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「攻撃」 |
| 攻撃 1956・米 | |
![]() 製作:監督: ロバート・アルドリッチ 脚本:ジェームズ・ポー 撮影:ジョゼフ・バイロック 音楽:フランク・デ・ボール 出演:ジャック・パランス エディ・アルバート リー・マービン ロバート・ストラウス リチャード・ジャッケル バディー・エブセン ウィリアム・スミザーズ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
物語 1944年の冬。第二次世界大戦中のヨーロッパ戦線。 アメリカ軍とドイツ軍が激しいつばぜり合いを続けていた。 フォックス第一分隊のコスタ中尉(ジャック・パランス)は、部下を丘のトーチカへ走らせた。後方のクーニイ大尉(エディ・アルバート)が援護射撃を約束していたからだった。そこには独軍が機関銃で待ち構えている。 トーチカに走ったコスタの部下たちは機関銃と迫撃砲に会い、身動きが取れない。 「援軍を出さないと無理だ・・・クーニー、クーニー!支援する約束だろ!」 コスタが無線で後方に叫ぶが、クーニーは無視していた。部下たちは次々と倒れ、ほとんど壊滅した。 バートレット大佐(リー・マービン)はクーニーと同郷の友人で、政界進出を目論んでおり、有力者の父親を持つクーニーに便宜を図っているしたたかな男だ。 クーニーはバートレットの思惑を知っており、戦功に対しての表彰状を取ってもらう手筈になっていた。 「まあ、あせるな、こういうことはタイミングが必要だからな」 バートレットはバーボンを飲みながらクーニーを諭した。 「私は帰国しても君を大佐と呼ぶよ」 クーニーは尻尾を振る犬のように言った。「・・・それも悪くない、あの田舎に大佐はいないからな」 ベルギーの一寒村でのポーカーの4人。バートレット大佐、クーニー大尉、コスタ中尉、それに、ウードラフ中尉(ウィリアム・スミザーズ)である。 ゲームの最中、先のトーチカでのクーニーの卑劣な対応に業を煮やしていたコスタはクーニーに食って掛かり、掴みあいになりそうになった。 そこはバートレットが納めたがコスタの怒りは静まらない。 「この隊の士気に問題があります、アーヘンの件です」 ウードラフ中尉はバートレット大佐に訴えた。 「クーニー大尉は逃げたと?」 「大佐は承知でしょう?大尉は分隊を見殺しにしたんです」 「・・・クーニーは私にとって大切だ、わかるだろ?」 「だったら、現実をちゃんと見てください!」 バートレットは言った。「まあ聞け、今後、戦闘は起こらん」 「!・・・本当ですか」 「九分九厘な」 ウードラフはコスタに言った。「そろそろ終戦だそうだ」 「お前は大佐に言いくるめられたのさ」 コスタはクーニーも、グルになっているバートレットも許さない気構えだ。コスタは今度クーニーがしくじったら殺すつもりである。 ラネルの街を攻撃する命令が、バートレットからクーニーへ伝えられた。 「ラネルは君たちにまかす」 バートレットは言った。そして、クーニーはコスタにその命令を伝えた。 ラネルの街は丘の上から一望できる。瓦礫と化した街だが、点在する建物の中に独軍が潜んでいる可能性が高い。目標とする小屋へとりあえず走るのみだ。 「小屋で立ち往生はごめんです」 コスタはクーニーに言った。「何かあれば援護する」 クーニーは答えた。「良く覚えておきます」 コスタはクーニーの目を見つめた。この間の件は忘れないぞと、目が訴えている。 「誓約書を書くか?」 とクーニーも意地を張る。コスタはキッパリ言った。「良く覚えておけ!お前のせいで俺の部下が一人でも死んだら・・・生きては帰さない」 「軍法会議にかけられたいか!証人もいるぞ!」 そばにウードラフもいるのだ。「証人がいれば誤解もないだろう、今度裏切ったら、俺は必ずお前を殺してやる!」 第一分隊、第二分隊と、コスタたちは一定の距離を開けてラネルの街へ向かい歩いていく。ある地点から一斉に走り出した、その時、機関銃の弾が襲ってきた。砲弾の雨が降る。次々と仲間が倒れていく。 目指す小屋へたどり着いたのはコスタはじめ5人だけだった。地下室へ手榴弾を投げ爆発させた。独軍が潜んでいるかも知れないからだが、反応はなかった。 「ここで援軍を待つ」 コスタは電話で援軍を要請した。 電話で要請を受けたクーニーは、惨状を見て怖気づいていた。 「こっちまで危ない、引き上げさせろ」 クーニーが言うと、ウードラフが反撥した。「ラネルを占拠せよとの命令です!」 「私の知ったこっちゃない」 「・・・私は誓ったのです」 と、ウードラフは言った。 5人は小屋の外を見張ったが辺りに人影は見えない。そうする内に地下室に物音がし、銃を構えると人が上がってくる。ドイツ将校と兵卒の二人だった。 コスタは二人に質問した。戦車はあるのか。武器はどのくらいあるのかと。二人は口をつぐむ。 