解説/文=収斂さん
チャルリングェイはボーデー(Bodø)から北に40キロほどのところにある過疎の村である。ここは1906年から64年まで、一つの町として独立していたが、人口の減少によって、いまでは隣町のボーデーに吸収合併されてしまった。現在の村の人口は300人たらずだが、変化に富んだ風光明媚な自然が残り、また古い建物も多く現存しているので、ノルウェーの典型的な田舎として最近、観光客も増えてきた。
チャルリングェイの古い建築の代表的なものは、交易で栄えた昔の木造建築群である。なかでもチャルリングェイの交易所は、当時、政府の許可のない非公認の交易所だったが、ここでさまざまな商品が取引された。こうした商品取引所遺構はノルウェーでも数が少なく、保存状態がいいチャルリングェイの遺構は貴重である。取引では主にドイツ系商人が活躍したこともあって、いまでもアングル人(ドイツのシュバイク地方に住むゲルマン人の総称)との混血が多い。
現在のチャルリングェイでは村おこし運動が盛んである。村は古いものを大事にしつつも、商店、郵便局、10年の基礎学校(日本の義務教育の小中学校に相当)や幼稚園などを整備して、都会から人を呼び込むのに懸命である。そのおかげで最近では都会から移り住み、ここから船で通勤する人も増えてきた。その取り組みが評価され、2000年にヨーロッパ田舎町発展賞(Europäischen
Dorfentwicklungspreis)を受賞した。村では2010年までに、人口を400人まで増やしたいと頑張っている。
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