東国立公園とその緩衝地帯
Parque Nacional del Este and its buffer zone


国名 ドミニカ共和国
分類 複合遺産
所在地 イスパニョーラ島の南東端


審議歴
2002年 暫定リストに記載。
2003年

登録延期 … 本物件は登録基準(1)(2)(3)(7)(9)(10)に該当するとして世界遺産に推薦された。このうち自然遺産に関して、IUCNは「不登録」を勧告し、世界遺産委員会でもこの勧告が支持された。IUCNの勧告理由は以下のとおり。
(7)は、本物件の海岸は観光名所になる美しいものだが、ココナッツのプランテーションがあるため土着の植生が乱されているなど、ドミニカ共和国内における重要性すら認められない。(9)は、海中テラスや、それに関連するカルスト地形における生物進化がみられるが、顕著な価値は見いだせない。(10)は、カリブ海地域には本物件よりも生物多様性の優れた場所があり、ドミニカ共和国内においても、ハイチとの国境帯のほうが、本物件よりも多様な生物群が保存されている。
文化遺産に関して、ICOMOSは、考古学的な出土品の評価に不備があることなどをあげている。また、遺跡全域を網羅する調査計画を準備する必要があるとし、「登録延期」を勧告した。世界遺産委員会でもこの勧告を支持し、ICOMOSが指摘した計画の作成に着手し、遺跡保護のための設備や財源確保手段などを提示するべきだとドミニカ共和国政府に告げ、今回の登録を見送った


解説/文=収斂さん+浦に〜と

<文化>
  東国立公園はスペイン植民化以前、タイノ文化が栄えた地。この文化は1494年にコロンブスがジャマイカ島に到達後、30年間でほぼ断絶してしまったが、その後放棄され、また森に埋もれたおかげで、かなりの範囲が貴重な考古遺跡地帯として保存されることとなった。
  タイノ文化の遺跡の最たるものが壁画だ。東国立公園には彩色画・刻画が残り、南北アメリカでもとくに重要な先史壁画群として評価されている。


<自然>

  ドミニカ共和国はイスパニョーラ島の東岸の約6割を占める。島の東西に三つの山脈が走り、山脈周辺には丘陵地が発達している。中央山脈は標高が2,000メートル以上もあるため、亜熱帯の島であるにもかかわらず、高山性の動植物も多く生息している。東国立公園(Eastern National Park)は同国にある10の国立公園の一つで、首都サント・ドミンゴから東に約140キロの、島の南東の端に位置している。
  この公園へは、観光用のメラ・ハイウェイ(Mella highway)という高速道路まで建設されているのでアクセスしやすい。幸いなことに東国立公園はイスパニョーラ島で最も森林が豊かな場所といわれ、国内外からも高く評価されており、面積はサオナ島(Saona Island)を含めて440平方キロである。 森には貴重な鳥類が多く生息し、フクロウの仲間のバウム・オウル(barn owl)や、ブラウン・ペリカン(brown pelican)、また絶滅が危惧されているシロボウシバト(white-crowned pigeon)などが有名である。両生類や爬虫類の種類も多く、トカゲ類やヤモリ類、ウミガメ類、そして、イグアナの一種のサイイグアナ(rhinoceros iguana:IUCNレッドリスト「危急種」指定)などが代表的だ。また公園内には洞窟が多く、コウモリも多数生息している。さらに海中にも生物種は多い。なかでもアメリカマナティ(west indian manatee:IUCNレッドリスト「危急種」指定)や、イルカの仲間のボトルノーズ・ドルフィン(ハンドウイルカ bottlenose dolphin)は、絶滅が心配されている。



参考サイト
http://dominicanrepinfo.com/Parks-Reserves.htm






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