ダイル・エルカマルとベイト・エディーン (1984年の推薦名) Deir el-Qamar and Beit Ed-Dine シューフ地域の一連の自然遺産ならびにその記念物群や遺跡群 (2001年の推薦名) The Entire Natural Site of the Region of the Chouf with its Monuments and Sites
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解説/文=収斂さん+浦に〜と レバノンでもっとも優雅な宮殿建築
本物件は1984年、「ダイル・エルカマルとベイト・エディーン」として世界遺産に推薦された。このうちベイト・エディーンは、レバノンのほぼ中央にある宮殿建築で、18世紀後期から50年以上を費やして完成した。レバノンでもっとも優雅な宮殿といわれ、当時を代表する中東建築である。著しい創造性を見いだせる出窓、多彩色のモザイクによる床の舗装など、いたるところに凝った装飾をもっている。
レバノンの国土は大部分が砂漠や荒涼とした大地だが、それでも中東地域の国々のなかでは、最も緑が多く残っている国とされている。そのレバノンを象徴するレバノン杉の森は、「カディーシャ渓谷と神の杉の森」として、すでに1998年に世界文化遺産に登録されている。しかしシューフ山脈(Chouf
Mountains)一帯にも、わずかではあるがレバノンが自生している。だがすでに森と呼べるほどの規模はなく、小さな群生地でしかない。それでも、こういった場所は、もう数えるほどしか残っていないのだ。 ・Ain Zhaltaの森……シューフ山脈にあり、面積は約1.1平方キロである。保存状態は良好である。最近レバノン杉の苗木を植林して、積極的に回復に努めている。 ・Maasar
El-Choufの森……ここはシューフ山脈から少し離れたところにあり、面積は6haと、きわめて狭い。この森は周囲を厳重なフェンスが取り囲み、許可がなくては中に入れない。そのおかげで保存状態は良好である。 |