解説
インダスカワイルカはかつて、インダス川のヒマラヤ源流から河口部、さらに主な支流にも広く分布していた、ごくふつうに見られる生物だった。しかし20世紀初頭に始まったダム建設が生息地を分断してしまい、行動をさまたげ、さらにイルカ油目当ての漁で数が減ってしまった。現在ではほとんどのカワイルカが、シンド州のサッカル・ダムとグッドゥ・ダムの間で生き延びている。2つのダムに挟まれた水域は1974年、保護区に指定された。
インダスカワイルカはクジラ目カワイルカ科に分類され、淡水性、体長は2m強。にごった川に住んでいるため、目は退化し水晶体がない。光の有無しか感知できないので、超音波にたよって生活している。地球上に残り600頭ともいわれ、全78種あるクジラ目の生物の中で、最も絶滅の危機にひんしている。
参考文献
『動物大百科2
海生哺乳類』
平凡社、1986
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