中部地方の世界遺産登録運動地リスト

▼遺産名の帯が青は主に文化遺産からなる場所、緑は主に自然遺産からなる場所です
▼現況は、過去2年間の動きが不明のもの、中止を明言していないものは「休止中」としました
▼登録の可能性は、弊サイトが独断で判断したものであり、各遺産の価値を絶対的に決定づけようというものではありません


佐渡金銀山
★暫定リスト記載物件
現況:運動中 可能性:★★★
新潟県/佐渡市

経緯
●04年、佐渡市の「市報さど」に「世界文化遺産登録に向けて」連載開始。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●応募の提案名は「金と銀の島、佐渡−鉱山とその文化−」。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査。08年に「石見銀山(06年に世界遺産登録)への追加登録であれば認められる可能性が高い」として、暫定リストへの記載が内定した。
●10年、「石見銀山」への追加ではなく、佐渡金銀山単体での登録を目指すことが決定。
●10年、日本の暫定リストに正式記載。
●詳細は金と銀の島、佐渡

特徴
いくつもの金山・銀山がある佐渡島では、古くから砂金採りが行われ、16世紀以降、本格的な採掘が始まった。17世紀には、世界で産出される金の5%を占め、最大の相川金山のふもとには大規模な港湾が築かれるなど大いに栄えた。[1]



尾 瀬 現況:休止中 可能性:★★★
新潟県/魚沼市
福島県/南会津郡檜枝岐村
群馬県/利根郡片品村

経緯
●96年に作成された講談社刊『ユネスコ世界遺産』シリーズのパンフレットに「1996年末には宮島・厳島神社、原爆ドームが指定される見通しです。さらに奈良、鎌倉、日光、彦根城、尾瀬、富士山などが続々と申請される予定です」との記述がある。
●00年、弊サイト管理人が東京駅八重洲北口の旧国際観光会館で聞き込みを行ったところ、「登録運動の話は聞いたことがない」との情報を得る。その後も「尾瀬では登録運動をしていない」との話を聞くことが多い。日本に世界遺産が広まった90年代半ば、「白神山地や屋久島が世界遺産なら、尾瀬もなれるだろう」との憶測が広がり、独り歩きしたということか?
●03年、環境省の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で尾瀬を含む「奥利根・奥只見・奥日光」が国内19か所の最終候補にノミネートされるも、暫定リストには記載されなかった。

特徴
燧ヶ岳(ひうちがだけ)の噴火でせき止められた只見川に、泥炭が堆積して形成された山地湿原。平均標高は1400m。堆積した泥は厚さ6mにもなる。湿地の大半は電力会社の所有地。かつてダム建設が計画されたが、中止され湿原が守られた経緯をもつ。2005年、ラムサール条約の登録湿地となった。[4][7]



糸魚川(いといがわ)のヒスイ産地 現況:休止中 可能性:★★★
新潟県/糸魚川市

経緯
●00年前後、地元で登録運動があったが、間もなく正式に断念した。

特徴
糸魚川市中西部の小滝川下流のサカサ沢合流点付近は、現在判明している日本で唯一のヒスイの集団産地として、国の天然記念物に指定されている。2009年には洞爺湖有珠山(北海道)、島原半島(長崎県)とともに、日本で初めて「世界ジオパーク」に認定された。[2]



立山・黒部 現況:運動中 可能性:★★
富山県/富山市、黒部市、中新川郡上市町、中新川郡立山町

経緯
●01〜02年、北日本新聞で連載記事「立山・黒部 世界へ発信」掲載。「大V字峡の黒部峡谷を『世界遺産に登録しよう』と、県や地元市町が研究に取り組んでいる」(02/01/05)、「立山黒部自然環境保全・国際観光促進協議会(立山黒部を愛する会、会長・宮腰光寛衆院議員)の意見交換会で『立山の「自然」だけでなく「文化」としても世界遺産登録を目指したい』との意見が相次いだ」(02/12/02)などの記事がある。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募に応募。08年、記載が見送られた。
●応募の提案名は「立山・黒部 〜防災大国日本のモデル−信仰・砂防・発電−〜」。
●詳細は「富山」の文化遺産を「世界」の遺産に

