【キリのコメント13】
古代の神話では天の岩屋戸とともに最も有名なエピソードであるスサノオのヤ
マタノオロチ退治。
今までのスサノオの描かれ方があまりにも乱暴、粗暴な神として描かれていま
すが、この物語は英雄として描かれています。
物語は、川上から箸が流れてくるシーンで始まります。
箸が流れてくる=人が住んでいるという発想です。
川上に上ると、泣いている老夫婦に出会います。
そして、老夫婦のそばには娘が。
話を聞くと、ヤマタノオロチという大蛇が毎年やってきて、娘を食べていって
しまうと。
すでに、7人食べられ、この娘が最後の娘になるという。
これは、年ごとに雨期になると斐伊川が氾濫して、流域の稲田が壊滅する恐怖
を神話的に語ったと言われています。
クシナダ(奇稲田)姫を囲んで嘆く老夫婦は、水害の発生をおびえる農夫の姿
を描いているようです。
また、ヤマタノオロチの尾からクサナギの剣が発見される話は、斐伊川の上流
一体が優秀な砂鉄の産地で、斐伊川の流域で剣が鋳造されたことも関係したの
かもしれません。
さて、7人の娘をヤマタノオロチに食い殺された老夫婦はただ呆然として、娘
の死を嘆くばかりで、打つ手はありません。
ちなみにこの老夫婦の父親でもある大山津見神は、以前もご紹介しましたが、
この後も子供たちが登場する神です。
この神を祭った神社が、伊予国の一の宮。
後ほどでてきますが、天孫(アマテラスの孫)降臨に際して、ニニギノミコト
の皇妃に迎えられるコノハナサクヤヒメの父でもあります。
なので、「日本総鎮守」の神社になっています。
「大山祇神社」
http://www.e-shimanami.jp/ohmishima/home_new/index.htm
(このHPは大三島町のHPなので、左側中ほどにある「大山祇神社」をクリ
ックしてください)
そんな中、スサノオはクシナダ姫を嫁にくれと頼みます。
まだ、スサノオの名さえも聞いていない老夫婦は驚きますが、アマテラスの弟
というのが分かり了解します。
クシナダ姫を嫁にもらったスサノオは、彼女をクシに変えて、髪にさします。
そして、老夫婦にヤマタノオロチ退治の秘策を指示します。
それを箇条書きにすると…
1."八遍"も繰り返して醸造した強いお酒を用意する
2.垣根を作り、それに"八つ"の門を作る
3.門ごとに8つの棚を作る
4.その棚ごとにお酒を置いておく
です。
八俣大蛇(ヤマタノオロチ)というように、8ずくめですね。
この酒を飲んだヤマタノオロチは眠ってしまいます。
眠ったヤマタノオロチをスサノオが切り刻みます。
八つの谷、八つの丘にまたがるほどの巨大な大蛇のヤマタノオロチを切り刻む
のですが、すごいですね。
あたりは血の海と化したことでしょう。
ヤマタノオロチを切り刻んでいる最中に、一本の尾っぽを切るときに「ガキッ」
と刃こぼれします。
尻尾に何かが入っていると思ったスサノオは、尻尾を調べると…
「クサナギ(草薙)の剣」が出てきました。
これは、天の岩屋戸のときに作られた、「ヤサカノマガダマ」「ヤタカガミ」と
ともに「三種の神器」の一つです。
このクサナギの剣は、スサノオからアマテラスに献上され、後にヤマトタケル
が使用する剣です。
ヤマタノオロチを退治したスサノオは、出雲の国(島根県)大原郡に来て、宮
殿を造り、クシナダヒメと結婚します。
そして、次々に子供が生まれます。
その7世(スサノオを1世と考えます)の子孫が次の主人公「オオクニヌシ」
です。
次回は、古事記の中でも有名なエピソード「因幡のシロウサギ」をご紹介いた
します。