ヨーロッパの「世界の記憶」
・説明文は原則としてUNESCO公式サイトからの抄訳です。一部、ほかの資料を参考にしたものは文末に注記しました。 ・写真は特記のないものはUNESCO公式サイトからの転載です。各写真に転載元のリンクを貼っています。 |
■アイスランド |
■アイルランド |
名称 | 登録年 | 説明 | |
wikipediaより転載 |
ケルズの書 Book of Kells |
2011 | アイルランド史上最高の至宝として世界的に名高く、中世キリスト教美術の最高傑作の一つとされる四福音書。800年前後に制作された。本文の頭文字装飾や挿絵が、赤・青・黄・緑・紫・白など様々な顔料で色彩豊かに描かれている。大きさは33.0cm×25.5cmで、全340枚(680ページ)。ダブリンのトリニティ・カレッジ図書館にて保管され、同館をヨーロッパ屈指の観光名所にした人気の写本である。 |
■アゼルバイジャン |
■アルバニア |
名称 | 登録年 | 説明 | |
ベラティヌス古写本 Codex Purpureus Beratinus |
2005 | アルバニア中部の古都ベラトで発見された、2点の福音書。『ベラティヌス第一』は6世紀、『ベラティヌス第二』は9世紀のもの。アンシャル体の飾り文字で装飾された『第一』は、世界に3〜4点しか現存しないとされる最古級の新約聖書のうちの一点である。 |
■アルメニア |
名称 | 登録年 | 説明 | |
マシュトツ・マテナダランの古写本コレクション Mashtots Matenadaran ancient manuscripts collection |
1997 | マシュトツ・マテナダラン(マシュトツ古文書館)は世界屈指の古文書館として知られる。所蔵する古写本はおよそ1万7000点を数え、古代から中世にかけてアルメニアで作成・編纂された科学・文化に関するほとんどすべての書籍を網羅している。 | |
Digitized First Byurakan Surveyより転載 |
第一次ビュラカン観測(マルカリアンの観測) First Byurakan Survey (FBS or Markarian survey) |
2011 | ビュラカン天文台(1946年開設)で65〜80年に行われた天体観測。ベンジャミン・マルカリアン(1913〜1985)を中心とする研究チームが行った。活動銀河をとらえるために対物プリズムを組織的に用いた、史上初の天体観測である。使われた口径1mのシュミット式望遠鏡は、全天の8割以上(1万7000平方度)を観測できた。この観測ではあらゆる天体の低分散スペクトル画像を撮影し、記録された天体数は2000万個にもおよぶ。現在にかけて、もっとも大規模に行われた分光観測である。 そもそもこの観測は、強力な紫外線を放出する紫外線超過銀河の探索が目的だった。(観測者の名を取り、紫外線超過銀河はマルカリアン銀河とも呼ばれる)。15年間の観測で1500個の紫外線超過銀河が発見されたが、そのほかにクエーサー、惑星状星雲、白色矮(わい)星、炭素星など、いくつもの興味深い天体が見つかるという副産物の多さも特徴である。一連の調査は第一次ビュラカン観測と呼ばれ、その後、第二次観測が行われた。 以下サイトで第一次ビュラカン観測の結果が一般公開されている。 Digitized First Byurakan Survey |
■イタリア |
■ウクライナ |
■英国 |
名称 | 登録年 | 説明 | |
1940年6月18日の呼びかけ The Appeal of 18 June 1940 |
2005 | (解説はフランスの項を参照) ※英国、フランス共同登録 |
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ソンムの戦い The Battle of the Somme |
2005 | 第一次世界大戦で最大の激戦であるソンムの戦いの記録映画。戦闘の歴史的重要性とともに、戦争を記録した世界初の長編映画という点が評価され、「世界の記憶」に登録された。 →この動画を見る Amazon.co.uk:The Battle Of The Somme [DVD] |
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wikipediaより転載 |
ヘレフォード図 Hereford Mappa Mundi |
2007 | 中世につくられた世界図(マッパ・ムンディ)のなかで最大。縦1.5m、横1.2mほどで、東を上にしてエルサレムを中心に、ヨーロッパ、小アジア、北アフリカが描かれている。1290年代の制作と推定。ヘレフォード大聖堂蔵。 |
wikipediaより転載 |
1215年発布のマグナ・カルタ Magna Carta, issued in 1215 |
2009 | 英国史上、最も重要な書類の一つ。失政続きのジョン王(位1199〜1216)の権限を制限するもので、前文と63カ条の条文からなる。不当な上納金、軍役代納金の徴収への反対(12条)、貴族らの封建的特権の尊重(34条)をはじめとして、適正な裁判、商人の保護などを要求した。15世紀以降、忘れられたが、17世紀に英国の自由の伝統を象徴するものとして思い起こされた。19世紀には近代民主主義の原点として過剰評価されたが、英国憲政の発展に果たした役割は大きい。 現存する4点の原本すべてが登録対象で、それぞれ英国図書館(2点)、リンカーン城、ソールズベリー大聖堂にて保管されている。 参考/『日本大百科全書』(小学館) |
英領カリブ海の奴隷登録簿(1817〜34) Registry of Slaves of the British Caribbean 1817-1834 |
2009 | 1819年、英国はロンドンに奴隷登録所を設立し、すべての奴隷に関する売買・相続・移譲の記録を開始。21年には西インド植民地の総督らが、該当地域の奴隷の資料と索引のコピーを要求した。これらの文書のうち、現在7カ国の各公文書館・図書館で保存されている奴隷の登録簿が登録対象である。なお、奴隷交易は33年に廃止。34年8月1日をもって、英国領のほとんどの地域で奴隷制度も廃止された。 ※英国、ジャマイカ、セントクリストファー・ネイビス、ドミニカ国、トリニダード・トバゴ、バハマ、ベリーズ共同登録 |
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オランダ西インド会社の文書 Dutch West India Company (Westindische Compagnie) Archives |
2011 | (解説はオランダの項を参照) ※英国、オランダ、アメリカ合衆国、ブラジル、ガーナ、ガイアナ、オランダ領アンティル、スリナム共同登録 |
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大英図書館の歴史的・民族学的録音記録(1898〜1951) Historic Ethnographic Recordings (1898-1951) at the British Library |
2011 | 言語学者や音楽学者が、世界各地で現地録音した口承文化の録音記録。録音地域はイングランドや米国にとどまらず、アフリカ、アジア、オセアニアの各大陸におよんだ。1910年ごろに日本で録音されたシリンダーも7枚含まれている。 →この音声を聴く 1898〜1915年の民族音源集 ※リンク先には登録対象外の音源も含まれる アーサー・モリス・ジョーンズ・コレクション クラウス・ワッシュマン・コレクション |
