「新撰組」の片岡千恵蔵
片岡千恵蔵映画
血槍富士 血槍富士(’55東映)

監督:内田吐夢

共演:月形龍之介
    喜多川千鶴
    田代百合子
    加東大介
    島田照夫
内田吐夢が13年ぶりに作った戦後第一作。

江戸時代。酒乱の気がある若様の槍もちとして東海道を江戸に向かった権八は、途中、様々な人間模様に触れ人の情けを知る。
ところが若様がつまらない諍いで殺され、権八は槍で敵討ちをするはめになる。

封建制度の理不尽さを内田は骨太なタッチで描き、ラストの壮絶な大団円は語り草である。
大菩薩峠 大菩薩峠(’57東映)

監督:内田吐夢

共演:中村錦之助
    月形龍之介
    大河内伝次郎
    長谷川裕見子
    丘さとみ
中里介山の長編小説を内田吐夢が映画化したもの。
武州の剣客・机龍之助の苦悩に満ちた地獄めぐりが内田吐夢のダイナミックな演出で描かれた3部作。

机龍之助(千恵蔵)は、試合で殺した侍の許婚お浜を犯して妻とし、江戸へ出て新撰組に入り京都へ行く。
宇津木兵馬(中村錦之助)は兄の仇としてその後を追う。
狂乱の机は一子をなしたお浜を斬り、天誅組に参加し大和の戦いで盲目となる・・・。


任侠清水港 任侠清水港(’57東映)

監督:松田定次

監督:中村錦之助
    千原しのぶ
    大川橋蔵
    東千代之介
    月形龍之介
    伏見扇太郎
    市川右太衛門

東海道を背景に、人間次郎長の姿を通じて、世紀の遊侠陣清水一家の波瀾、ひいては遊侠渡世の仁義の世界を東映イーストマンカラー、オールスターキャストで描く。

万松寺住職を斬り二百両を奪った上、捕えに向った親分森の五郎も殺して逃げた山梨の国太郎。子分石松の縁のつながりから五郎の子分小幡の新太を伴い、国太郎を追う次郎長。
が黒駒の勝蔵の指金で、大政の挨拶にも拘らず国太郎を逃そうとした猿屋勘助に怒り、二人を斬って旅に出る。

新撰組 新撰組(’58東映9

監督:佐々木康

共演:東千代之介
    大友柳太朗
    里見浩太朗
    月形龍之介
    千原しのぶ
    長谷川裕見子
    桜町弘子
    
近藤勇の豪快で温情的な行動を中心に佐々木康が骨太の娯楽映画に仕上げた。

新選組の横川ら三人が、見世物一座の勘兵衛を、理由なく斬り殺して逃げた。
会津の小鉄はそれを新選組の道場に怒鳴りこんで、近藤勇(千恵蔵)の知遇を得るようになった。横川らは近藤勇と対立する関副長の部下であり、関の助けで道場を逃げだしたが、沖田総司らに追われ、山中で捕った。そのとき、沖田の危いところを助けたのは、杉作を連れた鞍馬天狗(東千代之介)だった。
国定忠治 国定忠治(’58東映)

監督:小沢茂弘

共演:里見浩太朗
    月形龍之介
    長谷川裕見子
    進藤英太郎
    原 健索
千恵蔵が国定忠治を演ずる痛快編。

悪代官を斬って赤城の山に立てこもった忠治は、やがて無数の捕り方に囲まれて味方を失い、赤子を抱えて信州路を落ち延びていく。
昔の恋人に赤子を預けて再び一人旅を続ける忠治。
その途中、忠治は女子供を売り買いする悪党相手に30人を斬りまくるのだった。
無法街の野郎ども 無法街の野郎ども(’59東映)

監督:小沢茂弘

共演:高倉 健
    喜多川千鶴
    佐久間良子
    ヘレン・ヒギンズ
    山村 聡
    進藤英太郎

    
千恵蔵のギャング映画。

無法地帯である伊集院牧場一帯に、熊襲の健(千恵蔵)と称する異様な男が乗りこんできた。
牧場主伊集院から警察にひき渡された熊襲は、説諭で釈放されると津川村の潜吉にからまれていたあけみを救って、その腕力をみこまれ、津川組の女組長ユキに雇われた。
ユキはクラブQを経営する堀内との麻薬取り引きに彼の腕力を利用しようとしたのだ。しかし熊襲は寝がえりをうって堀内の側についてしまった。
多羅尾伴内/七つの顔の男だぜ 多羅尾伴内/
七つの顔の男だぜ
(’60東映)

監督:小沢茂弘

共演:中山昭二
    中原ひとみ
    江原真二郎

「ある時は片目の運転手、又ある時は老巡査・・・しかしてその実体は、正義と真実の使徒、藤村大造だ!」というクライマックスの決め台詞は一世を風靡した。
’47年の第一作「七つの顔」から’60年の「多羅尾伴内/七つの顔の男だぜ」まで全11作が製作された。
変装の名人である主人公が、次々と変装術を駆使して難事件を解決していくのだが、どんなに変装しても千恵蔵の顔なのに悪人は気が付かないのが不思議であった。
御存じ・いれずみ判官 御存じ・いれずみ判官
(’60東映)

監督:佐々木康

共演:進藤英太郎
    丘さとみ
    木暮実千代
    千秋 実
    山形 勲
    

遠山の金さんこと北町奉行・遠山金四郎が遊び人の金さんに身をやつし、市井の中に飛び込んで難事件を解決する人気シリーズ。
クライマックスのお白州の場面で、知らぬ存ぜぬと白を切る悪党どもに、片肌脱いだ金四郎が「てめえら、この背中の桜吹雪が目にはいらねえか!」と一喝する啖呵のよさが人気を博した。

