プロヴディフの古代都市 (1983年の推薦名)
Ancient City of Plovdiv

古代プロヴディフ (2006年の推薦名)
Ancient Plovdiv


国名 ブルガリア
分類

文化遺産

所在地 ブルガリア中南部、首都ソフィアの南東およそ150km


審議歴
1983年 不登録 … 古代都市の優れた例とはいえない。
2004年 暫定リストに記載。
2006年

辞退 … ICOMOSより、「世界遺産の登録基準を満たしていないため不登録」との勧告を受け、辞退した。ブルガリア政府は登録基準(2)(4)(6)に該当するとして登録推薦した。
(2)は、プロヴディフはバルカン地方で重要な文化交差点だが、このような場所は同地方にほかにも存在するばかりでなく、プロヴディフが最良の例示であることもない。(4)に関しては、オスマン帝国後期の家屋群の集積をなすが、個々の建物は20世紀に再建されている。(6)に関しては、東方正教会、カトリック、アルメニア教会、イスラムなどさまざまな信仰の拠点として興味深いが、プロヴディフが有するこれら「無形の力」
がいかほどであるか証明されない限り、この基準の適用は認められない。


 



写真提供=malay さん
malay's traces
   

解説/文=収斂さん
  プロヴディフはトラキア高原の古都として栄え、現在も国内有数の穀倉地帯である。ちなみに、プロヴディフとプレヴェン(ブルガリア中北部の都市)の中間あたりは、バラの香油づくりが昔から盛んで、別名バラの谷と形容されている。
  プロヴディフ旧市街は、ジャムバズ・テペ、タクシム・テペ、ネベト・テペといった丘の上一帯に広がり、石畳の坂や階段、細い路地が美しい町並みを演出している。この街の建築は、トルコでもヨーロッパでもない、ブルガリア・ルネサンス様式と呼ばれる独特なものだ。これは張り出し窓に特徴があって、狭い路地で、両側から張り出した出窓が、互いにくっついている。こういったタイプの住宅はブルガリアでも少なくなったが、ここプロヴディフにはまだ多く残っている。また木造テラス、中庭なども充実しており、田舎町でありながら洗練された美しい住宅が多く現存している。こういった住宅は、いまは多くが博物館として利用され、アルジル・クユムジョグルの旧宅が有名だ。なお、この街の建築に魅了された建築家に、ブルガリアを代表する有名なフィチェフがいる。
  プロヴディフの近くにも貴重な文化遺産がある。町からロドピ山脈に向かって
30kmほどのところにあるバチコヴォ修道院がそうである。石を敷きつめた中庭を囲んで四辺形の僧坊が建ち、三位一体寺院と葬祭礼拝堂が並ぶが、ここにはブルガリアのみならず、ビザンティン美術の傑作といわれている大天使ミカエルとガブリエルのフレスコ画がある。このフレスコ画は、どこで描かれたものかはっきりしていないが、少なくとも12世紀以前のものだ。一説には、グルジアあたりのものではないかといわれている





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