特徴
3000m級の峰々がひしめく立山は富山県屈指の景勝地だが、富山県などは2007年、文化遺産候補として文化庁に「立山・黒部」を提出。独特の山岳信仰や、明治以降の砂防施設、自然エネルギーを利用するための大正以降のダム・発電所などを主体に立候補した。[1]



近世高岡の文化遺産群 現況:運動中 可能性:★★★
富山県/高岡市

経緯
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査されるも、08年に再度記載見送りに。
●11年、市民組織「世界文化遺産をめざす高岡市民の会」が「近世高岡の文化遺産を愛する会」への改称を決定(11/05/25富山新聞)。

特徴
江戸時代、最大の地方政権だった加賀藩。高岡は藩の中心都市ではなかったが、2代藩主前田利長が高岡城を隠居の場とし、3代利常は菩提寺として瑞龍寺を整備した。11代治脩(はるなが)は、古刹の勝興寺を再建し、京都の西本願寺を模した壮大な本殿を建てた。[1]



城下町金沢の文化的都市景観 現況:運動中 可能性:★★★
石川県/金沢市

経緯
●03年、金沢経済同友会が白山と兼六園の登録運動を提唱し、「世界遺産登録推進特別委員会」を設置。
●04年、「白山、兼六園を世界遺産に」キャンペーン推進会議を開く。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査されるも、08年に再度記載見送りに。
●詳細は「石川県に世界遺産を」推進会議

特徴
日本の城下町は、ヨーロッパの都市とは異なり、城壁を持たずに開放的な景観をみせるところに特徴がある。金沢は江戸時代最大の地方政権である加賀藩の中心都市として、日本の城下町の代表例であり、城を中心に庭園や水路、寺院群を配する町割りをいまも見ることができる。[1]



大名庭園群(偕楽園、小石川後楽園、兼六園、岡山後楽園、栗林[りつりん]公園) 現況:休止中 可能性:★★★
石川県/金沢市
茨城県/水戸市
東京都/文京区
岡山県/岡山市
香川県/高松市

経緯
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募した「城下町金沢の文化的都市景観」に兼六園が構成要素として含まれた。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●06年、5庭園の市民団体が交流協議会を設立。各庭園の相互理解やPRが目的だが、「共同で世界遺産登録も目指したい」と発言(06/10/24毎日新聞)。
●07年、文化庁が第2回暫定リスト公募を実施。偕楽園が「水戸藩の学問・教育遺産群」に、岡山後楽園が「近世岡山の文化・土木遺産群」に、それぞれ含まれた。また、第1回に引き続き審査を受けた「城下町金沢の文化的都市景観」には兼六園が含まれた。しかし、3件とも記載は見送られた。

特徴
大名庭園は江戸時代、諸大名が江戸や自らの城下町につくった大規模な庭。従来の書院庭園が建物に付随する存在だったのに対し、大名庭園は庭そのものが主体となっている点が特徴。また、各地の名勝を再現し、写実的な作庭がなされていることも大きな特徴である。[9]



霊峰白山と山麓の文化的景観 現況:運動中 可能性:★★★
石川県/白山市、小松市
福井県/勝山市、大野市、郡上市
岐阜県/高山市、大野郡白川村

経緯
●03年、金沢経済同友会が白山と兼六園の登録運動を提唱し、世界遺産登録推進特別委員会を設置。
●04年、「白山、兼六園を世界遺産に」キャンペーン推進会議を開く。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●応募の提案名は「霊峰白山と山麓の文化的景観−自然・生業・信仰−」。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査されるも、08年に再度記載見送りに。
●詳細は「石川県に世界遺産を」推進会議

特徴
白山は平安時代から神聖視されるようになり、修験道の修業の場にもなった。山中には禅定道と呼ばれる登山道が開かれ、寺院・神社が数多く建立された。ふもとの集落には宿坊群のほか、白山信仰を広めた御師(おし)の集落などが形成された。[1]



一乗谷 現況:休止中 可能性:★★★
福井県/福井市

経緯
●04年頃、地元で登録運動があったが、活動の母体やその後の動静は不明。

特徴
1471年、朝倉初代孝景が居館を一乗谷に移し、四代孝景・五代義景のころ、屋敷と山城(一乗谷城)が整備された。城下町を守るため、2mもの巨岩を組み上げた城戸(きど)、外敵の侵入をさまたげるため山城に100本以上つくられた畝(うね)状空堀群などが特徴。[10]



