺産探訪 知られざる明治・大正・昭和』清水慶一・清水襄著、エクスナレッジ、2007 [15] 九州・山口の近代化産業遺産群 |