【キリのコメント14】

 有名な因幡のシロウサギのお話です。

 物語は因幡の国にいる絶世の美女、ヤガミヒメにオオナムヂの兄弟神が求婚に
 むかうシーンからはじまります。

 八十神と書いてヤソガミと呼ぶ、この神々は後で分かりますが、どうやら腹違
 いの兄弟らしいです。

 彼らに下僕のように扱われていたオオナムヂは、ヤガミヒメのところにいく際
 の荷物持ちをさせられます。

 実際の古事記では、このようなセリフなどはないのですが、今回から原文をた
 だ書き下すのではなく、分かりやすさを重視して、会話調で書いていきたいと
 思います。

 そうすることで、原文の良さは失われてしまうかもしれません。
 しかも、セリフを付け足すことで意味を取り違えてしまうかもしれません。

 まだまだ試行錯誤の段階ですが、どうぞ、ご了承ください。

 ヤガミヒメに会いにいく途中で、皮をはがされて丸裸のウサギに神々が出会い
 ますが、彼らはこのかわいそうなウサギをさらに悲惨な状況に追い込みます。

 ここで、ヤソガミの陰険性、悪質性があきらかになります。
 想像してみてください。

 ケガをした部分に、塩をぬりこんで、強い風にあたる…

 …めちゃめちゃ痛そうです。
 (*あ、想像するだけです。本当にやらないでくださいね。痛いですよ)
 
 それが全身ですから、ウサギの痛さは想像以上でしょう。
 しかも、皮にヒビが入るくらいですから。

 痛さのあまり絶叫していたであろうウサギに出会うオオナムヂ。
 彼に話しかけられたウサギは、現状だけでなく、そもそも自分が丸裸にされた
 訳も話し始めます。

 それは、隠岐島にいたウサギが本州に来るためにサメ(古事記では和邇:ワニ)
 をだまして、その背を渡ってくる…ということですが、実はこの陸上の動物が
 海に住む動物をだまして川を渡るという話はインドネシアや東インド諸島にあ
 るそうです。

 インドネシアでは、洪水のために川を渡れなくなった鼠鹿(ねずみしか)が、
 鰐(ワニ)をだまして呼び集め、その背を踏んで川を渡り、愚かな鰐をあざけ
 る…という内容です。

 どうやらこの動物説話はインドネシアなどの南方から伝わったお話のようです。
 そこで、ここでもワニと表記されていて、これがいろいろ議論されるようで、
 隠岐島あたりでは、今もサメをワニと呼んでいるので、これはサメだといわれ
 ていますが、もともとのインドネシアの話がワニなので、そのままワニと表現
 されていたのではとも思います。

 話は戻ってウサギとサメのお話。
 どうして最後の最後でだましたことを言ってしまうのかというつっこみは置い
 ておいて、そのあざけりの言葉のために怒ったサメのために身ぐるみ、もとい
 全身の皮をはがされてしまいます。

 命が助かっただけでもよかったと思うべきかどうかはさておき、そんな状態の
 ときにヤソガミに出会って、ウソを教えられてしまう訳です。

 自業自得とはいえやはりかわいそうですね。

 そんなウサギにちゃんとした治療方法を教えるオオナムヂ。
 彼は、民間で医療の神として信仰されていたそうです。
 この物語は、ウサギを助ける優しさだけでなく、実際に治療もできるというこ
 とを示すことで、この後のオオクニヌシになって日本国を統べる資格が十分に
 あるということも述べているそうです。

 未開社会では、この治療ができるというのは、人々の尊敬を集め、王者になる
 には必要な資格だったみたいです。

 ちなみに、このお話はウサギが白くなったエピソードと思われているかもしれ
 ませんが、古事記自体には、「因幡の素兎」とかかれており、この“素”を白と
 考えるか、はだかと考えるかでいろいろ説が分かれるそうです。

 また、ウサギ自身はもとから白かったようで、古事記でも「元の肌に戻る」と
 ありますので、私個人はこの素兎を「はだかのウサギ」にした方がより分かり
 やすい気がしますが…

 さて、次はオオナムヂが二度も殺される恐ろしいお話をご紹介いたします。
 二度死んで、二度蘇る。
 不死身の男、オオナムヂの物語です。

 それでは〜

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