1810年にシトー会が還俗され、修道院は放棄されていたにもかかわらず、現在まで残っているその姿は、17〜18世紀に建てられたバロック様式のものであり、現存する2つの教会はバロックの至宝との呼び声も高い。
クシェシュフでは十字架の道(Way
of
the
Cross)と呼ばれる、18世紀から形成された20あまりの礼拝堂が修道院を囲むように配置されている。現在この修道院には1919年に戻ってきたベネディクト会の修道僧が暮らし、周囲の自然と見事に調和している。またシレジア地方には中世より続く独特の建築も多く残っている。
聖ヨゼフ教会(St
Joseph's
Church)
1690〜96年の建造。外観の平坦さとは対照的に内部は白と金を基調とした内装が印象的である。ヴォールト、内陣、10ある礼拝堂すべてにフレスコ画が描かれている。これらは画家マイケル=ウィルマン(Michael
Willmann)によるもので、2つの教会のフレスコ画は彼の偉業といわれる。
描かれた50あまりの絵のなかでも「聖ヨゼフの生涯」、内陣のヴォールト全体に描かれた「聖三位一体」などは、17世紀後半に描かれたにも拘らず、2世紀ほどのちに流行した印象派を思わせる技法が使われている。ロココ調の祭壇も素晴らしい。
聖母マリア被昇天教会(Church
of
the
Assumption)
1728〜35年の建造。全長118m、双塔の高さは70mあり、ファサードには緻密な装飾が施されている。この教会は1301年に建てられたものをバロック様式に建て替えたものである。内部は聖ヨゼフ教会同様、白と金を基調としている。調度品や装飾は教会の建造と共に製作されたものであり、ほとんどどが当時のまま残っている。
入り口上部には、シレジアで最も素晴らしい楽器といわれるオルガンがあり、祭壇裏には縦7m、横3.5mのピーター=ブランドル(Peter
Brandl)による聖母マリア被昇天の図が描かれた絵画がある。ヴォールト全体を覆うフレスコ画はウィルマンの孫、ジョージ=ウィルヘルム=ノインハルツ(George
Wilhelm
Neunherts)によるものである。
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