九州・沖縄の世界遺産登録運動地リスト ▼遺産名の帯が青は主に文化遺産からなる場所、緑は主に自然遺産からなる場所です ▼現況は、過去2年間の動きが不明のもの、中止を明言していないものは「休止中」としました ▼登録の可能性は、弊サイトが独断で判断したものであり、各遺産の価値を絶対的に決定づけようというものではありません |
九州・山口の近代化産業遺産群 ※単独で運動していた「軍艦島」「仙巌園(磯庭園)」を含む ★暫定リスト記載物件 |
現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
福岡県/北九州市、大牟田市 佐賀県/佐賀市 長崎県/長崎市 熊本県/荒尾市、宇城市 鹿児島県/鹿児島市 山口県/下関市、萩市 岩手県/釜石市 静岡県/伊豆の国市 |
経緯 |
特徴 日本の近代化を主導した江戸末期から昭和にかけての製鉄・造船・石炭・紡績遺産群。薩摩藩が築いた大規模様式工場の「集成館」、日本最初期の洋式ドック「小菅修船場」、日本初の洋式大規模炭坑の「高島炭鉱」などを含む。[1] |
宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群 ★暫定リスト記載物件 |
現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
福岡県/宗像市、福津市 | 経緯 |
特徴 沖ノ島は宗像市の沖合60kmに浮かぶ孤島。4〜10世紀、日本と大陸との交易を行う船が立ち寄り、航海の安全を祈った。このとき数々の貴重品が奉納され、これまでに武器や馬具、装身具、土器など8万点が出土。その様子から「海の正倉院」とも呼ばれる。[1] |
三井三池三川鉱 ※暫定リスト記載の「九州・山口の近代化産業遺産群」への追加運動 |
現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
福岡県/大牟田市 |
経緯 |
特徴 1940年完成。戦後、日本最大の出炭量をほこった三池炭田の最主力坑。また、60年に日本の労働史上最大の争議が、63年に戦後最大の炭坑事故が起きたことで有名になった。97年の三池炭坑閉鉱後、多くの建物が取り壊され、現存する遺構は少ない。[18] |
英彦山(ひこさん) | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
福岡県/田川郡添田町 |
経緯 |
特徴 英彦山は標高1200m。古くから大峰山(奈良県)、羽黒山(山形県)とならぶ山岳信仰の霊山として知られ、最盛期には山麓に3800以上の坊舎が建ち並んだ。明治時代の神仏分離で衰退したが、現在でも中岳に英彦山神宮上宮が祀られている。[8] |
大川内山(おおかわちやま) | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
佐賀県/伊万里市 | 経緯 |
特徴 伊万里の中心街から6km離れた場所にある。幕府や朝廷に献上する陶器をつくる藩窯を構えていた鍋島家が、17世紀、技術の外部流出を防ぐため、この地に移転させたもの。関所や登り窯などが現存する。[11] |
吉野ヶ里遺跡 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
佐賀県/神埼市、神埼郡吉野ヶ里町 | 経緯 |
特徴 外濠に囲まれた40haもの広さを持つ日本最大の環濠集落。昭和61〜63年に発見された。弥生時代の墳丘墓、物見やぐら跡、甕棺墓のほか、奈良時代の官道(現在でいう国道)跡や、役所に関係するとみられる建物跡も見つかっている。遺跡発見の2年後に国の史跡に指定、さらにその翌年には特別史跡に格上げされた。[11] |
長崎・天草の教会群とキリスト教遺跡群 ★暫定リスト記載物件 |
現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
長崎県/長崎市、佐世保市、平戸市、五島市、南島原市、北松浦郡小値賀町、南松浦郡新上五島町 熊本県/天草市 |
経緯 |
特徴 日本では江戸時代にキリスト教信仰が禁じられたため、古い教会は残っていないが、長崎には現存最古の大浦天主堂(1864年創建)をはじめ、歴史的教会建築が多く残る。西洋と日本の技術が融合した様式や、250年間の禁教時代を経て開花した文化であることなどが特徴。[1] |
