解説/文=収斂さん
南米最初期の人工物が出土
パレスケーブはスペイン語で
Gruta
del
Palacio
といい、1億3000万〜7000万年前の白亜紀の地層がみられる洞窟である。場所はウルグアイ南西部。フローレス県トリニダード(Trinidad)から西へ、アルゼンチン国境の町メルセデス(Mercedes)に向かうルート14号線の沿道にある。
この洞窟が有名になったのは、1877年に洞窟学者のマリオ・イソラ(Mario
Isola)がここを探検し、入り口から150メートル入ったところで、南米大陸でも最初期の人類のものとみられる人工的な考古遺物を発見したことに始まる。これは当時としては画期的な発見であり、考古学会に衝撃を与えた。
これまでの調査では、パレスケーブは長さ400メートル以上も続いていることが確かめられている。しかし現在のパレスケーブは、19世紀末に比べかなり悪化してしまっている。原因は周辺からの土壌の流入と、それによって引き起こされた崩落である。しかもこういった堆積物は取り除かれることもなかったため、その後も新しい土砂の堆積が続き、いまでは洞窟入り口のほとんどを埋めてしまった。
いまや30m地点まで進むのが限界に
発見当時の記録では、馬に乗って洞窟を探検したことが記されているが、現在では地下8メートル地点まで立ち入るのもやっとで、さらに先に進むためには、直径50〜70センチの細い穴をくぐり抜けなくてはならない。それでも地下30メートルまで進むのが限界である。しかしそこには地下水がたまった天然のプールが形成され、美しい鍾乳石も見られる。そしてこのプールからは、洞窟に生息する稀少な動物も発見されている。
この洞窟はまだ不明なことも多い。たとえば、空気の循環が行われている様子がないのに、洞窟内の空調がうまく行われているのだ。そのため冬には洞窟内の気温が20℃以上に上昇するが、地下プールの水温は外の気温より8℃も低くなる。このメカニズムについてはまだ解明されていない。
現在、政府はこの洞窟の土砂の除去や整備を行っている。そしてそれが完了次第、洞窟に入る観光客のため、きちんとした標識や道案内板を設け、さらに規則や制限も充実させ、保護と観光の両立をめざしている。
参考サイト
http://www.geocities.com/zjchxy/2001NewIssue/20010426_2.html
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