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シルバー・マン:パナマ運河の西インド出身労働者 Silver Men: West Indian Labourers at the Panama Canal |
2011 | パナマ運河(1914年開通)は、「自発的に」移民となったカリブ海諸国の労働者によって開削された。これは人類史上、最も重要な移住の例。パナマ地峡に集結した労働者は10万人を超え、そのほとんどが二度と故国へ戻らなかった。 6カ国の史料が登録対象で、英国からは駐パナマ大使クロード・マレが書いた書簡・書類が登録された。合計点数は未集計。 ※英国、アメリカ合衆国、ジャマイカ、セントルシア、パナマ、バルバドス共同登録 |
■エストニア |
■オーストリア |
名称 | 登録年 | 説明 | |
ウィーン会議の最終議定書 Final document of the Congress of Vienna |
1997 | ウィーン会議(1814〜15)は、フランス革命とナポレオン戦争により無秩序化していたヨーロッパを再編した国際会議。革命派を抑え、君主・貴族などの復古勢力による国際秩序を保つことを目的とした。しかし会議は遅々として進まず、主催者のオーストリア宰相メッテルニヒ(1773〜1859)は、機が熟するのを待つため舞踏会を開き、「会議は踊る。されど進まず」という状態が続いた。 最終議定書は全220枚。赤いビロード製の表紙と裏表紙には、署名した主要8カ国(オーストリア、グレートブリテン、ロシア、プロシア、フランス、スペイン、スウェーデン、ポルトガル)の国章が飾りつけられている。大きさは38cm×25cm。 参考/『日本大百科全書』(小学館) |
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ウィーンのディオスコリデス Vienna Dioscurides |
1997 | ディオスコリデス(40?〜90頃)は古代ローマの薬学者。その著作は、古代世界の薬学に関する最も重要な資料で、薬草を用いた治療技術の礎をなし、中世からルネサンス期にかけて多くの医師が参考にしていた。現存する写本は6世紀のもの。芸術的な価値も高い。 | |
ウィーン視聴覚記録保管所の歴史的コレクション(1899〜1950) The Historical Collections (1899-1950) of the Vienna Phonogrammarchiv |
1999 | ウィーン視聴覚記録保管所は、1899年に創設された世界初の音声資料の保管施設。その後100年間で5万点以上の録音資料を収集した。なかでも1950年までのコレクションには、言語学や民族音楽学的見地から重要な音声が数多く含まれている。ベルリン録音資料館のコレクション(1999年「世界の記憶」に登録)とともに、西欧文明の影響を受ける以前の世界各地の口承伝統をいまに伝える貴重な存在だ。 →この音声を聴く ウィーン視聴覚記録保管所サンプル音源集 |
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パピルス・エルツヘルツォーク・ライナー Papyrus Erzherzog Rainer |
2001 | オーストリア国立図書館が所蔵する18万点のパピルス古文書コレクション。この種のものとして世界最大規模で、古代エジプトで書かれた『死者の書』(前1500年)から、1500年ごろにヘブライ語で印刷された物語作品までを網羅。 | |
ウィーン市立図書館のシューベルト・コレクション The Vienna City Library Schubert Collection |
2001 | 実業家ニコラウス・ドゥンバ(1830〜1900)の遺言により、ウィーン市立図書館が遺贈を受けたことに始まるコレクション。作曲家フランツ・シューベルト(1797〜1828)に関する記録群としては世界最大で、自筆譜をはじめとする初稿を数多く所蔵し、シューベルト研究の中核施設としても機能している。 | |
オーストリア国立図書館の「アトラス・ブラウ・ファン・デル・ヘム」 The Atlas Blaeu-Van der Hem of the Austrian National Library |
2003 | これまで発行された地図帳のなかで、最も美しく、最も見事なものとされる。全50巻からなり、2400点もの図面、絵画、素描をもって全地表面を描いている。発行は17世紀。「視覚版百科事典」を目指して編集されたものである。 | |
ブラームス・コレクション Brahms Collection |
2005 | ヨハネス・ブラームス(1833〜97)はロマン派を代表する大作曲家で、現在の映画音楽の原型となった楽曲を残すなど、文化史上の重要性も高い。ウィーンの楽友協会には、死後に遺贈された自筆譜や書簡、書籍などが保管されている。自筆譜には『ダブル・コンチェルト』『ドイツ・レクイエム』『弦楽四重奏曲』(第1番〜第3番)の全譜面のほか、交響曲第5番など未完成・未発表曲のスケッチも含まれている。 | |
ゴシック建築の製図コレクション Collection of Gothic Architectural Drawings |
2005 | ウィーン造形美術アカデミーが所蔵する282枚の建築図面。このうち143枚は裏面にも描かれているため、図面総数は425点になる。1辺がおよそ5cmのものから4.5mのものまで、サイズもさまざま。世界に現存する中世のゴシック建築図面は500点足らずといわれているため、実に8割以上がこのコレクションに含まれていることになる。そのためゴシック建築史上、最も重要な資料群の一つに位置づけられる。 保存されている図面はウィーン大聖堂のほか、プラハ(チェコ)、レーゲンスブルク、ウルム、ケルン、アウグスブルク(ドイツ)、ストラスブール(フランス)の各大聖堂のもの。そのほかにも多くの教会建築が含まれ、中世後期から近代初期にかけての文化交流に関する証拠としても重要。 |
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コルヴィナ文庫コレクション The Bibliotheca Corviniana Collection |
2005 | (解説はハンガリーの項を参照) ※イタリア、オーストリア、ドイツ、ハンガリー、フランス、ベルギー共同登録 |
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タブラ・ペウティンゲリアーナ Tabula Peutingeriana |
2007 | タブラ・ペウティンゲリアーナ(ポイティンガー図)は、もともとは3世紀にまでさかのぼるとされる道路地図。縮尺率を考慮せずに古代ローマ街道を描いている。現存するのは12世紀末に羊皮紙に描かれた複製のみ。ばらばらに切り離された状態で、11葉がオーストリア国立図書館にて保管されている。古代ローマ帝国の版図を超え、アレクサンダー大王が支配下に治めた中東も描かれている。 →この地図を見る History and Geography of Europe |
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アルノルト・シェーンベルクの遺産 Arnold Schönberg Estate |
