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<第二次>


指示1 前の時間で,調べて分かったことを発表しなさい。
 

 指名なし発言で自由にどんどん発表させた。


・「ホームヘルパー」と言って,一人暮らしの老人の家に行ってお手伝いをしてもらえる。
・国で社会福祉費というのを予算に入れていて,お年寄りや体の不自由な人の生活のためにいろいろ補助してくれている。
・年金制度がある。
・お年寄りの人たちが,お世話を受けられるような施設が作られている。
・医療費の負担がこないようになっている。
・社会保障制度がある。
 

 短い時間によく調べ発表できたことを大いに誉め,教師の方で補足説明をしてまとめた。


説明1 高齢化社会が進む状況の中,日本は,年取った人たちでも平和で幸せに暮らせるような社会の仕組みを作りあげようとしています。
これを,「老人福祉」または「高齢者福祉」と言います。(板書)
例えば,こんなことをしてきています。

(1)法律で親の扶養を義務づけています。子供は,絶対に自分の親の面倒を見なければならないと法で決まっているのです。
(2)「老齢福祉年金」です。
  社会のために働いてくれたお返しとして,仕事を辞めてからも,毎年,国から定
  期的にお金がもらえます。
(3)老人医療費の支給です。
  ある年齢に達した人は病院でいくらかかってもお金はただになります。
(4)公共の施設に割安か無料で入れたり,利用できます。
(5)介護保険というのがあります。
  保険に入っている人は,介護が必要になったとき,年金やお金がもらえるという
  ものです。
(6)老人ホームなどの施設があります。
  中には,身よりのない方もいらっしゃいます。そのような人のために国は老人ホ
  ームを増やそうとしています。
 

 


発問1 いかがでしょう。もう一度聞きます。
日本は,高齢者にとって住み良い社会になっていると思いますか。
○か×をノートに書きなさい。
 

 さすがに,子供たちは我が国の取り組みを知って,一人を除いて「住み良い」と認めた。


○・・・・39人,×・・・・1人
 

 ここは,聞くだけにしておく。

 

「ところで,別の面から,老人のことを表したデータがもう一つあります。」と言って,次のキーワードを板書した。

ちょっとした揺さぶりをかけていく。


(板書)世界第三位
 

 


発問2 これは,何を表すものだと思いますか。
 

 列指名で答えさせる。


・住みよい町・年金の金額・病気している人・一人暮らしの数・お年寄りを大切にしているかのアンケート結果・・・など
 

 


説明2 実はこれは,お年寄りの自殺者の数なんだそうです。
平成元年度の調査(自殺白書)によると,70歳以上のお年寄りの自殺者は「世界第三位」という悲しい結果が出ているのです。
65歳であれば,「世界第六位」なんだそうです。
もちろん,お年寄りの数も日本は多いので,このような数値も高くなってしまうところもあるかもしれません。
 それにしても,なんという寂しいデータなのでしょう。
 

 子供たちは,少なからずこのデータに,ショックの様子を隠せないでいる。


発問3 みなさん。このことをどう思いますか。
 

 列指名で数名にテンポよく答えさせる。

 前時にお年寄りが増えていくことに「いやだー。」と言った子供の列である。


・ひどすぎる・まだ生きていられるのに,どうしてだろう・悲しい・信じられない
・増えていっても,こういう数だけは増えてほしくない
 

 「原因はいろいろ考えられるでしょう。
その原因は,特にお年寄りに限ったことではありません。
たまたま,こういうデータも報告されているということです。」

 このように言ってから,次に,イラストの絵を提示した。

 一人のおばあさんが薬箱を隣に置き,老人ホームと書かれた座布団に座って,
老人年金という飴を涙をこぼしながら舐めている絵である。

 吹き出しの部分は付箋で隠してある。


発問4 さて,もう一つ。お年寄りについて,こんな絵を描いた人もいます。
この漫画の絵は,ある本から切り抜いた物です。吹き出しがあります。
このおばあちゃん,何と言っていると思いますか。
 

 口々に言わせてみる。

 子供たち「家族と暮らしたいな。」「年金が少ないよ。」「もう年だなあ。」・・・・など。

 「実は,こう言っているんです。」と言って,付箋をはぎ取る。

 「○○さん,読んでくれる?」と黒板に近い席の子に読ませる。


説明3 そう。「さびしいよぉ」と言っている。周りには,医療とか年金とか老人ホームとかあるのに・・・。
 

 静かな空気が教室を包んでいる。


発問5 なぜ,さびしいと言っているのでしょう。自分の考えをノートに書きなさい。
 

 指名なしで発表させる。


・家族に会いたくて
・旦那さんが亡くなってさびしいから
・人と触れ合うことがなくて
・死ぬのはイヤだから
・身内がいないから
・一人暮らしで家族と暮らしたいから
・だれも会いに来てくれないから
・無理矢理老人ホームに行くことになったから
 

