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日本の原典〜古事記物語〜 第13号 2003年8月25日発行
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目次
★古事記物語「第13話 スサノオのヤマタノオロチ退治」
★【キリのコメント】
★【次号の予告クイズ】
★【編集後記】
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<第13話 スサノオのヤマタノオロチ退治>
オオケツヒメノカミを誤解して殺害した後、スサノオは出雲の国(島根県)は
斐伊川上流の鳥髪(船通山)にやってきた。
「おっ、これは…。上流には人が住んでいるようだな。」
川から箸が流れてきたのを見て、スサノオは上流に人が住んでいると思い、上
流に向かうと…
「うぅぅ…。かわいそうな我が子よ」
一人の娘を囲んで泣いている老父と老婆がいた。
「お前たちは誰だ?」
「私たちは、オオヤマツミノカミ(大山津見神←イザナキ、イザナミから生ま
れた神。アマテラスより先に生まれた神です)の子で、アシナヅチ(足名椎)、
テナヅチ(手名椎)と申します。この娘の名は、クシナダヒメ(櫛名田比賣)
と申します。」
「どうして、お前たちは泣いているのだ?」
「私たちには本当は8人の娘がおったのです。しかし、ヤマタノオロチ(八俣
の大蛇)がやってきて、毎年娘たちを一人ずつくらっていったのです。今年
もまたヤマタノオロチのやってくる時期がやってきました。今年は私たちの
最後の娘である、この娘を食い殺されてしまうのかと思うと悲しく、涙が止
まらないのです。」
「そうか。それで、そのヤマタノオロチはどんな形をしているのだ?」
「その目は赤いホオズキのようであり、身は一つだが、頭は八つ、尾っぽも八
つございます。また、身にはコケやヒノキ、スギが生え、八つの谷、八つの
丘にまたがっており、その腹を見ると、いつも血でただれています。」
「なるほどな。それはさておき、アシナヅチよ、お前の娘、クシナダヒメをわ
しの嫁にくれんか?」
「えっ! それはなんと!? 失礼ですが、まだあなた様のお名前も伺っており
ませんが…」
「わしは、アマテラスの弟だ。たった今、天から降り立ったのだ。」
「そ、そうなのですか。それならば娘を差し上げましょう。しかし、この娘は
ヤマタノオロチに狙われる身ですが…」
「それは大丈夫だ。わしがヤマタノオロチをやっつける。いいか、お前たちは
今からわしの言う通りにするのだぞ。そうすれば、必ず娘は助かる。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
そう言って、老夫婦に指示を出す前に、嫁になったクシナダヒメの身を守るた
めに、彼女を爪櫛に姿を変え、髪にさした。
「まずは、八回も繰り返して醸造した強い酒を造り、また、垣根を作り、その
垣根に八つの門を作り、門ごとに八つの棚を置き、その棚ごとに酒を置いて
おくのだ。」
スサノオに言われたとおりの準備を終えた、アシナヅチ、テナヅチ夫婦は、ヤ
マタノオロチがやってくるのを待った。
すると、ヤマタノオロチがすさまじい地響きを立てながらやってきた。
そして、八つの門にそれぞれの頭を入れて、置かれた酒を飲み始めた!
ガブガブとあたりに響き渡る豪快な音を立てながら酒を飲み続けるヤマタノオ
ロチ。
「……グガガガァァァァ」
酒を飲み終えたヤマタノオロチはすさまじいイビキをかきながら、眠ってしま
った。
「よし、今だっ!」
スラリとサヤから刀を抜き放ち、
「エイッ!」
バシュッ!
「ヤッ!」
ブシュッ!
酒を飲んで眠っていたヤマタノオロチを切り刻むスサノオ。
ヤマタノオロチの体から流れる血で斐伊川が赤く染まる。
「ハッ!」
ガキッ!!
ヤマタノオロチの尻尾を切り刻んでいたときに、刀に何か固いものがぶつかり、
刃がかけてしまった。
「な、何だ!? 何が刀に当たったのだ」
刀の先で、その場所をさいて見ると…
「ややっ! この剣は一体!?」
ヤマタノオロチの尻尾から出てきたこの剣は、後にヤマトタケルが使った「ク
サナギノケン(草薙の剣)」である。
「これはあやしい剣だ。姉じゃに献上いたそう。」
…………………
ヤマタノオロチを無事、退治したスサノオは、この出雲の地が気に入り、ここ
に宮殿を造ることにした。
この宮殿を造っているときに、雲が立ち上がったのを見て、スサノオは歌を詠
んだ。
八雲立つ 出雲八重垣 妻籠(ご)みに 八重垣作る その八重垣を
この宮殿で、妻になったクシナダヒメと新婚生活を送ったスサノオは、次々に
子供を生んでいった。
そして、スサノオの7世の孫が、オオクニヌシノカミ(大国主神)である。
<参考文献>
岩波書店:古事記(倉野憲司校注)
講談社学術文庫:古事記(上)全訳注(次田真幸)
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*このページは古事記との違いや、さらに詳細な説明が書かれています。
お時間に余裕がございましたら、ご覧くださいませ。
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【次号予告クイズ】
Q13.オオクニヌシに出会ったとき、因幡のシロウサギ(素兎)はなぜ泣いて
いたの?
1.サメに皮をはがされてしまったから
2.オオクニヌシの兄弟に言われたウソの治療を実施して、傷が悪化したため
3.カメとの競争に負けたため
答えは、次号を読めば分かります。
次号「因幡のシロウサギ」をお楽しみ〜