「第37話 将軍義輝、自害」

 「お館様! 足利13代将軍、義輝様がご自害なされました!」

 「何、どういうことだ?」

 「三好修理大夫の手のものによって御所が襲われたようにございます」

 時は永禄8年(1565)5月19日。
 
 「御所様、ただいまより清水寺へ参詣して参ります」

 「そうか。修理大夫よ、これからも頼むぞ」

 「かしこまりました」

 場所は、京都室町御所。
 
 「兵は集まったか?」

 「はっ、早朝から準備を進め、無事整いましてございます」

 「よし、将軍はわしが天下の実権を握ったことを恨んでいるであろう。今攻め
  ねばわしの身が危ない。今から御所に攻め入るぞ!」

 「おぉ!」

 こうして、三好一族は、将軍が自分たちを恨んでいるという気持ちを察してい
 て、自分たちが謀反を企んでいるをうまくごまかし、この日が来るのを待って
 いた。

 「どうした!」

 「申し上げます! 兵が御所に乱入して参りました!」

 「三好修理大夫かっ」

 「いかがいたしましょう」

 「ぜひもなし。刀を持て!」

 「はっ!」

 「打って出るぞ!」

 突然の敵兵の乱入に仰天した義輝であったが、すぐに落ち着き、切って出ては
 敵兵を崩し、あまたの兵に手傷を負わせた。

 「御所様! もう持ちこたえられません」

 「うむ、最早これまでだな。多勢に無勢。皆の者よく働いてくれた」

 「…」

 「火を放て! 私は自害いたす」

 「御所様…」

 こうして将軍、義輝は御所に火をかけ、自害した。

 「よし、義輝は自害したぞ! 弟の鹿苑院はどうした!」

 「平田和泉守が攻めておりますれば、もうすぐ連絡が入るかと」

 「申し上げます! 鹿苑院自害!」

 「そうか、よくやったぞ」

 「但し、平田和泉守殿討ち死に!」

 「何っ! それは誠か!」

 「はっ、鹿苑院の家臣、美濃屋小四郎という年は15、16の若造に討たれた由
  にございます」

 「そやつはどうした」

 「和泉守殿を討ち取った後、主人の後を追い、切腹いたしました」

 「ふーむ、鹿苑院にも忠義の臣がいたのだな」

 こうして、足利13代将軍義輝とその三番目の弟、鹿苑院は三好修理大夫(長
 慶)によって攻められ、ともに自害してしまった。

 <参考文献>
 ニュートンプレス:信長公記(太田牛一:原著 榊原潤:訳)
 角川ソフィア文庫:信長公記(奥野高広、岩沢愿彦 校注)

 +++++++++++++(編集後記)++++++++++++++++
 皆さん、こんにちは。
 キリです。

 今回から巻が変わり、今までの首巻から第1巻に話が移ります。
 舞台も今までの尾張、美濃から、京都に世界が広がります。

 まずは、13代足利将軍、義輝の死を描いています。
 当時、近畿地方に勢力を持っていたのは三好氏。
 もともとは阿波の国にいましたが、管領の細川氏から権力を奪い、近畿一体を
 支配下に置きます。

 その勢力圏の中で足利将軍もほとんど傀儡状態だったのでしょう、三好氏の言
 いなりになっていることを不満に思ったのか、はたまた三好氏の思い過ごしで
 しょうか、結局、三好氏は将軍を殺してしまいます。

 義輝とともに三男も殺されてしまい、残った次男が…後の15代将軍、義昭に
 なります。

 さて、彼の命運は?
 次回をお楽しみに。

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