2011 | 作曲家アルノルト・シェーンベルク(1874〜1951)は、「十二音音楽」という新しい技法による音楽を創造し、20世紀の芸術音楽の展開に決定的な影響を与えた。30代初めから、表現主義的な無調音楽を確立し、第二次大戦中に米国に亡命。戦中・戦後はナチズムへの抵抗音楽を発表した。コレクションは、譜面やスケッチなど自筆の音楽書類8000枚、音楽理論や講義録、さらには政治的・民族的意見をまとめた随想を中心とする文書1万2000枚、本人や家族、弟子を写した写真3500点などで構成される。 参考/『日本大百科全書』(小学館) |
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オーストリア国立図書館の『マインツ詩篇』 Mainz Psalter at the Austrian National Library |
2011 | 『グーテンベルク聖書』に続く、印刷上の大偉業として歴史に名を残すのが、この『マインツ詩篇』である。1457年8月14日、グーテンベルクの弟子ペーター・シェーファー(1425?〜1503)が出版した。活版印刷で世に出された最初の詩篇であり、何より、多色刷りである点で注目されている。 |
■オランダ |
名称 | 登録年 | 説明 | |
TANAPより転載 |
オランダ東インド会社の文書 Archives of the Dutch East India Company |
2003 | 近世初期のヨーロッパ商社として、最も強烈な存在感を放っている東インド会社(1602〜1795)。総計2500万ページにもおよぶ同社の記録が、ハーグ(オランダ)、チェンナイ(インド)、ジャカルタ(インドネシア)、コロンボ(スリランカ)、ケープタウン(南アフリカ)の各地にて保管されている。ハーグにあるオランダ国立公文書館(左写真)には、1万5000点近くにおよぶ写本・文書・書簡・図面が収蔵されている。 これらの史料に関しては2000〜08年、「世界の記憶」登録運動と連動して、オランダ国立公文書館とライデン大学により、TANAP(Towards a New Age of Partnership)プロジェクトが行われた。これは、オランダ国立公文書館がもつ史料保存技術を各国の文書館に提供し、同時に目録などの整備を行うというものである。概要はTANAPのサイトで紹介されている。 http://www.tanap.net/ 参考/島田竜登著「歴史学はすでに『国境』をこえつつある グローバル・ヒストリーと近代史研究のための覚書」 ※オランダ、インド、インドネシア、スリランカ、南アフリカ共同登録 |
エッツ・ハイム図書館 Library Ets Haim - Livraria Montezinos |
2003 | エッツ・ハイム図書館は1616年に設立された、ユダヤ人資料の調査・研究に特化した世界初の図書館。1484年から現在までに出版された3万点の書籍と、1282年から20世紀までに作成された500点の写本を蔵する。 | |
アンネ・フランクの日記 Diaries of Anne Frank |
2009 | アンネ・フランク(1929〜45)が1942年6月14日から44年8月1日まで記した日記。ナチスによるユダヤ人強制収容からのがれ、アムステルダムの屋根裏部屋に隠れ住んでいたフランク一家4人と、同居人4人の日常が描かれている。登録対象は日記が書かれたノート3冊とルーズリーフ360枚、自作の物語をつづったノート1冊、「好きなもの」を書いたノート1冊。日記は65言語に翻訳され、世界で最も広く読まれている書籍の一つとなっている。 →この作品を読む Amazon.co.jp:アンネの日記(岩波文庫) |
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ミデルブルフ商業会社(MCC)の文書 Archive Middelburgsche Commercie Compagnie (MCC) |
2011 | 18世紀、オランダにおける大西洋三角貿易をになったのが、ゼーラント州ミデルブルフに本社をかまえたミデルブルフ商業会社である。同社の交易の3分の1は奴隷交易だった。登録された文書は、当時の奴隷交易についての理解を助ける貴重な資料となっている。 ※オランダ、オランダ領キュラソー、スリナム共同登録 |
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デスメット・コレクション Desmet Collection |
2011 | 1907〜16年の35ミリフィルム933本、ポスター1050枚などで構成されるコレクション。20世紀初頭にオランダで映画配給を行ったジャン・デスメット(1875〜1956)のコレクションで、1957年にアイ・フィルム協会に遺贈されたものである。コレクション中のフィルムの9割以上は1907〜16年に作成されたもので、そのほとんどが上映時間10分前後のショート・フィルムである。 | |
オランダ西インド会社の文書 Dutch West India Company (Westindische Compagnie) Archives |
2011 | 「世界初の株式会社」といわれるオランダ東インド会社の設立から19年後の1621年、アフリカ西海岸や新大陸、ニューギニア東方の太平洋の島々との交易を目的とする、オランダ西インド会社が設立された。活動を停止する1791年までの間に書き残された奴隷交易の記録や、初期の外交史を物語る史料などが、8カ国・地域の10機関で保管されている。 ※英国、オランダ、アメリカ合衆国、ブラジル、ガーナ、ガイアナ、オランダ領アンティル、スリナム共同登録 |
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『ラ・ガリゴ』 La Galigo |
2011 | スラウェシ島南部で話されているブギス語は「美しく、かつ難解」と評価されているが、このブギス語で書かれた最も有名な書が、叙事詩『ラ・ガリゴ』である。その起源は王家の伝統にあり、14世紀には成立したと考えられている。上質な文学表現のなかに、イスラム以前の神話体系が表されているのが特徴。1850年代に書かれた2851ページの写本(オランダのライデン大学図書館所蔵/左写真)と、19世紀前半に書かれた217ページの写本(インドネシアのラ・ガリゴ博物館所蔵)が登録された。 ※オランダ、インドネシア共同登録 |
■グルジア |
■クロアチア |
名称 | 登録年 | 説明 | |
wikipediaより転載 |
タブラ・ハンガリエ Tabula Hungariae |
2007 | 1528年以前に印刷された65cm×85cmの地図。北東を上にして、ハンガリー王国の版図を描いている。当時存在した集落や国家のランドマークが詳細に描かれ、書き込まれている自然地名は1400、集落名は1270を数える。ハンガリーの国立セーチェーニ図書館と、クロアチアのザグレブ国立大学図書館で保管されている地図が登録対象。 ※クロアチア、ハンガリー共同登録 |
■スイス |
名称 | 登録年 | 説明 | |
ジャン・ジャック・ルソーのジュネーヴ・コレクションとヌーシャテル・コレクション Jean-Jacques Rousseau, Geneva and Neuchâtel Collections |
2011 | ルソーの代表作『社会契約論』『ジュネーヴ草稿』のほか、遺作となった『孤独な散歩者の夢想』など、数々の作品の原稿をはじめ、書簡や図版などが登録対象となった。ジュネーヴ図書館、ヌーシャテル市立・大学図書館、ジュネーヴ市とヌーシャテル市のルソー協会で保管されている。 |
■スウェーデン |
名称 | 登録年 | 説明 | |
アストリッド・リンドグレーンの文書 Astrid Lindgren Archives |
