解説/文=収斂さん
オイツフスキー国立公園は1956年1月14日に国立公園に指定された。クラクフ(Krakow)の真北のユラクラコフスコ・チェンストホーヴァ(Jura
Krakowsko-Czestochowska)にあり、Krakow-Wielun
Upland
地方で最も美しい場所とされている。公園面積は18.9平方キロで、ポーランドで2番目に小さい国立公園である。公園面積のうち13.49平方キロは混合林の森林で占められ、そのうち2.51平方キロが、とくに厳格に保護されている。この公園は、面積は小さいものの動植物の種類は多く、また120メートルの深さの峡谷もあり、変化に富んでいる。こうした特徴を教えてくれる博物館(The
Park's
Museum)が公園内のオイツフ(Ojcow)にあり、動物、植物、地質に関する資料が展示されている。
<動植物の特徴>
Zloty
Potok周辺の自然環境が特に重要である。山岳地域にはトリカブトの仲間(Aconitum
gracile,
Aconitum
moldavicum)や、ゴマノハグサ科ベロニカ属の一種(Veronica
montana)のような植物が多くみられ、それ以外の暖かい場所には、イネ科のハネガヤ属の一種(Stipa
Joannis)や、コメガヤ属の一種(Melica
transsilvanica)、キク科アザミ属の一種(Cirsium
pannonicum)などがふつうに見られる。
動物はアナグマ、テン、キツネのような哺乳類が多い。また、ポーランドに21種類いるコウモリのうち、17種類がこの公園の洞窟に生息している。鳥類はフクロウやクロキツツキはふつうに見られる。爬虫類は一般的なものしか生息していないが、昆虫の種類は多い。とくにチョウの仲間は種類が多く、600種類以上もいる。
<地質学的特徴>
オイツフスキー国立公園一帯は
Krakowska
Gate
として知られるカルスト地形であり、ジュラ紀の地層が露出している。そのためアンモナイトや巻貝などの化石も多く見つかっており、1億4000万年前は暖かい海の底だったことがわかっている。
石灰岩質の土壌は水の浸食に弱いので、オイツフスキー国立公園には、プラドニック川によって形成されたプラドニック渓谷(Pradnik
Valley)をはじめ、ほかにも多くの渓谷群がある。こうした渓谷は観光名所になっており、Okopy
Hill
とよばれる高地から眺めるのがよいと評判である。また断崖には水の浸食によって出来た無数の洞窟があり、現在発見されているものだけでも215個もある。
<文化的特徴>
このオイツフの谷には、Pieskowa
Skala
城というルネサンス様式の城がある。そのほかにもいくつかの廃城があるが、現存して整備されているのはこの城だけだ。この城はオイツフスキー国立公園の観光名所になっている。また
Pieskowa
Skala
城と、その城の背後の高さ25メートルの大岩を望む景観は昔から有名で、この巨岩には「ヘラクレスの棍棒(Hercules'
Club)」という名前がつけられている。
また公園内には洞窟が多く、その中には、石器時代に住居として使用された痕跡が見つかっている洞窟もある。例えば
Ciemna
Cave
は、長さ230メートルあり、12万年前から11万年前の石器人の痕跡がある。またおもしろいのは、Lokietek
Cave
である。この洞窟は270メートルの長さがあり、14世紀のポーランド国王ヴワディスワフ短躯王(Wladyslaw
Lokietek)の秘密の隠れ家に使用された洞窟である。
参考サイト
http://hum.amu.edu.pl/~zbzw/ph/pnp/ojco.htm
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