アメリカの初期植民製糖工場群の道 Route of the First Colonial Sugar Mills of America
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解説/文=収斂さん+浦に〜と アメリカ大陸での砂糖生産の始まり
アメリカ大陸に建設された精糖工場は、当時スペインの植民地だったセビリア(Seville)に1503年に建設されたものが最初とされている。コロンブスの3回目の航海(南アメリカ探検)が1498年、4回目の航海(中央アメリカの東海岸の探検)が1502〜04年だったことを考えると、植民地での砂糖生産が驚くほど早くから行われたことがわかる。しかし15世紀末から16世紀初頭にかけては、スペインやポルトガルによる探検や植民地争奪戦が激しかったこともあり、砂糖の生産量はまだ少なかった。
1640年代以降、スペイン支配地域以外のカリブ海沿岸の島々でも大規模な砂糖のプランテーションが開始された。カリブ海沿岸の島々の場合、
ほかに産業がないことや、現在でも生産が行われていることなどの理由から、当時のままの精糖工場やプランテーションの名残がいくつも現存している。世界遺産に登録されたキューバのトリニダーとロス・インヘニオス渓谷(1988年登録)は有名だが、ドミニカ共和国やセントルシアにも廃棄された古い精糖工場遺構が数多くある。そのほとんどがそのまま放置されているだけなので面影は当時のままである。
「アメリカの初期植民製糖工場群の道」として2005年に推薦されたのは、以下の6カ所である。 1.ボカ・デ・ニグラ工場……16世紀前半に建造されたが、現存するボイラー室は18世紀のもの。ほか礼拝堂などが現存。1796年に奴隷反乱が起きた場所でもある。 2.ディエゴ・カバジェーロ工場……イスパニョーラ島最大のニグラ川農園産のサトウキビを加工していた5工場のひとつ。ニグラ川の水を動力とし、貯水池、洗浄室、倉庫、2つの炉が残る。 3.エンゴンベ工場……かつてバルコニーやアーケードを備えた主屋は、工場所有者の富と名声を物語る豪奢なもの。礼拝堂はネオルネサンス様式。ゴシック装飾をもたない16世紀の礼拝堂として、イスパニョーラ島で現存唯一のものだ。 4.パラベ工場……ここの主屋も2階建ての大型建築で、エンゴンベの建物に似ている。農園家屋の象徴的存在として、カリブ海を越えて広く類似の建物がつくられた。工場や倉庫も現存。 5.ラ・デクエサ工場……16世紀、コロンブスの息子ディエゴが所有した。工場建築のほか、川から水を引いた小規模なアーチ水道橋や貯水槽が残る。1522年にはアフリカ奴隷による反乱が起こった。 6.サナテ工場……石とレンガでつくられた建物は、正面に3つの巨大なムデハル・ゴシック様式のアーチをともなう。サナテ川の近くにあり、水路や貯水池、礼拝堂などをもつ。 |