【キリのコメント37】
今回の話は、古事記では久米歌といって、歌がメインの物語になっており、あ
る意味淡々と神武天皇の東遷が進み、地元豪族の土雲、トミビコ、エシキ・オ
トシを滅ぼし、ニギハヤヒが後を追って天降り、参上するという内容です。
非常にシンプルで簡潔に征服の様子が描かれています。
一方、日本書紀は、より具体的で詳細に東遷の様子が描かれています。
特に大きく違う点は、ニギハヤヒがニニギノミコトと同じく、天孫としてアメ
ノイワフネに乗って天降っており、彼はナガスネヒコという人物の娘を嫁にし、
そのナガスネヒコはニギハヤヒに臣従していた。
なので、ナガスネヒコは神武天皇も天神の子と聞いて混乱し、あろうことか神
武天皇を、天神の子の名を語る「偽者」呼ばわりしてしまう。
それに対して、神武天皇は、「天神の子はたくさんいるが、本当ならば“印”が
あるはず」という。
それを聞いたナガスネヒコは、天神の印(アマノハハヤ、カチユキ)を持って
くる。
それを見た神武天皇は、ニニギニヒが天神の子だと認める。
しかし、自分も同じ天神のしるしを持っているとナガスネヒコに示すと、彼は
ますます混乱し、恐れ、敬った。
にもかかわらず、すでにいくさの準備をしてしまったので、今さら中止できな
いといって、戦いをしかけようとする。
一方、ナガスネヒコが全く改心しない様子を見た、ニギハヤヒは天神が深く心
配しているのは、天孫(神武天皇)のことであると知り、ナガスネヒコに天神
と人とは全く異なる存在だとさとしても聞き入れなかった。
そこで、ニギハヤヒはナガスネヒコを殺害し、部下を率いて神武天皇に帰順し
た。
神武天皇は、ニギハヤヒが確かに天降ったことが分かり、今忠誠のこころを示
したことをほめ、寵愛したという。
そして、このニギハヤヒこそ、物部氏の祖先であると日本書紀は書いています。
というように、今回の話に関しては日本書紀の方が俄然情報量が多いです。
しかも、橿原の宮殿のことも詳しく書かれています。
そして、神武天皇は、127歳まで生きたと書かれています。