若狭の社寺建造物群と文化的景観 現況:運動中 可能性:★★★
福井県/小浜市

経緯
●02年、小浜市が「歴史遺産振興室」を設置するとともに庁内委員会を発足し、暫定リスト記載に向けての協議を開始。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●応募の提案名は「若狭の社寺建造物群と文化的景観−仏教伝播と神仏習合の聖地」。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査されるも、08年に再度記載見送りに。
●応募の提案名を「若狭の社寺建造物群と文化的景観−神仏習合を基調とした中世景観」に変更。
●詳細は世界遺産をめざす若狭小浜
★小浜市歴史遺産振興室よりいただいた資料はこちら

特徴
小浜市の多田ヶ岳周辺には、本堂・三重塔が国宝指定されている明通寺をはじめ、重要文化財の社寺が集中。寺院のなかには本堂の前面に多田ヶ岳を遥拝できるよう建物を配置したものもある。自然崇拝や神仏習合など、古くからの信仰形態を伝えている。[1]



越前大野の地下水 現況:運動中 可能性:★★★
福井県/大野市

経緯
●03年以前、「大野の水を考える会」がウェブ上で登録の呼びかけを開始。
●詳細は大野の水を考える会

特徴
市内の至るところに湧き水があり、「名水の町」として知られる大野市。江戸時代から住民が飲料水や野菜の洗い場として使ってきた御清水(おしょうず)は環境省の名水百選に、生活用水の水源となった本願清水(ほんがんしょうず)は、平成の名水百選に選ばれた。



湯之奥金山 現況:運動中 可能性:★★★
山梨県/南巨摩郡身延町

経緯
●02年、甲斐黄金村・湯之奥金山博物館の谷口一夫館長らが登録運動を開始。10月13日付山梨日日新聞に「下部の金山『世界遺産に』」掲載。
●04年、相川金山(新潟県佐渡市)、中尊寺金色堂(岩手県平泉町)、鹿折(ししおり)金山(宮城県気仙沼市)との共同運動を視野に、各保存会などに協力を要請したことが1月10日付山梨日日新聞に「日本の黄金世界遺産に 広域活動へ転換」として掲載された。
●詳細は甲斐黄金村・湯之奥金山博物館

特徴
湯之奥金山は、中山金山、内山金山、茅小屋金山の総称。16世紀から採掘が始まり、17世紀末から18世紀にかけて終息した。最大の中山金山では露天掘りの採掘坑77か所、坑道16か所、居住・作業所だったテラスが124か所ある。[11]



富士山
★暫定リスト記載物件
現況:運動中 可能性:★★★
山梨県/富士吉田市、南巨摩郡身延町、南都留郡西桂町、南都留郡忍野村、南都留郡山中湖村、南都留郡鳴沢村、南都留郡富士河口湖町
静岡県/富士宮市、富士市、御殿場市、裾野市、駿東郡小山町、三島市、駿東郡清水町、静岡市

経緯
●92年頃、「富士山を世界遺産に」という動きが起こる(01/02/23毎日新聞)。
●94年、「富士山を世界遺産とする連絡協議会」が100万人署名運動を開始。246万人の署名を集め、6月に衆参両院議長に登録推薦の支援を請願。12月には「世界遺産リストへの登録を目指して、富士山の保全対策を検討するなど積極的な取り組みを行うこと」と変更した請願を提出し、両院で採択される。
●00年、11月に開かれた文化庁文化財保護審議会の世界遺産条約特別委員会で、将来の世界遺産候補として初めて富士山に触れられる。その際、「価値を高めるための国民の理解と協力が高まることを期待し、できるだけ早期に世界遺産に推薦できるよう強く希望する」とコメントされる(01/02/23毎日新聞)。
●02年、毎日新聞が「富士山が世界遺産になれなかったのは…」とナレーションの入るテレビCMを放送し、富士山のごみ問題を指摘。
●03年、環境省の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で国内19か所の最終候補にノミネート。「自然遺産としての登録は難しい」として暫定リストには記載されなかったが、「今後、文化的景観として登録推薦できる可能性はある」との勧告を受けた。これにより、文化遺産としての登録運動に移行。
●05年、「富士山を世界遺産にする国民会議」設立。文化遺産としての登録を目指す。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。07年にリスト記載の認定を受ける。
●07年、日本の暫定リストに正式記載。
●09年、山梨・静岡両県の合同学術委員会が自然遺産としての価値証明を協議。
●詳細は富士山を世界遺産にする国民会議

