リオ・デ・ジャネイロ:シュガー・ローフ、チジュカの森、植物園
Rio de Janeiro: Sugar Loaf, Tijuca Forest and the Botanical Gardens


国名 ブラジル
分類 複合遺産
所在地 ブラジル南東部、大西洋岸の都市


審議歴
1986年 暫定リストに記載。
2003年 登録延期 … 本物件は複合遺産として推薦されたが、委員会は自然遺産の登録基準は満たしていないと判断した。一方の文化遺産としての価値については、「文化的景観」のカテゴリーで再推薦するようブラジル政府に求めた。それにともない、推薦範囲の見なおしや、法的保護措置の改正なども必要だと勧告した。


解説/文=収斂さん

  リオ・デ・ジャネイロ(Rio de Janeiro)市内には、サンタ・クルツ要塞(Santa Cruz Fort)など、ポルトガルの植民地時代に建設された歴史的建造物も多いが、現在はむしろシュガー・ローフ・マウンテン(Sugar Loaf Mountain)、チジュカの森(Tijuca Forest)、および植物園(Botanical Gardens)のほうが、代表的な観光地として世界的に有名になっている。とくに、リオを見下ろす救世主キリストの像(the Statue of Christ the Redeemer)は、街のシンボルとなっている。


救世主キリストの像
  救世主キリストの像は、標高約700メートルのコルコヴァード(Corcovado)山の頂上に、両手を広げて街を見下ろすように立っている。この像の内部には急な階段があって、像の頭にある展望台へと上ることができる。内部は美しいアール・デコ様式(art deco style)でまとめられており、石鹸石(soapstone:多少の不純物を含む滑石[talc]の一種で、
浴槽やテーブルに使われる高級石材)のモザイクで装飾されている。この展望台からは、チジュカ国立公園(Tijuca National Park)や、グアナバラ(Guanabara)などが一望できる。なお、この像とコズメベーリョ(Cosme Velho District)を結ぶ観光用のミニチュアSL鉄道は、熱帯雨林のジャングルと急勾配の山道を走るため、観光客ばかりでなく地元の人にも人気が高い。


シュガー・ローフ・マウンテン
  救世主キリストの像とともにリオの代表的な観光名所である。シュガー・ローフの名前は、山の形がサトウキビの葉の形に似ていたため、街を建設したポルトガル人たちがそう呼んだことに由来する。この山の高さは約270メートルだが、ケーブルカーを使って、だれでも簡単に訪れることができる。ただし山が急峻なため、途中ウルカの丘(Urca Hill [Morro da Urca] ともいう)で乗り継ぎをする。この乗り継ぎ地点(標高170メートル)がかなり観光開発されており、レストランやヘリポートまである。シュガー・ローフ・マウンテン頂上からの眺めは素晴らしいが、とくに早朝か夕方が絶景らしい。


チジュカの森
  チジュカの森は、都市近郊の森林公園としては世界最大の規模を誇り、面積は32平方キロもある。この公園は、典型的な大西洋熱帯雨林をそのまま公園化することで、開発から守ったものである。そのため、絶滅の危機にある数百種類の動植物が、この森にまだ生息している。ただし完全に手つかずの自然というわけではなく、園内には Museu do Acude という博物館や
マイリンク礼拝堂(Mayrink Chapel)という教会まで建設されている。なおマイリンク礼拝堂には、ブラジルで最もよく知られた20世紀の芸術家一人であるカンディード・ポルティナーリCandido Portinari)の絵がある。


リオの植物園
  リオの植物園は面積1.41平方キロで、ブラジル国内ばかりでなく、世界中から植物を集めた歴史ある植物園である。この植物園は1808年に、ポルトガル皇太子レゲント・D・ジョアン(Prince Regent D. Joao、のちのレジェント・ジョン6世 [Regent John VI])によって、輸入した植物を熱帯の気候に順応化させるため一時的に保管する目的で設立された帝国ヤシ園(Imperial Palms)が前身である。

 
1821年に彼の息子のペドロ1世(D. Pedro I)によって市民に公開され、以来、リオ市民の大切な宝物になっている。保管している植物は全部で5,000種以上といわれ、そのうち2,600種を公園内で見ることができる。園内には熱帯地方の植物らしい巨大な樹木が多く植えられている。とくにパイナップル科の植物(bromeliads:パイナップルやサルオガセモドキなど、堅い葉と穂状の花序が特徴の南米熱帯地方原産の鑑賞植物)や、ポインシアナ(poinciana:熱帯産マメ科ホウオウボク属の鑑賞植物の総称)のような熱帯の観葉植物類が充実しており、巨大なオオオニバス(victoria lily:南米産スイレン科オオオニバス属の総称)なども見られる。
  また、園内には貴重な動物も多く見られる。有名なのがオオハシ(toucan:熱帯アメリカ産のオオハシ科の巨大なくちばしを有する羽毛の美しい鳥の仲間)と
フウキンチョウ(tanager:中米から南米にかけて生息するフウキンチョウ科の小鳥の総称)である。また、マーモセット(marmoset:中南米産のキヌザル科キヌザル属の各種の小型のサルの総称)なども生息している。このほかチョウなど昆虫の種類も多い



参考サイト
http://www.copacabanapalace.com.br/web/orio/orio_c7b_trips.jsp
http://www.brazilparadise.com/rio.htm






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