2005 | アストリッド・リンドグレーン(1907〜2002)は世界的に知られる児童文学作家。このコレクションは彼女の手書き原稿を中心に構成され、わずかながら、初期の未発表作品も含まれている。 | |
エマヌエル・スウェーデンボリ・コレクション Emanuel Swedenborg Collection |
2005 | 最も有名なスウェーデン人作家の一人が、エマヌエル・スウェーデンボリ(1688〜1772)。もともと科学者だったが、のちに心霊研究を行い、キリスト教を批判するようになった。とくに最後の25年間は研究と著述に没頭し、聖書に関する分析を行っている。死後、2万枚の原稿が、ストックホルムの王立科学アカデミーに遺贈された。 | |
イングマール・ベルイマンの文書 Ingmar Bergman Archives |
2007 | 20世紀を代表する映画監督、イングマール・ベルイマン(1918〜2007)は、2002年より、自らが65年かけて収集・整理したコレクションをスウェーデン国立映画協会に寄贈し始めた。コレクションはオリジナルの脚本やノート類、写真、メイキング映像などで構成される。 | |
アルフレッド・ノーベル一家の文書 The Alfred Nobel Family Archives |
2007 | ノーベル兄弟が開発に携わったバクー油田に関する記録をはじめ、ロシア帝国で工業・商業を営んだノーベル一家の書簡、特許申請書、訴状などの文書記録群。アルフレッド・ノーベル(1833〜96)ほか、父イマヌエル(1801〜72)、兄ロベルト(1829〜96)、ルートヴィヒ(1831〜88)らにまつわる1840〜1900年ごろの記録が中心。 | |
wikipediaより転載 |
銀文字写本 Codex Argenteus - the 'Silver Bible' |
2011 |
6世紀初頭、北イタリアのおそらくラヴェンナで書き写された考えられている四福音書。朱に染めた羊皮紙に金銀の文字を用い、失われた言語のゴート語で書かれている。もとは330ページ程度あったとされ、そのうち半分強の188枚しか残っていないが、それでも現存する最も網羅的なゴート語文献として、民族的・言語学的に極めて重要な資料となっている。ウプサラ大学図書館で厳重に保管されている。 |
ストックホルム都市計画委員会の文書 Stockholm City Planning Committee Archives |
2011 | 1713年から現在までのストックホルムの都市計画に関する資料。一つの都市計画に関して、市域の全域、計画の全段階の網羅することから、顕著な記録といえる。また、図面も、貧困層の簡素な住宅から豪華な邸宅まで、行政建築から教育施設、商業・産業建築まで、あらゆる種類の建物を含んでいる。 |
■スペイン |
■スロバキア |
■スロベニア |
■セルビア |
■チェコ |
名称 | 登録年 | 説明 | |
チェコ宗教改革の中世写本コレクション Collection of medieval manuscripts of the Czech Reformation |
2007 | 14〜16世紀、主にフス派が中心となって行われたチェコ宗教改革に関する写本群。手書きの写本と初期の活版印刷本からなり、ヨーロッパ史上の一つの転換点となった時代をいまに伝える歴史物語でもある。 | |
ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人亡命者の定期刊行物コレクション(1918〜45) Collection of Russian, Ukrainian and Belorussian émigré periodicals 1918-1945 |
2007 | 戦間期、チェコスロバキアには世界各国から亡命者が入国し、彼らの活動拠点が形成された。同国政府が彼らを支援したため、多くの出版物が世に送り出されたのである。スラブ図書館には当時の亡命者たちの生活の手がかりとなる貴重なコレクションが残る。 | |
1637〜1754年の大学論文526点のコレクション Collection of 526 prints of university theses from 1637-1754 |
2011 | 中央ヨーロッパ最古のカレル大学(1348年創立)で印刷された論文。単一の教育機関でつくられたこの種の論文記録群としては世界最大。当時のヨーロッパの大学を満たしたバロックの風潮や、教科内容に関する資料でもある。 |
■デンマーク |
■ドイツ |
名称 | 登録年 | 説明 | |
ベルリン録音資料館所蔵の初期シリンダーレコードによる世界の伝統音楽記録(1893〜1952) Early cylinder recordings of the world's musical traditions (1893-1952) in the Berlin Phonogramm-Archiv |
1999 | ヨーロッパ音楽およびポピュラー音楽を除いた、世界のあらゆる音楽を記録した14万5000点の音声資料。 →この音声を聴く Experimental cylinders of the Berliner Phonogramm-Archiv |
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『メトロポリス』−部分保存第1:2001年の修復・復元ネガ "METROPOLIS" -Sicherungsstück Nr. 1: Negative of the restored and reconstructed version 2001 |
2001 | 『メトロポリス』はドイツ無声映画芸術の代表作。フリッツ・ラング監督(1890〜1976)により1926年に制作、27年に公開された。第二次世界大戦時の混乱でオリジナルのネガは紛失したが、2001年に復元版が完成し、ベルリン映画祭で上映。「世界の記憶」に登録されたのも、このときの復元ネガである。 →この作品を見る Amazon.co.jp:メトロポリス 完全復元版(2枚組)[DVD] |
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上質紙に印刷された『グーテンベルク42行聖書』と当時の文書的背景 42-line Gutenberg Bible, printed on vellum, and its contemporary documentary background |
2001 | ヨーロッパの活版印刷の創始者とされるヨハネス・グーテンベルク(1398?〜1468?)は、1445年ごろにドイツのマインツに印刷所を設立した。ここで印刷された代表的な書籍が、本文を42行組みでレイアウトした『42行聖書』である。印刷は1452〜56年。50部ほどが現存するうち、ゲッティンゲン大学図書館が保管する1点が登録された。また、原稿の手本となった『ゲッティンゲン・モデル・ブック』と、聖書印刷の事実を記録した唯一の資料『ヘルマスペルガー文書』も同時登録された。 ちなみに『ヘルマスペルガー文書』の内容は、グーテンベルクが、印刷所設備のために貸与された資金を『42行聖書』の印刷に使ってしまい、貸し手から訴追されるというものである。 |
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wikipwdiaより転載 |
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:『交響曲第9番』ニ短調作品125 Ludwig van Beethoven: Symphony no 9, d minor, op. 125 |