 ここでは,全ての意見を温かく受け入れた。

 「このように,別の面からお年寄りを見る人や考える人もいるのですね。」と言って,

ここで,もう一度次のように問うた。


発問6 もう一度聞きます。
日本は、お年寄りにとって住み良い社会になっていると思いますか。
○か×かノートに書きなさい。
 

 以下のように,極端すぎるほど一転して逆の結果に変化してしまった。


○・・・・1人,×・・・・39人
 

 心の変化の訳を尋ねたかったが,時間不足で断念。


指示2 こういう言葉があります。イギリスのジョーンズという歴史学者が言った言
葉です。先生と同じように視写しなさい。(板書する。)
 

(板書)


老人を待遇する仕方は,国民の品性を示す指標であると同時に,文明の程度を示す指標である。(ジョーンズ・英)
 

 教師の方で,一読した後,「待遇」「品性」「指標」など子供に辞書を引かせ,調べさせた。

 その後,この言葉の意味をかみ砕いて分かり易く説明した。


説明4 「お年寄りをいたわったり大切にしたりすることは,その国民全体の示すめじるしである。そして,その国の文明がすばらしいものかそうでないのかを示すめじるしでもある。」という意味です。
 

 


発問7 この指標を高めるためには,誰が努力しなければなりませんか。
 

 子供たち「国民。」と言う。


指示3 ○○さんも,○○くんも国民の一人ですよね。(子供「はい。」)
ちょっとでもいい。どんなことでもいい。将来の「高齢化先進国」日本のために,指
標を高める努力を自分なりにしてみたいと思う人,手を挙げなさい。
 

 全員の手が,さっと挙がった。

 最後に,教師の方で次のように語るように言った。


説明5 みなさんは,お父さんお母さんの子供です。
お父さん,お母さんは,おじいちゃんおばあちゃんの子供です。
今,こうして,みんなが生きていられるのは,みんな,おじいちゃんおばあちゃんた
ちが,みなさんのお父さんお母さんを生んでくれて,ちゃんと育ててくれたからです。
年上の人や,お年寄りを尊敬し,お世話をすることは当たり前のことなのです。
どんな人でも年を取ります。
年を取れば,どんな人だって老化します。弱ってきます。これを防ぐことはできません。
みなさんもそうやって大人になり,誰からも慕ってもらうお年寄りになって受け継い
でいくのです。それが,本当の平和な社会なのです。お年寄りを大事にすることは,将来の自分を大事にすることなのです。
 

 子供たちは,しーんとして聞いていた。


指示4 今日の授業の感想を書きなさい。
 

 書けた子から,数名発表させて授業を終えた。

 

▼ 子供の感想から


・私は,今までお年寄りの気持ちとかを真剣に考えたことはありませんでした。でも,今日の学習で,日本のお年寄りは本当に満足しているのだろうかと思うようになりました。
・改めてお年寄りを身近に感じた。特別じゃないと言うことも改めて実感した。
・これから,おじいちゃんやおばあちゃんと自然に触れ合っていきたいです。
・私は,これから親を大事にしていきたい。
・お年寄りを大事にするのは,その人のためと言うよりも自分のためになると言うことが分かった。私もいつかそうなるんだから,もっと人を大切にして自分を大切にしたいと思った。
・お年寄りは特別な存在だと今まで思ってきました。でも,お年寄りを大切にすると言うことは当たり前なんだと言うことに改めて気付かされました。
・自分も年を取ったら,大切にされるようになりたい。お年寄りにいい接し方やふれ合い方のできる人,そして国にしたい。
・日本は,本当にお年寄りにとって住み良い国なのかよく分からないけれど,私たちは老人の人たちがいたから生きていられるのだから大切にしていきたいと思う。
・お年寄りの人は、たくさん苦労しているに違いない。しかも,自殺者数が世界第三位というのは悲しい。20年後には,4人に一人は老人というのはすごい。しかも超高齢化社会で世界一位というのはうれしいことだ。
・ぼくは,老人は国で大切な存在だと思いました。老人を大切にする国はすばらしいとジョーンズさんが言っているが,それは正しいと思いました。
・ぼくのおばあちゃんは,寝たっきりなので,もっと看病して喜ばせたいと思いました。
・ぼくは,今度からお年寄りにバスで席を譲ったりしていきたいと思った。
・日本は,こんなにもたくさんのことをお年寄りにしていることが分かった。でも,何人かはさびしい思いをしていたり,自殺をしたりと言うことは悲しいと思った。
 これからは私も身近なところでも優しくしたいと思った。
・これからは,私たちがお年寄りを守っていくんだと言うことを実感した。
・お年寄りを大切にすることは自分の国を大切にすることだから,自分のおじいちゃん,おばあちゃん,お父さん,お母さんを大切にしていきたいと思った。
・ジョーンズさんの言っているのは,もっともだと思った。これからは,お年寄りの気持ちと意見をきちんと聞いて,大切にしていきたいと思った。
・お年寄りを大切にすることは,当たり前のことだと先生の話を聞いて改めて知った。
もう少し長生きしてほしかったのに,なぜ自殺してしまう人がいるのか分からない。
・何をするにも思いやりがなければいけないんだと改めて思った。私には,おばあちゃんもおじいちゃんもいないけれど,お父さんお母さんとずっといっしょにいたいと思った。そうすれば,お父さんもお母さんも安心して年を取れると思った。
 

 

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