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戦国の風雲児〜織田信長一代記〜 「第3話 斎藤道三との戦い」
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「今月は、三河の国に出陣したく思います。」
「信秀殿、先月美濃の国を攻めたばかりではないか。」
すでに、尾張の国での信秀の力は他を圧倒し、協力という形ではあるが、信秀
が主導して、他国に攻め入る形式が増えるようになっていた。
天文16年(1547)9月3日には、尾張の国中の兵の支援を受け、美濃の国に
攻め入った。
9月22日には、斎藤道三の居城、稲葉山城のふもとまで押し寄せ、山下の村々
を焼き払う。
「殿、そろそろ日がくれてまいりましたが…」
「そうだな。よし、一旦兵を引くのだ!」
…………………
「殿、尾張勢が兵を引いていきました。今がチャンスかと…」
「あわてるな、半分ほど退いてから、一気に背後を襲うのだ。」
「かしこまりました。」
尾張の兵が半分ほど退いたそのとき、美濃勢はどっと切りかかる。
「殿、斎藤軍が背後から攻めかかって参りました!」
「何!? ええーい、ものどもひるむな。立ち向かうのだ。」
「兄上、ここは私が何としても食い止めます。兄上は一刻も早く安全な場所へ
お逃げください。」
「信康、すまぬ。必ず生きて帰ってくるのだぞ。」
「はい、兄上、どうかご無事で」
「殿! 某も信康様とともに参ります!」
「ならぬ、そなたは信長付の家老ではないか。信長のためにも生きて戻るのだ。」
「信秀様あっての織田家なれば、この青山、命に代えてもまずは信秀様に忠義
を尽くしとうございます。ごめん。」
このときの合戦で、信秀の弟、信康をはじめ、一族の者、また信長の家老、青
山、さらに名のある武将が多数命を失い、尾張勢50人ほどが討ち取られてし
まった。
…………………………
「殿、今度は美濃勢が大垣の城に攻めてきました!」
「何!? 前回の戦いで図に乗りおったな。すぐに軍勢を集めるのだ。それに守
護代の信安様と達勝様にも使いを出すのだ。お二人からも兵をお借りするた
めにな。」
9月末の稲葉山城での合戦で敗れた尾張勢に対して、11月上旬、今度は美濃勢
が大垣の城を取り囲む。
すぐに援軍に駆けつける尾張勢。
木曽川、飛騨川を舟で越え、竹が鼻(岐阜県羽島市付近)に放火し、あかなべ
口(岐阜市)に出撃し、あちこちに火をつけながら進軍する織田軍。
「殿、ここは一旦引いた方がよろしいかと。」
「仕方あるまい、よもや尾張勢がこれだけ早く援軍に来るとはな。前回の敗戦
のダメージがもっとあるかと思ったのだが。」
織田軍が援軍に来たことを知ると、道三はビックリしながら稲葉山城に退い
た。
「殿! 美濃勢が引き上げていきますぞ!」
「恐れをなしたか。よし、今度はこちらが追撃する番だ! 弟、信康のために
も美濃勢をここで一気に叩くのだ!」
「おぉ!」
大垣城の救援に間に合い、撤退した美濃勢をさぁ、追撃しようとした矢先、尾
張から早馬がやってきた。
「殿! 一大事でございます!」
「どうした? 尾張で何か起きたのか?」
「はい、守護代、達勝様率いる清洲衆が殿の留守を狙い、古渡の城へ攻め込み、
辺りに火を放っております。ここは一刻も早いご帰国を!」
「何だと! 達勝様が敵対行動に出たのか! こうしてはおれん。美濃勢の追
撃は止めだ。兵たちに帰国を伝えるのだ。急げ!」
「ははっ!」
……………………
このときから信秀は主君、達勝率いる清洲衆と争うことになる。
それでも、信秀は武力での解決を避けるため、平手を清洲に遣わし、和平交渉
を進めるも、年内には合意に達することはできなかった。
結局翌年秋になってようやく和平の合意をとりつけることができた。
<参考文献>
ニュートンプレス:信長公記(太田牛一:原著 榊原潤:訳)
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*このページは信長公記との違いや、さらに詳細な説明が書かれています。
お時間に余裕がございましたら、ご覧ください。
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【新規登場武将】
斎藤道三:美濃の国を乗っ取った人物。現在は親子二代で美濃守護、土岐家を
追いやったと言われています。後に、娘を信長に嫁に出し、舅にな
るも、息子、義竜に殺されてしまう。