2001 | ベートーヴェン(1770〜1827)の交響曲第九番は世界で最も有名な楽曲の一つであり、19世紀以降の音楽史に計り知れないほど大きな影響を与えた。登録対象にはベートーヴェンの署名入り自筆譜だけでなく、6点の歴史的録音の音源も含まれた。 音源として登録されたもののうち、1923年に行われた世界初の全楽章録音(ブルーノ・ザイドラー=ヴィンクラー指揮、ベルリン新交響楽団、第2楽章のみ部分演奏)は、とくによく知られている。 →この作品を聴く YouTubeにヴィンクラー指揮のレコードをかけた動画あり(第1楽章、第2楽章、第3楽章、第4楽章前半・後半) |
ゲーテ・シラー記録保管所所蔵のゲーテの文学遺産 The literary estate of Goethe in the Goethe and Schiller Archives |
2001 | 世界で最も有名なドイツ人作家ゲーテ(1749〜1832)の著作を保管する目的で設立されたコレクション。小説はもとより、日記や書簡、科学に関するエッセイまで、ゲーテが生涯に著したあらゆる文書を保管する。ゲーテの創作を網羅するということは、すなわち、ドイツの古典主義時代を代表する一大記録をなすということでもある。 | |
ライヒェナウ島(コンスタンツ湖)の修道院でオットー朝時代に作成された装飾写本 Illuminated manuscripts from the Ottonian period produced in the monastery of Reichenau (Lake Constance) |
2003 | ドイツのオットー朝時代(936〜1024)の典型的な装飾本。10世紀後半から11世紀初頭につくられた10点の写本が登録対象。ライヒェナウ島のマリーエン修道院での装飾写本制作は、皇帝や有力な司教の支援を受けたため発達し、当時のヨーロッパで最高水準に達していた。挿絵もまた当時の宗教観を教えてくれる貴重な資料で、カロリング王朝やビザンツ帝国時代の作風がもとになっている。宗教的な意味合いは、これら旧時代のものを引きずっているが、作風はもはや完全に独自のスタイルを確立している。 | |
『子どもと家庭の童話』 Kinder- und Hausmärchen (Children's and Household Tales) |
2005 | いわゆる『グリム童話』。おそらく、ドイツ語圏で最も広く読まれている本だろう。民間に伝わる童話を学術的に収集し、組織的に編纂した、世界で最初の書籍であり、民話のために文学としての形式を創造した最初の作品でもある。「世界の記憶」には、グリム兄弟(兄1785〜1863、弟1786〜1859)が自身の手で注釈を加えた初期原稿や、初版(1812年)前の1810年に書かれた草稿「エーレンベルク稿」などが登録された。 参考/『世界大百科事典』(平凡社) →この作品を読む Amazon.co.jp:完訳 グリム童話集(岩波文庫) |
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コルヴィナ文庫コレクション The Bibliotheca Corviniana Collection |
2005 | (解説はハンガリーの項を参照) ※イタリア、オーストリア、ドイツ、ハンガリー、フランス、ベルギー共同登録 |
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wikipediaより転載 |
プトレマイオスの慣例に習いアメリゴ・ヴェスプッチの探検を組み入れた世界地図 Universalis cosmographia secundum Ptholomaei traditionem et Americi Vespucii aliorumque Lustrationes |
2005 | 1507年に印刷された地図。製作者の名を取り、一般には「ヴァルトゼーミュラー地図」として知られている。「アメリカ」という地名を記載した最初の地図で、米国議会図書館に世界でただ1点が保管されているのみ。この唯一の図面は、2003年に移管されるまでドイツのヴァルトブルク・ヴォルフエッグ図書館が所蔵していた。当時からドイツ国内で「世界の記憶」への推薦の動きがあり、現在では米国・ドイツの2カ国での登録という扱いになっている。 →この地図を見る American Memory ※ドイツ、アメリカ合衆国共同登録 |
ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツの原稿コレクション中のゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ往復書簡 Letters from and to Gottfried Wilhelm Leibniz within the collection of manuscript papers of Gottfried Wilhelm Leibniz |
2007 | 『単子(モナド)論』の著者として知られる哲学者ライプニッツ(1646〜1716)の原稿コレクションは5万点、全15万〜20万枚を数える。このなかに、彼が1100人の文通相手に送り、また返信された書簡1万5000点が含まれている。文通相手はヨーロッパはもとより、遠く中国にまでおよんだ。 | |
『ニーベルンゲンの歌』、中世ヨーロッパに起源をもつ英雄詩 Song of the Nibelungs, a heroic poem from mediaeval Europe |
2009 | 『ニーベルンゲンの歌』は、民族移動期のブルグント族の史実や伝説に題材をとった叙事詩で、英雄ジークフリートの活躍と死、妻クリームヒルトによる復讐がうたわれている。古代バビロニアの『ギルガメッシュ叙事詩』、古代インドの『マハーバーラタ』、中世日本の『平家物語』とならぶ、世界で最も有名な英雄譚の一つ。全編が完成したのは1204年ごろと推定されている。 その存在は長い間忘れられていたが、18世紀になって続々と写本が発見された。異本が多く、発見された写本は断編を入れれば37種。そのうち、13世紀初頭にアルプス地方で筆写された3点の古写本が「世界の記憶」の登録対象。なかでも写本B(左写真)が最も原型をとどめるとされる。 参考/『ニーベルンゲンの歌』(相良守峯訳、岩波文庫) →この作品を読む Amazon.co.jp:ニーベルンゲンの歌(岩波文庫) |
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1886年のベンツの特許 Benz Patent of 1886 |
2011 | 1886年にカール・ベンツ(1844〜1929)がドイツ帝国より認可された「ガスエンジン駆動の乗り物」の特許。史上初の実用的なガソリン自動車とされる「ベンツの三輪車」の特許である。カール・ベンツは特許取得前の1878年、独力で2ストローク・ガソリンエンジンを完成。83年にベンツ&C・ライン・ガスエンジン工場を設立し、84年には「三輪車」に用いられた4ストローク・エンジンを製作している。 参考/『日本大百科全書』(小学館) |
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ベルリンの壁の建設と崩壊、1990年のツー・プラス・フォー条約 Construction and Fall of the Berlin Wall and the Two-Plus-Four-Treaty of 1990 |
