解説/文=収斂さん
ハワイ諸島最大の島であるハワイ島の西海岸にあるカイルア・コナは、かってハワイが一つの王国だったときの首都だった。そのためカイルア・コナには、ハワイの歴史を語る重要な歴史的建造物が現存している。サンゴでできた、19世紀初頭のハワイ最古のキリスト教会や、ハワイ王国時代の王宮フリヘエ宮殿などがそうである。しかし、現在はこの西海岸一帯はコナ・コーストとよばれるリゾート地に変貌しており、古都の面影はない。
プウホヌア・オ・ホナウナウ史跡は、そこから南に30kmほど行ったところにある、ハワイでもっとも由緒あるヘイアウである。ヘイアウとは、ハワイ独自の宗教観による禊(みそぎ)を取り行う祭祀場であり、罪人、敗残兵など死刑を宣告された者でも、処刑前にここに逃げ込み、祈祷師による禊をすませれば罪がなくなるというものだった。そのため戦時には老人、子供、女性の避難場所にもなった。祭祀場は、15世紀にはすでに存在していたことが確かめられているが、正確な起源はわからない。
キャプテン・クックが上陸したのも、このコナ・コーストであって、プウホヌア・オ・ホナウナウから北に約6kmのところである。これ以降に続く西欧人の進出と、それにともなうキリスト教の布教によって、多くのヘイアウが破壊された。プウホヌア・オ・ホナウナウもキリスト教徒の手によって徹底的に破壊された。近年、この遺跡の重要性が見直され、1700年代以前の姿に復元された。そしてプウホヌア・オ・ホナウナウ史跡は1961年7月1日、国立歴史公園に指定された。
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