箱根、出島 ※スウェーデンなど8か国が共同で登録運動を目指す「生物系統学の揺籃地」に含まれる |
現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
長崎県/長崎市 神奈川県/足柄下郡箱根町 |
経緯 |
特徴 1775年、スウェーデン人植物学者のトゥンベリー(ツンベルク)は、オランダ人と自称して鎖国中の日本に渡り、出島に滞在。植物採集を行い、『日本植物誌』を著した。また、一度だけ許された江戸旅行の途中でも植物採集を行い、大半の標本を箱根山地で採集した。[17] |
被爆のマリア像 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
長崎県/長崎市 | 経緯 |
特徴 1930年代にイタリアから取り寄せ、長崎市の浦上天主堂に安置されていたマリア像。寄木細工の木彫で、台座を含めた高さは2mあった。45年8月9日の原爆投下で、天主堂もろとも瓦礫と化したが、10月に復員したキリスト教司祭が、頭部だけとなったこの像を偶然発見した。[12] |
対 馬 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
長崎県/対馬市 | 経緯 |
特徴 侵食で形成された急な山岳地形をもつ対馬では、南部の龍良山、中部の白嶽、北部の御嶽などで原生林が保存されている。ツシマタンポポ、ツシマヤマネコなどの固有種も多く、IUCNのレッドリスト記載種では“絶滅寸前種”の固有種クチバテングコウモリがあるが、昭和37年に捕獲された1頭しか記録がない。[4] |
通潤橋(つうじゅんきょう)と熊本の石橋群 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
熊本県/八代市、上益城郡山都町、下益城郡美里町 | 経緯 |
特徴 熊本県や大分県では数多くの石橋が架けられているが、最も有名なのが通潤橋だろう。江戸時代末期、通潤用水の水道橋としてつくられた。このほか熊本県中東部の緑川流域には、日本最大の石橋の霊台橋(れいだいきょう)など、重要な歴史的石橋が残る。[3] |
阿 蘇 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
熊本県/阿蘇市、阿蘇郡南小国町、阿蘇郡小国町、阿蘇郡産山村、阿蘇郡高森町、阿蘇郡南阿蘇村、阿蘇郡西原村 |
経緯 |
特徴 阿蘇山(1592m)は外周129kmの外輪山をもち、その内側に5万人もの人々が生活する、世界でも類のない土地。春先に行われる野焼きで広大な草地を維持し、その草地では牛馬の放牧が営まれてきた。また阿蘇山は「記紀」にも登場し、古くから信仰の対象でもあった。[3] |
JR肥薩線(ひさつせん) | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
熊本県/人吉市 宮崎県/えびの市 鹿児島県/姶良郡湧水町 |
経緯 |
特徴 |
近世の教育資産 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
大分県/日田市 茨城県/水戸市 栃木県/足利市 岡山県/備前市 |
経緯 |
特徴 江戸時代の教育機関には、諸藩が領内に設けた藩学(藩校)、民間の有識者が開いた私塾、庶民の初等教育を行った寺子屋、藩主などが設立・補助した「高等寺子屋」とでもいうべき郷学(ごうがく)などがある。弘道館は藩学、足利学校と閑谷学校は郷学、咸宜園は私塾。[8] |
別府温泉 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
大分県/別府市 | 経緯 |
特徴 古く『豊後国風土記』にも記述がある別府の湧泉。江戸時代までは自然噴出か簡単な掘削技術によるもののみだったが、近代以降、新技術の導入で多くの泉源が確保されるようになった。温泉孔から数多くの湯けむりが立ちのぼる景観は独特。 |
宇佐・国東(くにさき) | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
