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 日本の原典〜古事記物語〜 第28号 2003年12月8日発行
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 <第28話 コノハナノサクヤビメ>

 「あの岬にいる女性は…」

 ここは鹿児島県の薩摩半島西端の笠沙町、野間岬。

 「な、なんと美しい!」

 あまりの美しさにしばしみとれるニニギノミコト。

 「どなたの娘さんなのですか?」

 「私はオオヤマヅミ(大山津見)の娘で、コノハナサクヤ姫(木花之佐久夜昆
  賣)と申します。」

 「あなたには姉妹はいますか?」

 「私の姉にイシナガ姫(石長比賣)がおります」

 「あなたに一目ぼれしました。私と結婚してください!」

 「申し訳ございません。私にはお答えできません。父、オオヤマヅミがお答え
  するでしょう。」

 「分かりました。では、オオヤマヅミ神のもとにご案内ください」

 「どうぞ、こちらです」

 ………………………………

 「コノハナサクヤ姫と結婚させてください!」

 「それは、それは。とてもうれしいお申し出」

 「それでは、結婚を認めていただけるのですね」

 「よろしいでしょう」

 「ありがとうございます」

 …………………………………

 「ニニギノミコト様、コノハナサクヤ姫がご到着されました」

 「おぉ、参ったか!」

 「さらに、オオヤマヅミ神から結婚の祝いの品が届いております」

 「それはうれしい限りだ」

 「ただ…」

 「どうした?」

 「コノハナサクヤ姫だけでなく、その姉、イハナガ姫も一緒に来ておりますが
  …」
 
 「ほぅ」

 「いかがいたしますか?」

 「(あれほど美しいコノハナサクヤ姫の姉なのだから、彼女もさぞかし美しい娘
  なのだろう…)」

 「ニニギノミコト様?」

 「ん? あぁ、それでは、さっそくイハナガ姫に会ってみよう。呼んで来てく
  れぬか?」

 「かしこまりました」

 ……………………………

 「イハナガ姫をお連れしました」

 「!?」

 「イハナガ姫です。父の命で、コノハナサクヤ姫とともにニニギノミコト様の
  妻になるよう言われました」
 
 「そ、そうなのですか…。」

 「どういたしました?」

 「い、いえ、あ、あの…」

 「何でしょう?」

 「せっかくのお申し出ですが、コノハナサクヤ姫をいただけるだけでもうれし
  いのに、ここであなたまで妻にするのは申し訳ありません」

 「…」

 「あなたには私以上のすばらしい神がふさわしいと思います。お越しいただき
  ながら恐縮ですが、オオヤマヅミ神にはそのように申していただけますか」

 「…分かりました」

 …………………………

 「コノハナサクヤ姫よ、そなたは本当に美しい」

 「まぁ、ありがとうございます」

 「それに比べて姉君は…」

 「それはおっしゃらないでくださいませ」
 
 「そうだな、今宵は愛し合おうぞ」

 「はい」

 ……………………………

 「何? イハナガ姫が返されたと!」

 「はい、今は寝室で泣き崩れておられます」

 「…そうか、ええい、ニニギノミコトめ! わしに恥をかかせおって」

 「ひどい男でありますな」

 「全く人の好意を無にしおって」

 「誠でございます」

 「わしが、あれに二人の娘をやったのには訳があったのに」

 「それはどのような?」

 「もし、イハナガ姫を嫁にすれば、ニニギノミコトの命は、雪が降り、風が吹
  こうとも常に岩のように永遠に変わらなかったのに」

 「そうだったのですか」

 「あぁ、しかし、あやつはコノハナサクヤ姫だけを選んだ」

 「となると…」

 「あやつは、木の花のように栄えるが、寿命は、木の花のようにはかないもの
  になるだろう」

 こうして今にいたるまで、天皇の寿命は永遠のものではなくなってしまった。

 <参考文献>
 岩波書店:古事記(倉野憲司校注)
 講談社学術文庫:古事記(上)全訳注(次田真幸)

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 【キリのコメント28】

 *このページは古事記との違いや、さらに詳細な説明が書かれています。
  お時間に余裕がございましたら、ご覧くださいませ。 

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 【次号予告クイズ】

 Q28.わずか一夜でニニギノミコトの子を宿したサクヤ姫。
    一夜で子ができるはずはないと、ニニギノミコトに別の神のこではない
    かと疑われてしまいます。
    そこで、彼女がとった行動は?

    1.産屋を作り、その中に入り、外から火をかけ、そのまま火に焼かれ
      ながら子を産んだ
    2.怒って父、オオヤマヅミの元に帰ってしまった
    3.疑われたことを悲観して、ガケから身を投げてしまった

 答えは、次号を読めば分かります。
 次号「コノハナサクヤ姫の出産」をお楽しみ〜

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