第17話 踊りの季節

 「さぁ、皆の者、今日はいくさのことを忘れて大いに踊ろうぞ!」

 「おぉ!」

 「平手は赤鬼を、浅井は黒鬼を、滝川は餓鬼を、太郎左衛門は地蔵を頼む」

 「ははっ!」

 「前野と伊東、市橋、飯尾!」

 「ここに!」

 「お前たちは弁慶役を頼む」

 「かしこまって候!」

 「祝(ほふり)、お前は鷺(さぎ)役だ!」

 「はっ!」

 「して、お館様はいかがされまするか?」

 「わしか? わしはこれだ!」

 「おぉ、なんと美しい天人のご衣裳!」

 「ふふ、さぁ、皆の者踊れや歌えや!」

 ときは、7月18日。
 場所は、津島の堀田道空の屋敷の庭。
 信長自ら天人の衣装を着、小つづみを打って、女踊りをした。

 …………………………………

 「先日はありがとうございました」

 「うむ、こちらも楽しかったぞ」

 「そこで、今日は信長様の素敵な踊りを見せていただいたお礼として、我々の
  つたない踊りを披露したく参上いたしました」

 「ほぅ、それは楽しみだ。さっそく踊ってくれ」

 「では…」

 …………………………………

 「ははは、これはひょうきんだ」

 「ふーむ、よく似ておる」

 年寄りたちの踊りを楽しくながめる信長。
 気安く言葉もかけてやり、信長自身で扇で風を送った。

 「疲れたであろう、さ、さっ、茶を飲まれよ」

 「…かたじけのうございます!」

 「ありがとうございます!」

 「…うぅぅ、なんてやさしいお方なのじゃ」

 「泣くまでのこともあるまいに」

 信長のきさくなふるまいに皆感涙を流して帰って行った。

 <参考文献>
 ニュートンプレス:信長公記(太田牛一:原著 榊原潤:訳)
 角川ソフィア文庫:信長公記(奥野高広、岩沢愿彦 校注)
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 【キリのコメント17】 

 *このページは信長公記との違いや、さらに詳細な説明が書かれています。
  お時間に余裕がございましたら、ご覧ください。

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