ミンケベの生態系と文化的景観 Ecosystem and Cultural Landscape of the Minkebe Massif
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解説/文=収斂さん 密猟問題に直面する世界屈指のゾウの保護区 ガボンの北東に位置する、面積3万2260平方キロの広大なサバンナおよび熱帯雨林地帯。その保護のため、2002年に指定された新しい国立公園が、ミンケベ国立公園(Minkébé
National Park)で、熱帯雨林の中核部分7,560平方キロが国立公園として指定されている。いまとなってはこの広大な公園内に人間はほとんど住んでいないが、植民地化される以前(pre-colonial
times)には人びとが生活していた記録や痕跡がいくつも残っている。それは、植民地時代(the
colonial era)に、欧米の白人たちが、こうした不便な場所に住む村人たちをもっと便利な土地に移住させた結果だが、その結果、当時の村人たちの生活遺構がそのまま保存されており、ミンケベ国立公園が文化的景観でも世界遺産化を目指している理由となっている。
具体的には、公園北部とその外側の地域にMIKEゾウ目録ゾーン(MIKE elephant inventory zone)という、総面積9,319平方キロの緩衝地帯を設け、人間の影響が直接公園内におよばないようしている。ここでは2003年8月〜04年6月の10ヶ月間、ガボン政府とWWF合同でゾウの生息数の調査が行われた。この調査ではゾウの糞の個数調査や、サルなどの営巣地調査が行われ、調査の結果、1平方キロ当たりのゾウの糞の個数は、公園外で4807個/km2であるのに対し、人間の影響が中程度におよんでいる公園北部では4981個/km2、ほとんど人の影響がない公園内では6498個/km2という結果が得られた。 |