解説/文=収斂さん、誠一郎さん
アラン(Alun)川のほとりの緑濃い谷間にあるセント・デーヴィッズ教会は、ウェールズ屈指の規模をほこる大聖堂で、ウェールズの守護聖人セント・デーヴィッズ(St
Davids)が、550年ごろに創建したものといわれている。現在の聖堂は1181年に建てられ、いままでに少なくとも4回大規模な改築が行われた。
1124年、ローマ教皇カリクストゥス2世(Pope
Calixtus
II)は、「セント・デーヴィッズ教会に2回巡礼した者は、ローマに1回巡礼したのと同じだけ功徳があり、3回巡礼した者は、エルサレムに1回巡礼したのと同じくらいの功徳がある」といって、セント・デーヴィッズ教会を篤く庇護した。そのため多くの巡礼者がこの地を訪れるようになり、それはいまでも続いている。
聖堂はウェールズだけでなく、英国でも数少ない12世紀初頭のころの建築様式を顕著に残し、典型的な教会建築としてよい見本である。敷地を取り囲む防壁は城塞を思わせる堅固なもので、城門から39段の階段を下った窪地に大聖堂(Cathedral)と司教館(Bishop's
Palace)が隣接して建っている。とくに大聖堂内部にある木でできた彫刻は秀作である。その北側には1365年に建てられた、セント・マリー・ホール(St
Mary's
Hall)とよばれる建物があるが、これはかってセント・マリー・カレッジ(St
Mary's
College)という大学だった。また長い伝統を誇る聖楽隊も、この教会で有名なものの一つである。そしていまでも毎年、音楽の祭典が開催されており、国内外から有名な歌手が多く参加する。
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