大分県/中津市、豊後高田市、杵築市、宇佐市、国東市 | 経緯 |
特徴 奈良〜平安時代、仏教僧の修業の場となった国東半島にはいくつもの山岳寺院が建てられた。現存する九州最古の建物がある富貴寺(ふきじ)や、高さ8mの熊野磨崖仏(まがいぶつ)などがその好例。半島のつけ根の北には、8世紀創建で本殿が国宝の宇佐神宮がある。[1] |
臼杵(うすき)と大野川流域の石仏群 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
大分県/臼杵市、豊後大野市、竹田市 | 経緯 |
特徴 臼杵石仏は平安〜鎌倉時代に、木彫を模して彫られた石仏群。全部で62体あり、国内屈指の規模と保存状態のため、石仏として唯一の国宝に指定されている。また、大分県中南部を流れる大野川流域には、別の製造者集団がつくったと見られる石仏群が点在している。 |
竹田(たけた)の文化財 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
大分県/竹田市 | 経緯 |
特徴 竹田は中世、城下町として発展し、いまでも往時の面影をしのばせる町並みが残っている。町の東にある丘陵地には、1185年に緒方氏が築き、のち大友一族の志賀氏が拡張した岡城跡がある。この城跡に着想し、滝廉太郎は『荒城の月』を作曲したといわれている。[8] |
綾(あや)の照葉樹林 | 現況:方針転換して運動終了 | |
宮崎県/東諸県郡綾町 |
経緯 |
特徴 綾北川と綾南川の中流域に広がる森林。シイ、タブ、カシ類の典型的な照葉樹林が残り、貴重な動植物を育んでいる。深く切れ込んだV字谷が発達し、太平洋に注ぐ耳川や一ツ瀬川の源流域となっている。[4] |
フランシスコ・ザビエルゆかりの史跡群 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
鹿児島県/鹿児島市 | 経緯 |
特徴 1549年、イエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルは、現在の鹿児島市に上陸し、ここから日本への布教を始めた。市内には功績をたたえるザビエル滞鹿(たいか)記念碑などがある。なお、ゆかりの史跡は大分市、山口市、堺市など県外にもあるが、登録運動の範囲は不明。 |
稲尾岳の照葉樹林 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
鹿児島県/肝属郡肝付町、肝属郡錦江町、肝属郡南大隅町 | 経緯 |
特徴 稲尾岳は標高930m。一帯は国の自然環境保全地域に指定され、イスノキが優占する常緑広葉樹林となっている。日本固有の哺乳類ヤマネの分布南限であり、ワシタカ類で唯一の渡り鳥サシバや、IUCNレッドリストで“危急種”指定のヤイロチョウなどが羽を休める。[4] |
奄美群島 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
鹿児島県/奄美市、大島郡大和村、大島郡宇検村、大島郡瀬戸内町、大島郡喜界町、大島郡徳之島町、大島郡天城町、大島郡和泊町、大島郡知名町、大島郡与論町 | 経緯 |
特徴 亜熱帯広葉樹林を主とする森林と、サンゴ礁が広がる海域が特徴。IUCNレッドリスト記載種が18種もいる(海生生物は除く)。“絶滅寸前種”こそないが、18種中、以下の7種は奄美群島の固有種である。“絶滅危機種”のアマミノクロウサギ、アマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミ、オリイジネズミ、オットンガエル、アマミハナサキガエル、“危急種”のルリカケス。[4][5] |
琉球諸島 ※単独で運動中の「奄美群島」「山原(やんばる)」「西表島」を含む ☆暫定リスト記載内定物件 |
現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
鹿児島県/奄美市ほか 沖縄県/八重山郡竹富町ほか |
経緯 |
特徴 暫定リストへの記載が内定した琉球諸島は、トカラ列島から与那国島までのおよそ1000km。固有種・希少種の数は小笠原諸島と並んで全国屈指。IUCNレッドリスト記載種は、“絶滅寸前種”のノグチゲラ(山原固有種)、タイマイ、キクザワトサワヘビ(久米島固有種)、“絶滅危機種”のアマミノクロウサギ(奄美群島固有種)、ヤンバルクイナ(山原固有種)、“危急種”のジュゴン、ミヤコスナガニ(宮古島固有種)など、枚挙にいとまがない。[5] |