妖刀物語/花の吉原百人斬り 妖刀物語・
花の吉原百人斬り

(’60東映)

監督:内田吐夢

共演:水谷良重
    山東昭子
    木村 功
    千原しのぶ
    沢村貞子
    原 健索
歌舞伎の三世河竹新七の代表作、籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)の映画化。

顔に醜いアザがある田舎商人が吉原の遊女に夢中になるが、手玉にとられ、太夫となった遊女の行列に名刀・村正を抜いて斬り込む。
内田吐夢のラストの阿鼻叫喚の演出は見ごたえ充分。
田舎商人役の千恵蔵と遊女役の水谷良重が好演だった。
赤穂浪士 赤穂浪士(’61東映)

監督:松田定次

共演:中村錦之助
    東千代之介
    大川橋蔵
    丘さとみ
    桜町弘子
    大川恵子
    里見浩太朗
    大河内伝次郎
    月形龍之介
    市川右太衛門
大佛次郎の原作を映画化した東映創立10周年記念映画である。


大石内蔵助に千恵蔵、脇坂淡路守に錦之助、浅野内匠頭に橋蔵、堀部安兵衛に東千代之介、吉良上野介に月形龍之介、千坂平部に市川右太衛門という豪華キャスト。

大石内蔵助の千恵蔵は、確かな重みと貫禄充分であった。
お坊主天狗 お坊主天狗(’62東映)

監督:佐々木康

共演:大友柳太朗
    美空ひばり
    大川橋蔵
    久保菜穂子
    三島雅夫
子母沢寛原作の仇討ものの映画化。

旗本を捨てた男と偏屈者の名研師が、悪代官を仇と狙う武家の出の芸者を助ける。
悪代官の忠臣は迷いながらも結局娘に仇を討たせることになる。
十三人の刺客 十三人の刺客(’63東映)

監督:工藤栄一

共演:嵐寛寿朗
    西村 晃
    内田良平
    里見浩太朗
東映がチャンバラ時代劇から任侠ものや実録暴力団路線に移行する過程に生まれたいわゆる“集団時代劇”を代表する作品である。
工藤栄一はこの他、「十一人の侍」や「大殺陣」などの作品でこのジャンルでの旗手となる。

将軍の弟で明石藩主である暴君を権力の座から抹殺するべく刺客が送られた。
刺客たちは明石藩一行をある宿場に待ち伏せし、いく手をふさいで殺戮するべく計画を練る。
御金蔵破り 御金蔵破り(’64東映)

監督:石井輝男

共演:大川橋蔵
    朝丘雪路
    丹波哲郎
    杉浦直樹
    安部 徹

石井輝男初の時代劇。
フランス映画「地下室のメロディ」を下敷きにした異色作であった。
アラン・ドロン役が橋蔵、ジャン・ギャバン役が片岡千恵蔵である。

牢内で知り合った旗本くずれのヤクザ半次と老盗賊・富蔵は、江戸城内の御金蔵破りを計画するが・・・。
日本暗殺秘録 日本暗殺秘録(’69東映)

監督:中島貞夫

共演:若山富三郎
    吉田輝雄
    菅原文太
    高橋長英
    千葉真一
    鶴田浩二
    高倉 健

桜田門外の変の大老・井伊直弼暗殺から2.26事件まで、江戸、明治、大正、昭和と歴史を血に染めた数々の暗殺事件をドラマ化した異色作。

大久保利通暗殺事件、ギロチン社事件、血盟団事件など、“仁義なき戦い”シリーズに取り組む以前の笠原和夫が脚本に参加している。

千恵蔵は血盟団事件の首謀者・日蓮宗の僧侶を不気味に演じていた。
映画館主から

片岡千恵蔵は、戦前・戦後を通じて時代劇で活躍した俳優です。
少年時代は歌舞伎界でスタートした彼は若くして映画界に転進。25歳の若さで『片岡千恵蔵プロダクション』を設立。後の俳優プロのさきがけとなったのです。

その後、日活、大映、東宝、東映と移籍して、私が物心ついたときには既に東映の御大スターでありました。
彼は『忠臣蔵』の浅野内匠頭役をやりたくて役者になったのだそうで、何度も映画化されているのだそうですが、残念ながら私は未見です。

「織田信長」「宮本武蔵」「独眼流正宗」などの時代劇を得意とした彼ですが、現代劇でも特異のキャラクターを残しています。
「多羅尾伴内」「金田一甲耕助」シリーズがそれで、「多羅尾伴内」シリーズでは11本、「金田一甲耕助」シリーズでは6本の作品があります。

「ある時は片目の運転手、又ある時は老巡査、ある時はセムシの怪人・・・しかしてその実体は、正義と真実の使徒、藤村大造だ!」と、千恵蔵が悪人を一喝する場面では、千恵蔵の訛りの台詞のせいか「使徒」を「人」と聞き違える人が多かったのですが、私もそうでした。
大体において千恵蔵の台詞は何を言っているのか良く分からないのでした。その点では大河内伝次郎と双璧といえます。
ただ、凄みを利かしたその恫喝は悪人を怯えさせるに充分なのでした。

同様なことはラストのお白州の場面で、遠山の金さんの千恵蔵が 知らぬ存ぜぬと白を切る悪党どもに、「てめえら、この背中の桜吹雪が目にはいらねえか!」と一喝するのにもいえます。

変装の名人・多羅尾伴内や、町人の金さんがどう見ても千恵蔵にしか見えないのに悪人たちが最後まで気が付かないのはお笑いでしたが、それは芝居における一種の約束事でありましょう。

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