2011 | 1989年11月9日の夜、東西ドイツを隔てていたベルリンの壁が崩壊した。自由と民主主義を求め、ヨーロッパが革命を起こした瞬間である。壁の崩壊は、東西ドイツの物理的な統一を意味するだけでなく、ヨーロッパを分断していた鉄のカーテンが開かれ、第二次世界大戦後の冷戦が終結したことを象徴的に物語るできごとだった。 ツー・プラス・フォー(2+4)条約は、正式にはドイツ最終規定条約といい、2カ国(東西ドイツ)の統一後における、ドイツと、占領4カ国(米国、英国、フランス、ソ連)との関係を定めたもの。90年9月12日にモスクワで署名され、同年10月3日にドイツは統一された。 |
■トルコ |
■ノルウェー |
名称 | 登録年 | 説明 | |
ヘンリック・イプセン:『人形の家』 Henrik Ibsen: A Doll's House |
2001 | 1879年に完成したヘンリック・イプセン(1828〜1906)作の戯曲『人形の家』は、女性解放論者と保守派とのあいだに激しい賛否論争を巻き起こし、上演を禁じる国も出たほどだった。その一方で主人公のノラは、新しい女性の代名詞にもなった。ノルウェー国立図書館蔵のイプセン自筆原稿が登録された。 参考/『日本大百科全書』(小学館) →この作品を読む Amazon.co.jp:人形の家(新潮文庫) |
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ベルゲンのハンセン病文書 The Leprosy Archives of Bergen |
2001 | ハンセン病と人類の格闘を物語る、医師ダニエルゼン(1815〜94)やアルマウェル・ハンセン(1841〜1912)にまつわる一連の記録。19世紀、ベルゲンはハンセン病研究の一大拠点となり、1873年にはこの地でらい菌(Mycrobacterium leprae)が発見され、ハンセン病が遺伝病ではないことが証明された。「世界の記憶」には、ハンセン病博物館を併設する聖ヨルゲン病院をはじめ、ベルゲン市内の6機関が所有する記録を登録。その内容は、ハンセンらの検査報告や日記、書簡、器具・備品目録、患者の職業や食事に関する記録、各ハンセン病院との通信履歴、帳簿類など、多岐におよぶ。 | |
ロアール・アムンゼンの南極点遠征(1910〜1912) Roald Amundsen's South Pole Expedition (1910-1912) |
2005 | 総勢5名のアムンゼン隊による人類初の南極点到達は、1911年12月14日。その歴史的瞬間にいたる道のりを記録したフィルムが登録対象。 →この動画を見る ナショナル・ジオグラフィックで1分40秒に編集した動画を公開している |
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トール・ヘイエルダールの記録 Thor Heyerdahl Archives |
2011 | 作家・科学者・探検家として多方面で活躍したトール・ヘイエルダール(1914〜2002)は、その生涯に数々の写真、フィルム、それに、歴史的・芸術的・文化的価値の高い文書を残した。とくに、彼が撮影した写真やフィルムのなかには、近代化のため撮影後失われたり変容した風景を切り取ったものもあり、現代社会をひもとくうえでも大変貴重な資料である。 |
■ハンガリー |
名称 | 登録年 | 説明 | |
ティハニー・カルマンの1926年の特許出願「ラジオスコープ」 Kalman Tihanyi's 1926 Patent Application "Radioskop" |
2001 | ハンガリーの物理学者ティハニー・カルマン(1897〜1947)が1926年に提出した、テレビ放送システム「ラジオスコープ」の特許出願書類。彼は28年に英国とフランスでも特許を出願したが、その内容をもとに米国の技術者ウラジミール・ツヴォルキン(1889〜1982)が新たな受像技術を開発。現在のテレビの原型が確立された。 | |
コルヴィナ文庫コレクション The Bibliotheca Corviniana Collection |
2005 | コルヴィナ文庫は、ルネッサンス時代のヨーロッパで、ヴァティカンに次ぐ第二の規模を誇る図書館だった。ハンガリー王マーチャーシュ(位1458〜90)が創設し、哲学、神学、歴史、法学、文学、地理学、自然科学、医学、建築学などあらゆるジャンルの図書2000点以上を所蔵した。その後のイスラム勢力の侵攻で蔵書はしだいに失われたが、216点が現存する。このうちハンガリー本国に残るのは53点。ほかはオーストリア(39点)、イタリア(49点)などで保管されている。 ※イタリア、オーストリア、ドイツ、ハンガリー、フランス、ベルギー共同登録 |
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タブラ・ハンガリエ Tabula Hungariae |
2007 | (解説はクロアチアの項を参照) ※クロアチア、ハンガリー共同登録 |
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ハンガリー科学アカデミー図書館のショマ文書 Csoma Archive of the Library of the Hungarian Academy of Sciences |
2009 | アレクサンダー・ショマ・デ・コロス(1784〜1842)は、チベット文化をヨーロッパに伝えた最初の人物。彼はチベット語の文法書とともに、初の「チベット語=英語辞典」を1834年に編纂した。これらの業績のうち、チベット語に関する概要を記した4冊の「アレクサンダー・ブック」や、ショマが購入したり自ら筆写した32点のチベット語の写本・版木類、250点近い書簡などが登録された。 | |
ボーヤイ・ヤーノシュ:『空間の絶対的真性科学の証明のための補遺』(1832年) János Bolyai: Appendix, scientiam spatii absolute veram exhibens. Maros-Vásárhelyini, 1832 |
2009 | ボーヤイ・ヤーノシュ(1802〜60)は非ユークリッド幾何学の創始者の一人。父ボーヤイ・ファルカシュ(1775〜1856)も著名な幾何学者で、平行線理論の研究者だった。ヤーノシュは父が証明できなかった「直線外の1点をとおり、この直線と交わらない直線は1本ではない」ことを、父の著書の付録として1832年に発表。わずか26ページのうちに理論を展開し、その名を不朽ならしめた。ただし、これに先立つ1816年ごろには、ガウス(1777〜1855)もこのことを発見していた。(しかしガウスは発表していなかった)。 参考/『世界大百科事典』(平凡社)、雄松堂広報誌->西洋文明との出会いPart2 |
■フィンランド |
■フランス |
名称 | 登録年 | 説明 | |
「人間と市民の権利宣言」のオリジナル原稿(1789年、91年) Original Declaration of the Rights of Man and of the Citizen (1789 1791) |
2003 | 1789年にフランス国民議会が議決した「人権宣言」(人間と市民の権利宣言)。前文と17条の条文からなり、第1条で絶対王政に対する自由・平等の原理を、第3条で国民主権をうたっている。フランス革命の基本原則ともいうべき思想で、フランスの「1791年憲法」の前文になった。1948年の国連宣言をはじめ、後代への影響も大きい。 | |
メートル法の導入(1790〜1837年) Introduction of the decimal metric system, 1790-1837 |