特徴
標高3776mで日本最高峰の富士山では、9世紀、噴火を鎮めるための浅間神社が創建された。また、11世紀には修験道の道場となるなど、早くから聖地と見なされてきた。多くの芸術作品のモチーフとなり、日本の象徴としての重要性ももっている。[1]



南アルプス
※単独で運動していた「大井川源流部」を含む
現況:運動中 可能性:★★★
山梨県/韮崎市、南アルプス市、北杜市、南巨摩郡早川町
長野県/飯田市、伊那市、諏訪郡富士見町、下伊那郡大鹿村
静岡県/静岡市、榛原郡川根本町

経緯
●98年、静岡県旧本川根町の鈴木敏夫町長(当時)が「大井川源流部」の世界遺産登録を視野に町おこしを開始。
●03年、環境省の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で「南アルプス」が国内19か所の最終候補にノミネートされるも、暫定リストには記載されず。
●06年、山梨県南アルプス市の石川豊市長(当時)が登録を目指す方針を表明。
●07年、「南アルプス世界自然遺産登録推進協議会」設立。先行して運動していた「大井川源流部」を吸収。
●11年、同協議会の総合学術検討委員会が、重要な特徴点として、地形・地質36項目、生態系・生物多様性44項目を選定(11/02/13毎日新聞)。
●11年、世界遺産登録の前段階として、ユネスコ生物圏保護区への登録を視野に入れた活動を開始(11/05/31南信州新聞)。
●詳細は南アルプス世界自然遺産登録推進協議会

特徴
南アルプスは南北120km、東西が最大で40kmで、3000mが13座ひしめく。山脈南端の大井川源流部は、国内で5か所しかない「原生自然環境保全地域」の一つ。ハイマツ群落の分布南限となっている。[4][6]



九州・山口の近代化産業遺産群
★暫定リスト記載物件
現況:運動中 可能性:★
静岡県/伊豆の国市
岩手県/釜石市
山口県/下関市、萩市
福岡県/北九州市、大牟田市
佐賀県/佐賀市
長崎県/長崎市
熊本県/荒尾市、宇城市
鹿児島県/鹿児島市

経緯
●06年、経済産業省が新日鉄八幡製鉄所(福岡県)などの近代遺産の世界遺産登録支援を表明(06/08/21朝日新聞)。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査。08年にリスト記載の認定を受ける。ただしこの時点では、伊豆の国市の「韮山(にらやま)反射炉」は含まれていなかった。
●09年、日本の暫定リストに正式記載(ただし「韮山反射炉」は含まれず)。
●11年、近代化産業遺産群の世界遺産登録推進協議会総会開催。静岡県伊豆の国市の「韮山反射炉」を「九州・山口の近代化産業遺産群」の構成資産に追加した。

構成資産は次の30件
1.岩手県/橋野高炉跡
2.静岡県/韮山(にらやま)反射炉
3.山口県/前田砲台跡
4.山口県/萩反射炉
5.山口県/恵美須ヶ鼻(えびすがはな)造船所跡
6.山口県/萩城下町
7.山口県/大板山たたら製鉄遺跡
8.山口県/松下村塾(しょうかそんじゅく)
9.福岡県/官営八幡(やわた)製鉄所 旧本事務所
10.福岡県/官営八幡製鉄所 旧修繕工場
11.福岡県/官営八幡製鉄所 旧鍛冶工場
12.福岡県/官営八幡製鉄所 遠賀川水源地ポンプ室
13.福岡県/三井石炭鉱業株式会社三池(みいけ)炭鉱宮原坑施設
14.福岡県/三池炭鉱鉄道敷
15.福岡県/三池港
16.佐賀県/三重津海軍所跡
17.長崎県/長崎造船所向島第三ドック
18.長崎県/木型場(長崎造船所史料館)
19.長崎県/長崎造船所ハンマーヘッド型起重機
20.長崎県/占勝閣
21.長崎県/小菅修船場跡
22.長崎県/高島炭鉱跡
23.長崎県/旧グラバー住宅
24.長崎県/端島炭坑
25.熊本県/三井石炭鉱業株式会社三池炭鉱旧万田坑施設
26.熊本県/三角(みすみ)旧港(三角西港)施設
27.鹿児島県/旧集成館
28.鹿児島県/旧集成館機械工場
29.鹿児島県/旧鹿児島紡績所技師館
30.鹿児島県/祇園之洲(ぎおんのす)砲台跡

