解説
イスラエル南部のネゲブ砂漠には、マクテシュ(マクテシム)と呼ばれるクレーター状のくぼ地が5つある。およそ500万年の間に、固い岩盤に囲まれた部分が雨水浸食を受けて削られ、クレーターに似た姿となったものである。そうしたネゲブ砂漠のクレーターのうち、大きな3つにはマクテシュ・ラモン、マクテシュ・ハガドール、マクテシュ・ハカタンという名前がつけられ、残る小さな2つはアリフ・マクテシムと総称されている。
最大のマクテシュ・ラモンは、長さ40km、幅10kmにもなる。縁の尾根からの高低差が500mにもなる底部からは、2億年もむかしのジュラ期の地層が見つかった。これらのクレーターの底はしばしば海抜以下に達する。ネゲブ砂漠自体が標高500〜1000mの高地に位置しているのだが、クレーターの切れ込みがかなり深くなっているためである。ちなみに、マクテシュとはとはそもそも「乳鉢」や「臼」を意味する言葉で、それがいまや類型の壮大な景観を示す地学用語にもなった。
マクテシム地方にある5つのクレーターは大きさも形もさまざまで、地形形成のプロセスを示す重要な指標である。さらに荒涼とした独特の景観は、類例のない壮大な自然現象ともいえる。
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