解説/文=収斂さん
スワキンは数世紀にもわたって奴隷貿易港として繁栄した港町である。北アフリカ一帯で捕まえられた奴隷は、このスワキン港から、主にオスマン帝国に輸出された。そして皮肉にも奴隷貿易による莫大な富は、スワキン島に多くの華麗な建造物を生み出してきた。ここの建築は資材としてサンゴを使用していることが特徴である。
やがて奴隷貿易の衰退と、人口過密によって港町本来の機能が低下。北へ50kmほどのところにポート・オブ・スーダンが新設され、港湾機能は移ってしまう。そのため街は次第に活気を失い、貴重な建造物の補修が早くから必要になった。最初の補修工事は1881年という、当時植民地だったスーダンでは異例なほど早くから行われている。そして現在のスワキンは、奴隷貿易による繁栄という暗い歴史もあるが、スーダン・イスラム建築がよく残っている街として有名である。
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