特徴
日本の近代化を主導した江戸末期から昭和にかけての製鉄・造船・石炭・紡績遺産群。2011年6月の「世界遺産登録推進協議会総会」で、韮山(にらやま)反射炉が候補に追加された。韮山反射炉は幕末の韮山代官・江川英龍が建設を命じ、1858年に完成。1868年まで操業し、大砲を鋳造した。現存する日本最古の反射炉とされる。[2]



善光寺と門前町 現況:運動中 可能性:★★★
長野県/長野市

経緯
●01年、「善光寺の世界遺産登録をすすめる会」発足。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●応募の提案名は「善光寺〜古代から続く浄土信仰の霊地〜」。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査されるも、08年に再度記載見送りに。
●応募の提案名を「善光寺と門前町」に変更。
●詳細は善光寺を世界遺産に

特徴
善光寺の創建は7世紀。現在の本堂は1707年の再建で、仏殿の前に奥行きのある礼拝空間をつなげた外観は独特。全体で奥行きは52.8mにもなる。寺の南側には大勧進、大本願、常徳院など、およそ40の院坊が連なる門前町が広がる。[1]



松代(まつしろ)大本営 現況:運動中 可能性:★★★
長野県/長野市

経緯
●95年、「松代大本営の保存をすすめる会」が講演会「世界遺産と松代大本営学習会」開催。
●03年頃、松代大本営の世界遺産登録を求める新聞記事がウェブ上に転載される。
●09年、松代大本営の史跡指定を目指す動きのなかで、長野俊英高校郷土研究班の土屋光男教頭が「いつか世界遺産になってほしい」と発言。
●10年、結成25年を迎えた長野俊英高校郷土研究班が「世界遺産に登録」などと今後の夢を発表(10/03/15毎日新聞)。

特徴
太平洋戦争末期、皇居や政府官庁などを移設させる目的でつくられた巨大地下要塞。総延長13キロとなる計画のもと、日本人・朝鮮人労働者の手で急造された。延べ徴用人員は300万人ともいわれる。現在、一部が保存・公開されている。



松本城 現況:運動中 可能性:★★★
長野県/松本市

経緯
●02年、「『国宝松本城を世界遺産に』推進実行委員会」が登録運動を開始。
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査されるも、08年に再度記載見送りに。
●08年、松本市の菅谷昭市長が、「姫路城」(93年に世界遺産登録)に松本城、犬山城(愛知県)、彦根城(滋賀県)を追加登録する構想を発表。
●詳細は国宝松本城を世界遺産に

特徴
国内に現存する12の天守閣の一つで、日本を代表する近世の平城。現在の天守閣は16世紀末〜17世紀初頭に完成した。5層の大天守を中心に3棟の小天守・やぐらが並ぶ。近年、黒門と太鼓門が発掘調査などに基づき推定復元された。[10]



諏訪大社 現況:運動中 可能性:★★★
長野県/諏訪市、諏訪郡下諏訪町

経緯
●10年、諏訪大社の世界遺産登録を活動の柱に掲げる「仮称・諏訪ユネスコ協会」が第1回設立準備会を開く(10/03/12中日新聞)。

特徴
前宮と本宮からなる「上社」と、春宮と秋宮からなる「下社」の2社を合わせて1社を形づくる。本宮・春宮・秋宮は、本殿にあたる建物がないことが特徴で、きわめて原始的な形態をいまに留めている。祭礼は年間64回を数えるが、申年と寅年の式年大祭の御柱祭が有名。[9]



岡谷の製糸資産 現況:運動中 可能性:★★★
長野県/岡谷市

経緯
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募に応募。08年、記載が見送られた。
●応募の提案名は「日本製糸業近代化遺産〜日本の近代化をリードし、世界に羽ばたいた糸都岡谷の製糸資産〜」。

