歴史的假名遣ひで現代文を書かう

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2001/10/19 更新(cgi counterを設置) (1999/04/10 公表)

口語の文章の假名遣ひについて …… 假名遣ひには、「現代仮名遣い」と歴史的假名遣ひの二種類があります。歴史的假名遣ひは主に文語に用ゐられますが、其の法則さへ理解出來れば口語にも使用出來ます。此處では口語の文章における歴史的假名遣ひの簡單な解説をしたいと思ひます。

本論

漢字で書ける部分は漢字表記しませう。

實は現代の日本語の文章は殆ど漢字假名混じり文と成るので、出來る限り漢字表記をする事で假名遣ひのカモフラージュが出來ると云ふ事なのです。常用漢字で除外された舊字體を用ゐると更に效果的でせう。

ワ行四段活用はハ行四段活用に書直しませう。

いう、行う、思う、拂う、洗うなどの語は全てハ行四段活用に書直します。

未然形 連用形 終止形 連體形 假定形 命令形
歴史的 いは いひ いふ いふ いへ いへ
現代 いわ いい いう いう いえ いえ

四段活用未然形のオ段はア段に書直しませう。

現代假名遣ひでは未然形の一つの形態として、いおう、書こう、話そう、持とうなどの用法が有りますが、此れは全てオ段をア段に書直します。意志・推量のを附加した形式で一覧にします。

カ行四段 サ行四段 タ行四段 ナ行四段 ハ行四段 マ行四段 ラ行四段
歴史的 書かう 話さう 持たう 死なう 買はう 進まう 切らう
現代 書こう 話そう 持とう 死のう 買おう 進もう 切ろう

意志・推量のヨウには氣を附けませう。

四段活用以外の動詞に附くヨウは其の儘、直さずにヨウと書きます。ヤウと書直さないやうにお氣を附け下さい。

ワ行上一段 ハ行下一段 カ行變格 サ行變格
歴史的 ゐよう 與へよう 來よう しよう
現代 いよう 与えよう 来よう しよう

形容詞の終止形はイの儘で書きませう。

赤い・青いなどの形容詞を書く時は其の儘、赤い・青いと書いて下さい。「赤ひ」とか「赤ゐ」とかの表記はしないやうにご注意下さい。

未然形 連用形 連用形 終止形 連體形 假定形
歴史的 赤から 赤かつ 赤く 赤い 赤い 赤けれ
現代 赤かろ 赤かっ 赤く 赤い 赤い 赤けれ

形容詞・形容動詞・助動詞のロウはラウと書きませう。

赤かろうと云ふ語は赤からうとなるやうに、書直します。幾つか凡例を示して置きます。

形容詞 形容詞 形容動詞 形容動詞 助動詞 助動詞 助動詞
歴史的 早からう 美しからう 靜かだらう 難解だらう だらう たらう なからう
現代 早かろう 美しかろう 静かだろう 難解だろう だろう たろう なかろう

助動詞のショウはセウと書きませう。

です・ます調では以下のやうに書直します。

歴史的 でせう ませう
現代 でしょう ましょう

コソアドではこのやうに書きませう。

意味は、〜のやうにと同じです。

歴史的 かう さう ああ どう
現代 こう そう ああ どう

現代假名遣ひでああなったと云ふ用法はよく見かけますが、歴史的假名遣ひではああなつたなどと云ふ用法は殆ど用ゐられなかつたやうです。

拗音・促音は普通の大きさで書きませう。

きゃ・きゅ・きょのやうな拗音や、のやうな促音など全て普通の大きさの文字で書きます。

歴史的 ぎゆうぎゆう びゆうびゆう 拂つた 速かつた 賑やかだつた
現代 ぎゅうぎゅう びゅうびゅう 払った 速かった 賑やかだった

其の他

此處 助詞 助動詞 kaheru kaheru uweru moyeru
歴史的 やう ここ ただ ゐる まづ ゆゑ さへ さうだ 變へる 買へる 植ゑる 燃える
現代 よう ここ ただ いる まず ゆえ さえ そうだ 変える 買える 植える 燃える

燃えるは「現代仮名遣ひ」でも歴史的假名遣ひでも同樣に表記します。此れはYEの音が天地の詞の時代には四十八文字の一つとして明確に區別されてゐたのですが、いろは歌四十七文字ではYEEが區別出來なくなつてしまつた爲です。

關聯頁、外

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