解説/文=収斂さん
カインジ湖国立公園はボルグ地区(Borgu)とズグルマ地区(Zugurma)からなり、総面積5,341平方キロの狩猟保護区である。ここにはアフリカ・アラビア産のヒヒ属(マントヒヒ、サバンナヒヒ等)、カバ、ハイエナ、ダイカー(南アフリカ産の小型でツノが小さいレイヨウの一種)、コーブ(アフリカ中央部の草原地帯に生息するレイヨウ種)、ローン(芦毛の動物の総称でウシ、ウマの種類全般)、イボイノシシのような野生生物が多い。
カインジ湖は1968年に完成したカインジダム(Kainji Dam)によって生まれたニジェール川の貯水池であり、ニジェールとナイジェリア西部のケッビ(Kebbi)州とを分ける国境でもある。面積は1,300平方kmで、漁業や灌漑用として広く利用されている。また川の氾濫を防ぐ防災の役割も果たしている。なおカインジダムは、1969年から運用が始まったニジェール川最大のダムである。高さ66m、幅550mをほこり、電力を供給する他このダムのおかげで、川の上流のケッビ州にあるイエルワ(Yelwa)まで船の航行が可能になった。ただしこのダムの建設によって、ニジェール川にあった
Foge島や、Bussa をはじめとする川のほとりにあったいくつかの街が完全に水没した。ほかにも古都イエルワは、慢性的な洪水に見舞われるようになった。このダムの建設によって移住を余儀なくされた人は、およそ5万人にも達した。政府は川のほとりに
New Bussa という街をつくり、1966年に完成した施設(Resettlement
Villages)に、ほとんどの移住者を収容した。
裏世界遺産の館目次へ
|