特徴
岡谷では明治以降、独自の繰糸技術や生糸生産技術が開発された。明治44年には、輸出生糸の出荷上位10社のうち、6社を岡谷の会社が占めた。また昭和元年には、岡谷で開発された機械が全国シェア65%を占めるなど、日本の生糸輸出をけん引したのである。[1]



妻籠宿(つまごしゅく)・馬籠宿(まごめじゅく)と中山道 現況:運動中 可能性:★★
長野県/木曽郡南木曽町
岐阜県/中津川市

経緯
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●応募の提案名は「妻籠宿と中山道」で、妻籠宿のみでの運動だった。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査されるも、08年に再度記載見送りに。
●応募の提案名を「妻籠宿・馬籠宿と中山道−『夜明け前』の世界−」に変更。新たに馬籠宿を加え、島崎藤村著『夜明け前』の舞台になったことを付加価値として組み込んだ。

特徴
妻籠宿には本陣・脇本陣を含む江戸時代の旅館建築が多数現存する。馬籠宿と峠集落にも江戸時代以降の町並みが見られ、これらの宿場・集落を結ぶ中山道には石畳や一里塚が残る。島崎藤村の『夜明け前』は、これらの町を舞台に明治維新前後の歴史を描いたもの。[1]



飛騨高山 現況:運動中 可能性:★★★
岐阜県/高山市

経緯
●06年、文化庁の第1回暫定リスト公募に応募。しかし記載は見送られ、「次年度へ継続審査」となる。
●応募の提案名は「飛騨高山の町並みと屋台」。
●07年、文化庁の第2回暫定リスト公募で引き続き審査されるも、08年に再度記載見送りに。
●応募の提案名を「飛騨高山の町並みと祭礼の場−伝統的な町並みと屋台祭礼の文化的景観−」に変更。

特徴
城下町高山では商業経済を重視した町づくりが行われ、町人地が武家地よりも広かった。現在も当時の町並みが残り、伝統的な木造建築技術をいまに伝える。高山では、豪華絢爛な山車(だし)をひく春と秋の祭りも全国的に有名。精巧な山車は「動く陽明門」ともいわれる。[1]



根尾谷断層 現況:休止中 可能性:★★★
岐阜県/本巣市

経緯
●01年、旧根尾村の「月刊地域づくり」に「学術的に価値の高い地震断層が出現 世界遺産登録の運動展開へ」と題する記事掲載。
●04年、合併により旧根尾村は本巣市に。登録運動は終息した模様。

特徴
記録があるなかで、日本史上最大の直下型地震である濃尾地震(1891年10月28日、マグニチュード8.0)。その震源となったのが、総延長80キロの根尾谷断層だ。旧根尾村の水鳥(みとり)地区では落差6mもの崖が出現し、120年を経たいまでも保存されている。[2]



犬山城
※松本城、彦根城と共同で93年世界遺産登録の「姫路城」への追加を目指す運動
現況:運動中 可能性:★★★
愛知県/犬山市

経緯
●08年、長野県松本市の菅谷昭市長が、「姫路城」(93年に世界遺産登録)に松本城、犬山城、彦根城(滋賀県)を追加登録する構想を発表。犬山市は応諾し、同年中に、松本市・彦根市と3市による研究会準備会を4回開催(08/12/13読売新聞)。

特徴
国内に現存する12の天守閣の一つ。二層のやぐらに望楼を乗せた望楼型天守の典型。窓のない土壁づくりの望楼部や、その下につくられた唐破風(からはふ)など、独特の外観をもつ。建物は天守のみ現存するが、石垣と堀も残る。[10]




主な参考資料
[1] 各自治体作成の世界遺産暫定一覧表記載資産候補提案書(一覧)
[2] 文化庁−文化財データベース
[3] 『日本の文化的景観』文化庁文化財部記念物課監修、同成社、2005
[4] 『日本の自然公園』国立公園協会・日本自然保護協会編、講談社、1989
[5] IUCN Red List
[6] 第4回「世界自然遺産候補地に関する検討会」詳細検討対象地域の個票(案)
[7] パンフレット「日本のラムサール条約湿地−豊かな自然・多様な湿地と賢明な利用−」
[8] 『日本大百科全書』小学館
[9] 『世界大百科事典』平凡社
[10] 『日本名城百選』村田修三著、小学館、2008
[11] 甲斐黄金村・湯之奥金山博物館


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