第28話 織田信安、謀反

 「山口取手介殿、討ち死に!」

 「土方彦三郎殿、討ち死に!」

 「森三左衛門殿、千石又一と馬上にて切りあい、膝口を切られ負傷!」

 信長のもとに次々と悲報が伝えられる。

 「お館様! 山城道三殿、すでに討ち死にされたのことでございます!」

 「ご注進! 道三殿を討ち取った義竜めが、首実検を終え、ここ大良口へ兵を
  繰り出してきました!」

 「仕方ない、兵を引くぞ」

 そういって兵を引き下げさせた信長軍の前を大河が立ちはだかっていた。

 「しんがりはこの信長が引き受けた! 皆の者、すばやく河を越えるのだ!」

 「ははっ!」

 そういって信長は、自ら乗る船一そうを残して、しんがりを引き受けた。

 「あっ! お館様、義竜の兵がこちらにむかってきております!」

 「あわてるな。鉄砲隊、前へ!」

 「ははっ」
 
 「いいか、敵をよくひきつけるのだ」

 「はっ!」

 「よーし、てーっ!」

 パパパパァーーーン

 「よし、敵がひるんだ。ものども、撤退するぞ」

 こうして無事河を渡った信長を待っていたのは、さらなる悪い知らせだった。

 「申し上げます! 尾張半国のあるじ、織田信安様が義竜と手を結び、清洲近
  くの村に火を放ったとのことでございます!」

 「何!? 信安様が! まことか!」

 「はっ! 確かでございます」

 「ええい、無念だ。ものども、今より岩倉へ向かう。信安が領地を焼き払うの
  だ!」

 「おぉ!」

 こうして、下の郡の半分も信長の敵になってしまった。

 <参考文献>
 ニュートンプレス:信長公記(太田牛一:原著 榊原潤:訳)
 角川ソフィア文庫:信長公記(奥野高広、岩沢愿彦 校注)

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