2005 | 「北極から赤道までの距離の1000万分の1の長さを1メートルとする」と定めた提案書(1790年)から、フランスで公布された「メートル法以外の単位の使用を禁止する」という法律(1837年)まで。現在、あまねく世界で使われているメートル法の提案から導入に至る経緯を物語る9点の資料が「世界の記憶」に認められた。 | |
リュミエールの映画 Lumière Films |
2005 | リュミエール兄弟(兄1862〜1954、弟1864〜1948)はフランスの映画発明者兄弟。1894年にエジソンのキネトスコープ(映写機)を知り、その後フィルムをスクリーンに映して一時に多くの人々が見られる方法を発明した。また、世界各地にカメラマンを派遣して当時の都市や風物を撮影したほか、喜劇映画作品もわずかながら残している。「世界の記憶」にはリュミエール兄弟が撮影したフィルムのうち、現存する全1405点が登録された。 参考/『世界大百科事典』(平凡社) |
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1940年6月18日の呼びかけ The Appeal of 18 June 1940 |
2005 | 世界のラジオ放送史上、最も重要な放送の一つが、これ。ロンドンのBBCスタジオから、フランスのシャルル・ド・ゴール将軍(1890〜1970)が、ナチスへの徹底抗戦を呼びかけたものである。放送の原稿、6月22日のラジオ録音、ロンドン在住のフランス人に向け作成された戦意高揚のためのポスター(原本と掲示用に印刷されたポスター)が登録対象。 ポスターには、"La France a perdu une bataille! Mais la France n'a pas perdu la guerre!"(フランスは戦闘に負けたが、戦争に負けたわけではない!)というド・ゴールの言葉も印刷されている。 →この音声を聴く Youtube:L'Appel du 18 juin 1940 De Gaulle parle a la BBC ※英国、フランス共同登録 |
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コルヴィナ文庫コレクション The Bibliotheca Corviniana Collection |
2005 | (解説はハンガリーの項を参照) ※イタリア、オーストリア、ドイツ、ハンガリー、フランス、ベルギー共同登録 |
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バイユーのタペストリー Bayeux Tapestry |
2007 | ノルマンディー公ウィリアム(のちのウィリアム1世、位1066〜87)のブリテン島征服(1066年)を描いた、長さ70m、縦幅50cmのタペストリー。1730年にバイユー大聖堂で発見された。 タペストリーは、イングランドのエドワード懺悔王(位1042〜66)の義弟ハロルド(1022〜66)が、王位継承の約束をウィリアムに伝えに行く場面から始まる。その後、エドワード懺悔王が没し、ハロルドが王位を継承するが(位1066)、王位を要求するウィリアム軍との戦いで戦死する。全部で58景からなるが、結末部は失われている。 →このタペストリーを見る Britain's Bayeux Tapestry 参考/『詳説世界史』(山川出版社) |
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The library of Clairvaux in 1472より転載 |
ピエール・デ・ヴィレー修道院長時代(1472年)のクレルヴォーのシトー会修道院の図書館 Library of the Cistercian Abbey of Clairvaux at the time of Pierre de Virey (1472) |
2009 | クレルヴォーの写本コレクションは、修道院のものとしては、中世西ヨーロッパで最大規模。1472年にピエール・デ・ヴィレー大修道院長(1425?〜1506)が作成した目録に記載された写本が登録対象。当時この図書館には1790点の写本が収められ、そのうち1115点が現存する。現在、フランス最大かつ最も保存状態のよい中世写本群である。 ウェブ上にデータベースが作成され、一部の写本が公開されている。 The library of Clairvaux in 1472 |
ベアトゥス・レナヌス図書館 Beatus Rhenanus Library |
2011 | ベアトゥス・レナヌス(1485〜1547)はフランス・アルザス地方出身の人文学者。パリやバーゼルなど各地での活動の足跡を示すのが、このコレクションだ。1287点の印刷資料、264点の直筆文書、33冊の古写本などからなる。この図書館は、もとは1840年に建てられた小麦倉庫で、1889年からコレクションの収蔵庫として使われるようになった。 | |
フランソワ1世の治世にさかのぼるパリ・シャトレ裁判所の文書(国立中央文書館Y9) Banniere Register at Châtelet, Paris, during the reign of Francois I (National Archives Y9, France) |
2011 |
法令や特許状など、立法権のある文書の記録と出版に関する規定として、1461年に作成に着手したシャトレ裁判所文書。その第3巻(Y9文書)がフランソワ1世の治世(1515〜1547)のもので、当時続々と制定された法律や行政文書を含んでいる。なかでも特筆すべきは、1537年12月28日に宣されたモンペリエ勅令を含んでいること。全291ページの文書中、たった2ページにすぎないが、このために本件が「世界の記憶」に登録されたといっても過言ではないだろう。 |
■ブルガリア |
名称 | 登録年 | 説明 | |
11世紀の古ブルガリア・キリル文字写本『エニナ・アポストロス』(部分) Enina Apostolos, Old Bulgarian Cyrillic manuscript (fragment) of the 11th century |
2011 | 教会スラヴ語で書かれた現存最古の『使徒の働き』と『使徒書簡』(いずれも新約聖書)の写本。初期のキリル文字の書体や、その後のスラヴ系言語の変遷をたどるうえで貴重な資料である。11世紀、羊皮紙に書かれた。 |
■ベラルーシ |
■ベルギー |
■ポーランド |
名称 | 登録年 | 説明 | |
ニコラウス・コペルニクスの代表作『回転についての6巻』 Nicolaus Copernicus' masterpiece "De revolutionibus libri sex" |
1999 | 一般に「天体回転論」として知られる『(天体の)回転について』は、全6巻からなるコペルニクス(1473〜1543)の代表作で、地動説に立って天体の体系を構築した。クラクフのヤギェウォ大学に、1520年ごろに書かれた自筆原稿が保管されている。 →この作品を読む Amazon.co.jp:天体の回転について(岩波文庫)※第1巻のみ、絶版 参考/『詳説世界史』(山川出版社) |
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フレデリック・ショパンの代表作 The Masterpieces of Fryderyk Chopin |
