雷蔵
市川雷蔵映画
新・平家物語 新・平家物語(’55大映)

監督:溝口健二

共演:久我美子
    柳永二郎
    木暮実千代
    香川京子
    林 成年

保延三年にはじまり、公卿達の蔑視を受けながら次第に勢力を上げつつあった武士階級の中で、青年・平清盛が権力への野望を抱き、様々な対立抗争に巻き込まれながら勢力を伸ばしていく過程を描く。

吉川英治の代表的歴史小説を名匠溝口健二が動きに富んだ絵巻物語に仕上げた。
若き清盛に抜擢された市川雷蔵の若武者ぶりが素晴らしい。
弁天小僧 弁天小僧(’58大映)

監督:伊藤大輔

共演:青山京子
    黒川弥太郎
    勝新太郎

不良旗本三人組が大名や江戸商家の弱点に乗じ強請りを働こうとするもを知った日本左衛門一味の白浪五人男が三人組を出し抜き甘い汁を吸う。
五人男の片割れ弁天小僧はその美貌を生かして大活躍するが、やがて事件の犠牲となった町娘の純情に打たれ、又、商家浜松屋の老主人が実の父であると知り、良心に目覚める。
町娘に扮した青山京子の好演が光る。
炎上 炎上(’58大映)

監督:市川 崑

共演:仲代達矢
    中村雁治郎
    新玉三千代
    中村玉緒
三島由紀夫の小説「金閣寺」を市川 崑が監督した。

この世で一番美しいものは金閣寺の建築だと亡父から教え込まれた青年は、深い憧憬から金閣寺の徒弟となるが、戦後は訪れる観光客で寺は俗にまみれる。
師と仰ぐ住職は戒律を犯して女色に溺れ、青年は不信と絶望感のに追い詰められる。
ついに寺に放火した青年は囚われの身となり護送の途中、列車から飛び降りて死ぬ。

雷蔵始めての現代劇で、その演技が認められキネマ旬報主演男優賞、ブルーリボン賞主演男優賞などを受賞した。
薄桜記 薄桜記(’59大映)

監督:森 一生

共演:勝新太郎
    真城千都世
    三田登喜子
    香川良介
丹下典膳は留守中、最愛の妻が卑劣な手段により五人組に犯されたことを知り、苦難の末五人を探し出し復讐を果たすが、自らも傷つき妻と共に果てる。

二人の死を看取った親友の中山安兵衛(勝新太郎)はこれから吉良邸に討ち入りする身であった。

五味康祐の原作を森一生が重厚に演出した時代劇のの傑作。

特にラスト、雷蔵の片手片足に深傷を負いながら必死に戦う雷蔵のデカダンスの美しさは筆舌につくしたいものがあり、彼の代表作の一本になった。
大菩薩峠 大菩薩峠(’60大映)

三隅研次

共演:本郷功次郎
    中村玉緒
    山本冨士子
    菅原謙二
    根上淳

秀麗富士を遠望する大菩薩峠の頂上。黒紋付着流しの机竜之助は、一刀のもとに居合わせた老巡礼を斬り捨てた。この祖父の死に驚くお松を、通り合わせた怪盗裏宿の七兵衛が助けて江戸へ向った。・・・・

中里介山の長編小説を三隅が研次監督。雷蔵は机竜之助をニヒルに演じた。

忍びの者 忍びの者(’62大映)

監督:山本薩夫

共演:伊藤雄之助
    藤村志保
    城健三朗
    小林勝彦
    西村 晃
    岸田今日子
大泥棒として有名な石川五右衛門を権力に反逆した下忍として描いた村山知義の小説を社会派監督の山本薩夫が演出した。
リアルで豪快なアクションと反逆と悲哀の下忍の叫びを描き出し時代劇映画に新たな局面を創出した。

戦国末期、伊賀の国、百地三太夫の配下石川五右衛門は抜群の技術を誇り仲間から一目置かれていた。

三太夫役の伊藤雄之助が迫力ある熱演。シリーズ化され大映のドル箱として人気を集めた。
破戒 破戒(’62大映)

監督:市川 崑

共演:藤村志保
    三國連太郎
    岸田今日子
    中村雁治郎
    船越英二
    長門裕之

島崎藤村の原作を市川 崑が独自の解釈で徹底したリアリズム演出。

信州、部落出身の小学校教員・丑松が歩んだ険しい青春の道。

映画化は’48年に木下恵介もしているが、市川の映画は“市川 崑流”の「破戒」として高く評価された。

眠狂四郎殺法帖 眠狂四郎殺法帖(’63大映)

