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 日本の原典〜古事記物語〜 第29号 2003年12月15日発行
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 <第29話 コノハナノサクヤビメの出産>

 「あなた」

 「何だい、サクヤヒメ」

 「実は私…」

 「うん?」

 「あなたの子供をみごもったようなの」

 「えっ!?」

 「それで、もうすぐ産まれそうなので、あなたに言っておこうと思って」

 「なんだって!? それは本当に私の子供なのか?」

 「ひどい! どうしてそのようなことを言うの?」

 「だって、君とは昨日契ったばかりではないか? 一晩で子供が産まれるなん
  て聞いたことがないぞ!」

 「でも、この子は確かにあなたの子よ」

 「いやこの子は私の子供ではない。さては、他の神との子ではないか?」

 「…分かりました。あなたがそこまで疑うなら私にも考えがあります」

 「?」

 「この子が他の神の子ならば無事には産まれないでしょう。でも、この子が本
  当にあなたの子供ならば、無事に産まれるでしょう」

 そういってサクヤヒメは、他の神々に頼み、戸口のない大きな産屋を築かせた。

 「一体、どうしようというのだ?」

 「あなたは黙っていてください。いいですか、私が産屋に入ったら言われた通
  りにするのですよ」

 「…本当によろしいのですか?」

 「いいと言っているのです!」

 バタンッ!

 ペタペタペタ…

 「お、おい、お前たち何をしているのだ!」

 パチパチパチ…

 「そんなことをしたらサクヤヒメが死んでしまうではないか! やめろ、今す
  ぐ火を消すんだ!」

 「いけません、サクヤヒメのご命令です。危険ですからお下がりください!」

 ゴォォォォォォォォォォォ

 産屋の入り口を土で塗り固めさせたサクヤヒメ。
 産屋は業火でまさに燃え尽きようとしている。

 「ヒメ! なぜ、こんなことをしたのだ…」

 プスプスプス…

 オギャァァァ!

 「お、おぉ、ヒメ、無事だったのか!」

 「ほら、私の言った通りでしょう? この子はあなたの子供だからこそあの火
  の中でも無事だったのよ」

 「うんうん、疑った私が悪かった。確かにこの子供たちは私の子供だ」

 そういって微笑みながら、ニニギノミコトに手渡した子供の名前は、ホデリノ
 ミコト(火照命)、ホスセリノミコト(火須勢理命)、ホヲリノミコト(火遠理
 命)である。

 <参考文献>
 岩波書店:古事記(倉野憲司校注)
 講談社学術文庫:古事記(上)全訳注(次田真幸)

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 【キリのコメント29】

 *このページは古事記との違いや、さらに詳細な説明が書かれています。
  お時間に余裕がございましたら、ご覧くださいませ。 

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 【次号予告クイズ】

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 Q29.次回の主人公、海幸彦、山幸彦。
    どっちがお兄さん?

 答えは、次号を読めば分かります。
 次号「海幸彦、山幸彦」をお楽しみ〜

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