解説/文=収斂さん
コルコバード国立公園(Corcovado
National
Park)は公園の半分以上を山岳地帯が占め、急峻な山岳地帯から熱帯雨林気候の海岸にわたる起伏にとんだ多様な地形のおかげで、数多くの貴重な動植物が見られる、コスタリカ屈指の国立公園である。ここではコスタリカで最も斬新かつ進歩的な環境保護運動や研究活動がなされており、公園内には
Los
Patos、Sirena、San
Pedrillo、La
Llorona
の4つの国立公園管理員駐在所(Ranger
Station)が設けられている。この駐在所へは観光客も行くことは許されているが、時期によっては増水などで通路が遮断されることもあり、また4つとも歩いて数時間はかかる場所に設営されている。
<植物>
コスタリカに生育する樹木の4分の1に相当する500種が、この公園内で見られる。山岳地帯にはオーク(oaks)やシダ植物(ferns)が多く、低湿地では熱帯性の植物、汽水域にはマングローブ林といった具合に、変化に富んでいる。とくにマングローブはジョローナ川(Llorona)、コルコバード川(Corcovado)、シレーナ川(Sirena)の河口一帯に規模が大きく広がっている。熱帯雨林地帯で代表的な木は、紫木(purple
heart:コバイワ属の植物で、木質は堅く建築材に適す)、cow
tree(樹幹から牛乳のような樹液を出す樹木の総称)、クラブウッド(crabwood:熱帯地方産センダン科カラパ属の植物)、espave(ウルシ科)、poponjoche(パンヤ科パキラ属)、nargusta(シクンシ科)、banak(ニクズク科)などである。
<動物>
コルコバード国立公園には約140種の哺乳類、367種の鳥類、117種の爬虫類・両生類、40種の淡水魚、約6,000種の昆虫が生息している。よく見られる哺乳類はクチジロペッカリー(white-lipped
peccary:テキサス以南の南北アメリカ大陸産のイノシシ亜目ペッカリー科の一種。和名でペッカリー[peccary]はヘソイノシシ)で、ホエザル(howler
monkey)、リスザル(squirrel
monkey:南米産で柔毛と長い尾が特徴の小さいサル)、クモザル(spider
monkey:熱帯アメリカ産オマキザル科クモザル属のサルの総称で、手足や尾が長い)など、貴重なサルもここでは普通によく見られる。またコウモリ類も多い。
鳥類ではベニコンゴウインコ(scarlet
macaw:熱帯アメリカ産の尾の長いインコ)が有名で、この公園が世界最大の繁殖地でもある。そのため海岸地帯ばかりか、シレーナ駐在所(Sirena
station)のような、人のいる場所でも簡単に見られる。そのほか代表的な鳥類はトキイロコンドル(king
vulture:南北アメリカ産のコンドルの一種)、シロタカ(white
hawk)、トヴィインコ(tovi
parakeet)、ダイシャクシギやカマハシチドリの仲間(bronze-tailed
sicklebill)、コバシバト(short-billed
pigeon)などである。昆虫ではハキリアリ(leaf
cutting
ants)もよく見られる。一方、大型のヤマネコ科の動物は絶滅が危惧されており、爬虫類や鳥類にも絶滅危惧種が数種いる。
参考サイト
http://www.worldheadquarters.com/cr/protected_areas/parks/corcovado/
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