解説
帆船の時代に突如現れた蒸気船。全長98m、幅15.4m、排水量3675トンで、1843年の進水式当時世界最大だった。グレート・ウエスタン汽船会社はこの巨大な船をつくるため、わざわざブリストルに新たなドック(グレート・ウエスタン・ドック)を建てたほどである。船の用途は旅客用。1845年に処女航海をし、ブリストルからニューヨークへ渡った。これにより大西洋を横断した初の蒸気船、初のスクリュー船、初の鉄船となった。
第二次航海からは悪天候や故障に見舞われ、1846年の座礁事故では、その莫大なサルベージ費用でグレート・ウエスタン汽船会社を破産させてしまった。1850年、オーストラリアの会社に売られ、大改修を経たのち、ヨーロッパからオーストラリアへの移民を運ぶ船として、およそ30年間活躍した。
その後は座礁事故を機に、フォークランド諸島で羊毛や石炭の倉庫として50年間使われた。船は傷みが目立ちはじめた1937年に沈没されられることとなったが失敗し、そのままフォークランド諸島の小さな入り江に放置された。1950年代に入り、船の歴史的価値が知られはじめ、1970年に多くの協力のもと建造地ブリストルのグレート・ウエスタン・ドックに運ばれ、修復された。船はいまもそこで保存されている。
参考文献
『蒸気船の世紀』
杉浦昭典著、NTT出版、1999
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