浦添(うらぞえ)城跡 ※00年世界遺産登録の「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」への追加登録運動 |
現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
沖縄県/浦添市 | 経緯 |
特徴 天然の要塞をなす高さ130mほどの丘にある。13世紀末〜14世紀初頭に着工し、以後増改築をくり返した。太平洋戦争などで損傷したが、城門や建物跡などが残されている。また、城の北には「ようどれ」と呼ばれる歴代王の陵墓があり、戦後、修復された。[2] |
辺野古(へのこ)・大浦湾海域 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
沖縄県/名護市 | 経緯 |
特徴 沖縄島中部の東海岸にある。米軍普天間基地の移設先として検討されたため、反対運動の一環として世界遺産運動が立ち上がった。IUCNレッドリストで“危急種”指定のジュゴンが生息し、09年の調査では、36種の新種のエビ・カニ類の生息地であることも確認された。[14] |
山原(やんばる) | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
沖縄県/国頭郡国頭村、国頭郡東村、国頭郡大宜味村 | 経緯 |
特徴 標高498mの与那覇岳を中心とする森林地帯で、ここを分布の北限・南限とする植物が多い。IUCNレッドリスト記載種も見られるが、なかでも山原にしか生息しない固有種の多さは突出。しかも、ノグチゲラ、ヤンバルホオヒゲコウモリ、オキナワトゲネズミの3種が“絶滅寸前種”指定を受けている点も特筆される。このほか、“絶滅危機種”指定の山原固有種に、リュウキュウテングコウモリ、ヤンバルクイナ、ナミエガエル、ハナサキガエル、オキナワミナミヤンマ、オキナワコヤマトンボ、オキナワサラサヤンマの7種がある。[5] |
白保サンゴ礁 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
沖縄県/石垣市 | 経緯 |
特徴 石垣島の東南海岸に位置する。アオサンゴの大群落は世界最大規模。昭和54年以降のオニヒトデの異常発生で琉球諸島のサンゴ礁が壊滅的な打撃を受けるなか、本来の姿をとどめている。海を埋め立てての新石垣空港の建設は回避できたが、陸上の公共工事による赤土の流出が懸念されている。[15] |
竹富島・波照間島(はてるまじま)の文化的景観 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
沖縄県/八重山郡竹富町 | 経緯 |
特徴 亜熱帯気候に適応した集落が形成されている竹富島と波照間島。台風や地震津波などの自然災害が多いため、石垣と防風林で囲まれた住居が島の中央部に密集しているのが特徴だ。自然崇拝・祖先崇拝の聖地である御嶽(うたき)、山林・海岸景観もよく残っている。[1] |
西表島(いりおもてじま)の自然 | 現況:運動中 | 可能性:★★★ | |
沖縄県/八重山郡竹富町 | 経緯 |
特徴 東西28km、南北20kmのほぼ長方形の島。陸地の35%が西表国立公園に指定されている。海水が流入する各河川の下流部にはマングローブ林が発達し、仲間川天然保護区のものは日本最大。石垣島と共通の固有種が多く、代表的なものにIUCNレッドリストで“絶滅危機種”指定のセマルハコガメ、オオハナサキガエル、ヤエヤマハナダカトンボ(西表島固有)などがある。未記載種にもイリオモテボタルなど貴重な種が多い。[4][5] |
与那国島近海の海底 | 現況:休止中 | 可能性:★★★ | |
沖縄県/八重山郡与那国町 | 経緯 |
特徴 1980年代にダイバーが発見し、人為的に水平・垂直に加工された構造物に見えることから、「海底遺跡」として注目を集めた。しかし断定できる加工痕がないことや、過去、周辺地域で巨石文化が栄えた歴史がないことなどから、自然の造形物とする見方が一般的。[16] |
主な参考資料 |