監督:田中徳三

共演:中村玉緒
    城健三朗
    小林勝彦
    沢村宗之助

封建の世に転びバテレンと武士の娘との間に生まれ、暗い宿命を負いながら虚無と孤独の影を引いて生きる剣士・眠狂四郎の無双円月殺法と妖麗凄絶なエロティシズムが織成す柴田錬三郎ベストセラーの映画化。

シリーズ化され12作作られ雷蔵の代表シリーズになった。
若親分 若親分(’65大映)

監督:池広一夫

共演:朝丘雪路
    藤村志保
    三波春夫
    成田三樹夫
    佐藤 慶

東映の任侠映画ブームに刺激され雷蔵主演による任侠シリーズができた。

日露戦争の戦勝気分に酔っていた頃、南条組の親分辰五郎が殺される。
海軍少尉の軍服のまま葬儀に参加した辰五郎の一子・武が二代目を襲名。父の仇である伊蔵一家に殴りこむ。
陸軍中野学校 陸軍中野学校(’66大映)

監督:増村保造


共演:小川真由美
    加東大介
    待田京介
    E・H・エリック
日本陸軍の諜報機関員養成学校だった陸軍中野学校に題材をとったドラマである。
昭和13年、若い将校たちが集合を命じられ家族との連絡を絶ってスパイとしての訓練を受ける。
この訓練の過程を増村保造が集団劇としてリアルに描いた。

やがて雷蔵はイギリスのスパイだった許婚者の小川真由美を自分の手で殺し他の若者達と共に第二次世界大戦の戦雲に只中に潜入していく。
ある殺し屋 ある殺し屋(’67大映)

監督:森一生

共演:野川由美子
    成田三樹夫
    小池朝雄
    小林幸子
普段は小料理屋の無口な板前だが、実は名を知られた殺しの請負業で生きている男の話である。
暴力団木村組から敵対するボス大和田の殺人を2千万円で請け負った主人公塩沢は競馬場、大和田邸、大和田の妾宅と大和田を狙ったが果たせず、遂に大和田の主催するパーティに潜入。
畳針で一気に刺殺する。

ニヒルなキャラクターにぴたりと嵌った雷蔵だが続編が1作出来ただけで、雷蔵の死により中断された。
華岡青洲の妻 華岡青洲の妻(’67大映)

監督:増村保造

共演:若尾文子
    高峰秀子
    伊藤雄之助
    渡辺美佐子
    浪花千栄子

有吉佐和子の同名小説の映画化。

世界最初の全身麻酔に成功した華岡青洲。
だがその麻酔薬発明の裏には、華岡の妻と母との深い確執があった。
青洲の愛を確かめるために互いに争って実験台になろうとするまでの女たちの凄まじいまでの自我を増村は鬼気迫る演出で描き出した。

  映画館主から

歌舞伎界から23歳で映画界に転身して、1969年に37歳という若さで死去するまで15年間に154本の映画に出演した市川雷蔵。
雷蔵に死から2年後には大映が倒産しています。
雷蔵の死は大映を象徴する出来事であったようです。

1959年の「炎上」での雷蔵の演技は高く評価され、キネマ旬報主演男優賞、ブルーリボン主演男優賞などを受賞。
1960年代は「忍びの者シリーズ」「眠狂四郎シリーズ」の大ヒットで、「悪名シリーズ」「座頭一シリーズ」の勝新太郎と大映の二枚看板を背負い人気を二分していました。

幼少期からあまり恵まれていなかった生い立ちから、雷蔵にはどこか虚無的なニヒルな影が感じられそれが雷蔵の魅力にもなっています。
「新・平家物語」「炎上」「薄桜記」「大菩薩峠」「破戒」「眠狂四郎」「華岡青洲の妻」などの文芸作品の主役に多く抜擢されたのもそのためかと思われます。

勝新太郎が俳優仲間たちと豪遊するのに比べ、雷蔵は密かに裏方を自宅に招き接待したようです。
誰に対しても驕らず、高ぶらず、常に礼儀正しい人柄の雷蔵は、嫌いな人間は徹底的に嫌うタイプで、特に仕事がいい加減な人間が嫌いだったようです。

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