オイツフスキー国立公園のプラドニック川流域
The Valley of the Pradnik River in the Ojcowski National Park

国名 ポーランド
分類 文化遺産
所在地 ポーランド南部の都市、クラクフの北およそ20km


審議歴
2000年 暫定リストに記載。
2003年 不登録 … 本物件の重要な点は「人と自然の相互作用」にあり、それはとても興味深く、科学的価値もあるものだが、石灰岩高地として登録するのであれば、世界にはもっと別の好例があるだろう。本物件は東ヨーロッパにおいて重要なものだが、世界遺産として顕著で普遍的な価値をもっていない。
なおポーランド政府は本物件を、登録基準(4)に該当するとして推薦していたが、推薦書では適用根拠について触れられていない。
2005年 暫定リストより削除。


解説/文=収斂さん

  オイツフスキー国立公園は1956年1月14日に国立公園に指定された。クラクフ(Krakow)の真北のユラクラコフスコ・チェンストホーヴァ(Jura Krakowsko-Czestochowska)にあり、Krakow-Wielun Upland 地方で最も美しい場所とされている。公園面積は18.9平方キロで、ポーランドで2番目に小さい国立公園である。公園面積のうち13.49平方キロは混合林の森林で占められ、そのうち2.51平方キロが、とくに厳格に保護されている。この公園は、面積は小さいものの動植物の種類は多く、また120メートルの深さの峡谷もあり、変化に富んでいる。こうした特徴を教えてくれる博物館(The Park's Museum)が公園内のオイツフ(Ojcow)にあり、動物、植物、地質に関する資料が展示されている。


<動植物の特徴>
  Zloty Potok周辺の自然環境が特に重要である。山岳地域にはトリカブトの仲間(Aconitum gracile, Aconitum moldavicum)や、ゴマノハグサ科ベロニカ属の一種(Veronica montana)のような植物が多くみられ、それ以外の暖かい場所には、イネ科のハネガヤ属の一種(Stipa Joannis)や、コメガヤ属の一種(Melica transsilvanica)、キク科アザミ属の一種(Cirsium pannonicum)などがふつうに見られる。
  動物はアナグマ、テン、キツネのような哺乳類が多い。また、ポーランドに21種類いるコウモリのうち、17種類がこの公園の洞窟に生息している。鳥類はフクロウやクロキツツキはふつうに見られる。爬虫類は一般的なものしか生息していないが、昆虫の種類は多い。とくにチョウの仲間は種類が多く、600種類以上もいる。


<地質学的特徴>
  オイツフスキー国立公園一帯は Krakowska Gate として知られるカルスト地形であり、ジュラ紀の地層が露出している。そのためアンモナイトや巻貝などの化石も多く見つかっており、1億4000万年前は暖かい海の底だったことがわかっている。
  石灰岩質の土壌は水の浸食に弱いので、オイツフスキー国立公園には、プラドニック川によって形成されたプラドニック渓谷(Pradnik Valley)をはじめ、ほかにも多くの渓谷群がある。こうした渓谷は観光名所になっており、Okopy Hill とよばれる高地から眺めるのがよいと評判である。また断崖には水の浸食によって出来た無数の洞窟があり、現在発見されているものだけでも215個もある。


<文化的特徴>
  このオイツフの谷には、Pieskowa Skala 城というルネサンス様式の城がある。そのほかにもいくつかの廃城があるが、現存して整備されているのはこの城だけだ。この城はオイツフスキー国立公園の観光名所になっている。また Pieskowa Skala 城と、その城の背後の高さ25メートルの大岩を望む景観は昔から有名で、この巨岩には「ヘラクレスの棍棒(Hercules' Club)」という名前がつけられている。
  また公園内には洞窟が多く、その中には、石器時代に住居として使用された痕跡が見つかっている洞窟もある。例えば Ciemna Cave は、長さ230メートルあり、12万年前から11万年前の石器人の痕跡がある。またおもしろいのは、Lokietek Cave である。この洞窟は270メートルの長さがあり、14世紀のポーランド国王ヴワディスワフ短躯王(Wladyslaw Lokietek)の秘密の隠れ家に使用された洞窟である。



参考サイト
http://hum.amu.edu.pl/~zbzw/ph/pnp/ojco.htm





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