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▲キングス・カレッジ礼拝堂 写真提供=Yumi さん(BAGDAD CAFE) ▲ため息の橋(セント・ジョージズ・カレッジ) 写真提供=Laika さん(TRAVEL BOX) |
<トリニティ・カレッジ> トリニティ・カレッジは1332年に完成した大学だが、1564年にヘンリー8世によって大きく改築され、現在のような大学となった。(そのため正門にはヘンリー8世の石彫がある)。16世紀当時、トリニティ・カレッジはケンブリッジで最大のカレッジであり、当時のケンブリッジの学生総数1200人のうち、およそ25%がトリニティ・カレッジに通っていたという。大学は、芝生の中庭を中心に、各教授の研究室が口の字に取り囲む構造をしており、中央にルネサンス式の噴水が置かれとても美しい。
シドニー・サセックス・カレッジからは、英国の歴史上もっとも重要な人物の一人に数えられる、オリバー・クロムウェル(Oliver
Cromwell, 1599-1658)が輩出した。クロムウェルの首は、現在このシドニー・サセックス・カレッジに埋葬されている。
ヤギの紋章をしたクライスト・カレッジからは、「失楽園(Paradise Lost, 1667)」の著者である詩人ジョン・ミルトン(John Milton, 1608-74)、「種の起源(On the Origin of Species by mean of Natural Selection, 1859)」を発表したチャールズ・ダーウィン(Charles Robert Darwin, 1809-92)などが輩出した。なおミルトンはクロムウェルの親友であり、共和制議会では彼を助けて書記官となったりもした。
エマヌエル・カレッジのある場所には、以前はカトリックの修道院があったが、ヘンリー8世の宗教改革で破壊され、1584年にエマヌエル・カレッジが建築された。トリニティ・カレッジの神学者トーマス・カーライトが追放されたころ、エマヌエル・カレッジ学長ローレンス・チャダートンはピューリタンであり、カーライトとも親交があった。そのためカーライトを招いて講義させることもあった。そうしてエマヌエル・カレッジは、リニティ・カレッジに引き続き、ケンブリッジのなかでピュ−リタニズム運動の中心的役割を果たした。
ヘンリー6世によって1441年に創設された、ケンブリッジ最大にして最も有名な大学である。建物は1446年から1515年にかけて建設された。構造は単廊式の垂直式ゴシックがとられ、精巧で華麗な扇形のボールトの天井をもつ。平面形の堂でありながら、壁、天井を通じて、均質で統一されたデザイン要素のくり返しが一貫されており、ケンブリッジで最も重要で美しい建築といわれる。とくに礼拝堂は豪華壮麗で、祭壇の「三賢人の礼拝図」はルーベンスの作品である。
ヘンリー6世王妃マーガレットによって、1448年に創設された。キングズ・カレッジ同様美しい大学である。
セント・ジョーンズ・カレッジは1511年創設で、ケンブリッジで最も北にあるカレッジである。建物は中庭を囲んだ対称形であり、1825〜31年に大幅な改築がなされた。基本様式はゴシック建築ながら、ピクチャレス効果をねらって、かなり自由な設計となっている。セント・ジョーンズ・カレッジ二番目と四番目の中庭の間を流れる、カム川を結ぶ屋根付きの石造橋は「ため息の橋」といわれ、名所の一つに数えられている。
イーリ大聖堂(Ely Cathedral)はアングロ・ノイマン様式の秀作で、三層構成の壁に木造天井を架け、上から見ると十字形をしている。半円柱のくり返しの垂直要素と壁面の水平要素が、室内に緊張感を演出している。聖堂は1083〜1180年に建造されたが、その後増築が多く行われた。西正面は13世紀、交差部の八角の塔は14世紀に加えられた。
ケンブリッジはイギリス建築を代表する傑作が多く存在する、たぐいまれな場所であるばかりでなく、綺羅星のごとくあふれる天才・秀才が多く育った文化史上希有な場所であるとして、世界遺産登録はほぼ間違いないと思われる。 |