<第40話 三輪山の大物主神>
神武天皇、綏靖天皇、安寧天皇、懿徳天皇、考昭天皇、考安天皇、考霊天皇、
考元天皇、開化天皇と続き、崇神天皇の治世に疫病が発生した。
「このままでは国民が皆、死に絶えてしまう…。どうすればいいのか?」
心配した崇神天皇は、神意を請うために床に休んだ夜のこと。
「崇神天皇よ」
「…はい」
「私の名は、オオモノヌシ(大物主)。この疫病の流行は私の意志によるものだ」
「…」
「この疫病を鎮めるには、オホタタネコ(意富多々泥古)という人物を探し出
し、私を祭らせるならば、このたたりは起こらなくなり、国内も安らかにな
るだろう」
夢のお告げを聞いた、崇神天皇はすぐに四方八方に急使を遣わしてオホタタネ
コという人物を探させた。
「見つかりました!」
「おぉ、そうか、すぐにここへつれてくるように」
「かしこまりました」
………………………………………
「そなたは誰の子ですか?」
「私はオオモノヌシとイクタマヨリヒメのひ孫、オホタタネコと申します」
「そうですか。よかった。これで天下はやすまり、国民は栄えるでしょう」
こうしてただちに、オホタタネコを神主にし、三輪山にオオモノヌシを祭った。
と、同時に神々の社を定め祭った。
宇陀の墨坂神には赤色の楯と矛を奉り、大阪神には黒色の楯と矛を奉り、また、
坂の上の神や河の瀬の神に至るまで、もれ残すことなく幣帛(みてぐら)を献
上し、お祭りした。
こうして、疫病がすっかりやんで、国内は平穏になった。
………………………………
そもそもオホタタネコが神の子だと分かった訳は…
「イクタヨリヒメよ、そなたはまだ夫もいないはずなのに、なぜ身ごもったの
だ?」
「お父様、実はたいそう立派な男の人が、夜毎に通ってきて、一緒に住んでい
るうちに身ごもってしまったのです」
「その人の名は?」
「…分かりません」
「ふうむ、では、その男の素性を調べてみよう。」
「どうされるのですか?」
「この赤土を床に撒き散らし、糸巻きに巻いた麻糸を針に通して、男の着物の
すそに刺しなさい」
「分かりました」
翌日。
「どうだ、ちゃんと男のすそに針を刺したか?」
「はい、刺しました」
「どれどれ?」
見ると、針をつけた麻糸は戸の鍵穴(!)から抜け通っており、糸をたどって
いくと…
「ややっ! ここは…」
見ると、糸は三輪山に続いており、神の社で留まっていた!
こうして、生まれた子がオオモノヌシの子であることが分かり、そのひ孫のオ
ホタタネコが神の子だというになる。
<参考文献>
岩波書店:古事記(倉野憲司校注)
講談社学術文庫:古事記(上)全訳注(次田真幸)
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*このページは古事記との違いや、さらに詳細な説明が書かれています。
お時間に余裕がございましたら、ご覧くださいませ。
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