1999 | ロマン派を代表する大作曲家ショパン(1810〜49)は、独創性と新奇性に富んだ楽曲の数々を残したことでつとに名高い。「世界の記憶」には自筆譜86点、書簡78点などが登録された。 このコレクションはワルシャワのショパン協会が1935年から回収をはじめたもので、39年に発見された『24の前奏曲』(作品28)の自筆譜などを含む。77年にはピアニストのアルトゥール・ルービンシュタイン(1887〜1982)の個人コレクションが寄贈された。 |
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ワルシャワ・ゲットーの文書(エマヌエル・リンゲルブルムの文書) Warsaw Ghetto Archives (Emanuel Ringelblum Archives) |
1999 | ワルシャワ・ゲットーは第二次世界大戦中にナチスが設けたユダヤ人隔離施設。このアーカイヴはエマヌエル・リンゲルブルム(1900〜44)がゲットーで収集した1680点の文書からなる。いずれも1939〜43年ごろに書かれたもので、収容されていたユダヤ人の手紙や手記が中心。当時のユダヤ人社会の様子をいまに伝える記録として、世界に二つとない貴重な記録遺産である。 | |
1573年1月28日のワルシャワ連盟協約:宗教の自由の保障 The Confederation of Warsaw of 28th of January 1573: Religious tolerance guaranteed. |
2003 | 16〜17世紀のポーランドは思想・宗教に寛容な「火刑なき国」で、多くの異端者の避難所となった。宗教の自由を認めたのは、ヤギェウォ王朝断絶後の空位期に、宗教的平和を保障する必要があったため。その根拠となったのがワルシャワ連盟協約である。「信仰において相違なる我々は、お互いの間で平和を維持する。また、異なった信仰と教会における差異のために血を流すことをせず、財産没収、名誉剥奪、投獄、追放によって罰しない」(第3項)などと記述されている。 参考/小山哲著「ワルシャワ連盟協約の成立 16世紀のポーランドにおける宗教的寛容の法的基盤」(『史林』90年9月号所収) |
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1980年8月のグダニスクの「21項目の要求」。大規模な社会運動「連帯」の誕生 Twenty-One Demands, Gdañsk, August 1980. The birth of the SOLIDARITY trades union - a massive social movement |
2003 | 1980年、グダニスクでは反共産主義労働者による大規模なストライキが発生した。「21項目の要求」は、交易の自由、検閲の廃止、政治犯の釈放などを求め、彼らが合板に手書きしたものである。現代ヨーロッパ史に与えた影響は大きく、この要求が発端となり、中央ヨーロッパにおける自由化の道が開かれた。 参考/「グダニスクの見所」 |
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スプラスル古写本−3月のメノロギオン Codex Suprasliensis - Mineia cetia, Mart (The Suprasl Codex - Menology, March) |
2007 | (解説はスロベニアの項を参照) ※スロベニア、ポーランド、ロシア共同登録 |
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国民教育委員会の文書 National Education Commission Archives |
2007 | ポーランドの国民教育委員会は、1773年に設立された世界初の教育省。1794年までの間に作成された法令や教育課程など、教育に関する印刷物や書類が登録対象。 | |
パリ亡命出版社の文書(1946〜2000)(インスティテュート・リテラツキ社の雑誌『クルトゥーラ』) Archives of the Literary Institute in Paris (1946-2000) (Association Institut Littéraire 'Kultura') |
2009 | 第二次世界大戦後の1946年、ソ連の支配下に置かれたポーランドから亡命した文化人たちは、ローマでインスティテュート・リテラツキ出版社を設立した。同社は翌47年に拠点をパリへ移し、文芸誌『クルトゥーラ』を創刊。『クルトゥーラ』はやがて共産主義に対する批評や、市民運動を支持する論評を掲載するようになり、2000年まで刊行を続けた。原稿を寄せたのは、アンドレ・マルロー、アルベール・カミュ、アレクサンダー・ソルジェニーツィン、ヨシフ・ブロツキー、チェスワフ・ミウォシュ(いずれもノーベル賞作家)など、そうそうたる面々である。「世界の記憶」には全637巻の『クルトゥーラ』誌、134冊の『ゼシュティ・ヒストリチュネ』誌、10万点の書簡などが登録された。 参考/岡野詩子著「パリ亡命雑誌『クルトゥーラ』に見るカティンの森事件と戦後」 |
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ラジヴィウ家の文書とネスヴィシェ図書館コレクション Radzwills' Archives and Niasvizh (Nieswiez) Library Collection |
2009 | ラジウィウ家は15〜18世紀、リトアニア大公国とポーランド・リトアニア連合王国で絶大な権力をほこった。6カ国10施設で保管されている8万点以上の関連資料が登録対象。 左写真は15世紀半ば、ラジヴィウ家の創始者とされるラジヴィウ・アスティカス(1384〜1477)が、リトアニアのカジミエシュ大公(1427〜92)から受け取った農奴の許可証。 ※ウクライナ、フィンランド、ベラルーシ、ポーランド、リトアニア、ロシア共同登録 |
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ワルシャワ再建局の文書 Archive of Warsaw Reconstruction Office |
2011 | ポーランドの首都ワルシャワは、第二次世界大戦末期、ナチスによる徹底攻撃により灰燼に帰した。戦後、1945〜53年にかけて町並みが復原され、1980年には「たぐいまれな都市復原の一例」として世界遺産に登録されている。 世界の記憶に登録された文書は3種類のコレクションからなる。コレクション第25号は、写真、図面、統計資料のほか、議事録や発注書などの雑文書類。コレクション第26号は、1946年4月12日設立のワルシャワ復原会議の資料。コレクション第27号は、ワルシャワ再建局歴史建築部門と、首都ワルシャワ保存局の報告書などから構成される。 |
■ポルトガル |
■ラトビア |
■リトアニア |
■ルクセンブルク |
名称 | 登録年 | 説明 | |
「ファミリー・オブ・マン」 Family of Man |
2003 | ルクセンブルクに生まれ、ニューヨーク近代美術館の写真部長を務めたエドワード・スタイケン(1879〜1973)が1955年に行った企画展が、「ファミリー・オブ・マン」だ。これは68カ国273人のプロ・アマチュアカメラマンから寄せられた、人の生の営みをとらえた503枚の写真で構成したもので、それまで類例のない試みだった。二度の大戦後という時代背景のもと生まれた人間主義的な写真表現であり、独創的な企画であることなどが、「世界の記憶」への登録理由。現在、ルクセンブルクのファミリー・オブ・マン美術館で常設展示されている。 →この写真を見る Amazon.co.jp:The Family of Man (公式カタログ) |
■ロシア |