解説
エフェソスはギリシアから移住してきた人々によって紀元前11世紀ごろまでに築かれ、神殿を中心に栄えていった。ローマ帝国に支配されてからも繁栄は続き、帝国有数の大都市にまでなった。エフェソスにはパウロが伝道に訪れ、聖母マリアが住んだことからも、キリスト教の歴史上著しい重要性をもっている。現在遺跡には、聖堂、議場、劇場、図書館、邸宅などの豪奢な建築遺構、フレスコ画や彫像といった装飾、石畳の舗道などがいくつも残されている。
数々の遺構のなかでもとりわけ印象的なのが、図書館とローマ劇場だろう。図書館は「ケルススの図書館」と呼ばれ、2世紀初頭に建築された。3世紀のゴート人侵入のとき、図書館は炎上したが、正面部分だけは破壊を免れた。今日も目にすることができるその姿は独特で、太さの異なる柱の利用や立体的な配置など、視覚効果をねらった傑作である。
ローマ劇場はきわめて良好な保存状態をほこるばかりか、地中海世界最大の遺構とされている。収容人員はおよそ2万4000人、現在も屋外コンサートに利用される劇場では、市民会議や猛獣の決闘といった見世物も行なわれていた。ローマ劇場からまっすぐのびる道はアルカディアン通りと呼ばれ、港まで通じ大変なにぎわいを見せていたといわれる。
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