ハラッパーの考古遺跡群 (1980年の推薦名)
Archaeological Ruins of Harappa

インダス文明の遺跡群 (2004年の推薦名)
Sites of the Indus Valley Civilization

メヘルガル、ラフマーン・デリ、ハラッパー (2007, 08年の推薦名)
Mehrgarh, Rehman Dheri and Harappa

インダス文明の遺跡群 (2009年の推薦名)
Indus Valley Civilization Sites


 


▲ハラッパー遺跡
画像提供=ざざむしさん
ざざむしのホームページ
   
国名 パキスタン
分類 文化遺産
所在地 メヘルガル…バルーチスターン州。カラチの北500km
ラフマーン・デリ…北西辺境州。ラホールの西350km
ハラッパー…パンジャーブ州。ラホールの南西180km、ムルターンの北東140kmに位置する

 

審議歴
1980年 不登録 (詳細不明)
2004年 「ハラッパーの考古遺跡」暫定リストに記載。
「メヘルガルの考古遺跡」暫定リストに記載。
「ラフマーン・デリの考古遺跡」暫定リストに記載。
審議対象外 … 書類不備のため審議見送り。
2007年 審議対象外 … 書類不備のため審議見送り。
2008年

登録見送り(最終評価は不明) … 1980年登録の「モエンジョダロの考古遺跡」の拡大登録として推薦されたが、登録は見送られた。理由は不明。

2009年

不登録 … 1980年登録の「モエンジョダロの考古遺跡」の拡大登録として推薦された。委員会は、メヘルガルとラフマーン・デリは新登録の手続きをするべきだと勧告。また、ハラッパーについては、保護策を強化し、バッファ・ゾーンを再設定するなどしたうえで、引き続きモエンジョダロへの追加登録として手続きをすすめることを勧告した。


解説文=ざざむしさん(ざざむしのホームページ)+浦に〜と
  ハラッパー遺跡は、インダス文明の遺跡としてモエンジョ・ダロとならび有名な存在だが、規模・保存状態および立地で劣るため、実際に訪れる人は少ない。モエンジョ・ダロと同じ紀元前3000年ごろの都市遺跡とはいえ、発掘時期はモエンジョ・ダロより前であり、そのため考古学上はインダス文明をハラッパー遺跡を基準に分け、この遺跡以前の文化をプレ・ハラッパー文化と呼んでいる。
  モエンジョ・ダロと同じく、建築物に焼きレンガがふんだんに使われており、インダス文明におけるレンガ技術の水準の高さを示しているが、19世紀中ごろにラホールからムルターンにかけて敷設された鉄道工事の際に、多くのレンガがこの遺跡周辺からもち出された。また周辺を流れるサトラジ川(インダス川支流)の氾濫の被害も大きく、結果として1920〜21年にインド考古学局により発掘が行われたときには、すでに遺跡の多くの部分が破壊されてしまっていた。
  遺跡は約1平方キロの範囲に分布し、大きく城砦地区と労働者住居区に分けられる。市街地の南に墓地、労働者住居区の北に約800平米の巨大な穀物倉跡が残されている。墓地には特別大きな墓は残されておらず、またモエンジョ・ダロと異なり沐浴場の跡もなく、この遺跡には当時の支配者や神官の存在が感じられない。また、宮殿跡や武器なども見つかっておらず、強力な支配者の存在しない初期の都市遺跡であることがうかがえる。
  労働者住居区には労働者の作業場跡も残されており、焼きレンガでつくった18の円形作業台が並べられている。この作業場からは、ワラや麦なども出土しており、この円形台は脱穀作業に使われたものであると考えられている。
     ◇
  2000年代に入り、ハラッパーと共同で推薦されているメヘルガル遺跡は、南アジアの農耕・牧畜文化の最初期の遺跡の一つ。時代は前7000〜前3200年。ラフマーン・デリは前3300〜前1900年で、高さ4.5mの市壁に囲まれた防塞都市の遺跡である。





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