「ジュネーブ協定はご存知でしょうな」 将校があざ笑うような口調で言った。「つまり、我々にしゃべらせることはできない」 コスタは激情し将校をドアの外へ放り出した。たちまち機関銃が激しく将校に集中し、将校は倒れた。将校は味方に撃たれたのだ。 「撃たないでくれ」 兵卒は震え上がった。兵卒が白状したところによると、街は戦車であふれているという。 コスタは再び電話で援軍を依頼したが、そうこうするうちに戦車が建物の陰から姿を現し、こちらに向かってきた。砲身をぐるりと向けてくる。 「我々は撤退する、大砲と煙幕を頼む!」 コスタは叫んでいた。 「絶対に立ち止まるな、誰が倒れようと無視しろ!」 コスタは一人、一人小屋から走らせた。 戦車からの砲弾、機関銃の弾が襲う。リックスが撃たれた。最後に小屋を出たコスタはリックスを背負い走った。だが、途中でリックスは息絶えた。 陣地に戻ったのは3人。ドイツの兵卒一人を捕虜として連れてきていた。コスタは戻っていない。クーニーは自分に反抗的なコスタが死んだと思った。 「コスタの仕返しだ!」 クーニーはドイツの兵卒を殴り倒した。 「ケンタッキーのバーボンだ、遠慮するな」 クーニーはウードラフにバーボンを差し出した。「・・・田舎じゃ皆、ウィスキーが好きですが、尊敬する人としか飲みません」 ウードラフのクーニーに対する最大の侮辱を込めた抵抗だった。 バートレット大佐はラネルに行っている筈のクーニーを見て怒鳴った。 「200人の中隊からたった40名しか行かせなかったのか!」 「粘れと言ったんだが、撤退したんだ」 クーニーが弁解する。 「お前を隊長にしたのは、お前の親父の判事を喜ばせるためだ。街を守れたらお前の尻拭いはしてやる。だが、撤退したら連邦刑務所行きだ!いいか、失敗したら最後だ!」 バートレットはクーニーの胸倉を突き放した。 バートレットに殴られ自棄酒を飲もうとするクーニーにウードラフが立ちはだかる。「酒で勇気がわくとでも思うのか、臆病なだけじゃない、19人の男を殺した殺人犯だ!あんたは米軍の恥だ、軍服を汚してる!」 ウードラフはバーボンの酒瓶を叩き割った。 「・・・軍人になど、なりたくなかった・・・怖いんだよ」 クーニーが泣き始めた。「皆、同じです」 ウードラフは哀れむようにクーニーを見た。 その時、ドアを開けて入ってきたのは死んだと思っていたコスタだった。足に怪我をしている。「クーニーはどこだ!」 手に拳銃をもっている。 「彼はまともじゃないんだ。彼を殺したら大隊へ送検する」 ウードラフが立ちはだかる。 応援に呼ばれたコスタは街に迫り来るドイツの戦車にバズーカ砲を撃ち込んだ。だが続いてやって来た戦車に追い詰められ左手が下敷きになった。苦痛にゆがむコスタ。ここで死ぬ訳にはいかない。左手を抜こうと必死にあがくコスタ。 建物の中ではクーニーとウードラフ、数人の怪我人とが潜んでいた。 「孤立した。答えはひとつ、降伏だ、ジュネーブ条約がある」 クーニーが言った。「まだ早い」 ウードラフが答えた。「命令を下すのは私だ」 クーニーが目をむく。「敵はSSだ。負傷兵は捕虜にさえしない」 とウードラフ。 その時、階段の上のドアが開いた。クーニーは素早く両手を挙げ進み出た。クーニーの顔色が変わった。敵ではなく、それよりも恐れたコスタの姿がそこにあった。 「・・・やあ、クーニー・・・」 コスタは力なく言った。左手がだらりと肩から血に染まりぶら下がっている。一歩、一歩クーニーに拳銃を向けて階段を降りる。「神よ・・・力をくれ、やり遂げる力を・・・」 コスタは力尽き階段を転がり落ちた。クーニーがほくそ笑み、拳銃を掴もうとするコスタから拳銃を足で遠ざけた。コスタが息絶えた。無念の形相は凄まじい。 「さて、元の計画を実行するか」 クーニーが階段を昇ろうとした時、ウードラフが銃を構えた。「一歩でも上がったら殺してやる」 「まあ、落ち着け・・・私はただ、」 一瞬の隙にクーニーが階段を上がり銃を向けた。「俺の命令に従わん奴はこの場でぶち抜いてやる」 そして階段を昇った。ウードラフの銃が火を噴き、クーニーが転がり落ちて動かなくなった。 「・・・俺が生きて出られたら、逮捕してくれ」 ウードラフは他の仲間に言った。「何の話です?クーニー大尉はドイツ兵に撃たれたんです」 「そうさ、ドイツ兵が撃った、俺もジャクソンも見た」 「あのろくでもないクズは殺されて当然だ」 皆、口々に言った。「コスタがやったとしたら中尉は何も話さないでしょ」 「やったのは私だ」 「そうかな」 クーニーの死体に向かって3人が次々と銃弾を放った。 「街は守られた」 米軍の機動部隊がやって来た。バートレット大佐がコスタとクーニーの死体を見た。 「ドイツ兵に入り口で撃たれました」 「立派な死だ」 バートレットはクーニーの死体を見て言う。 「クーニーに殊勲十字章をもらってやろう。書類に署名を頼むよ」 バートレットがウードラフに言った。「・・・強制ですか」 「ただの勲章だ、死んだ男に死刑を宣告するよりマシだろ」 「犯人は死んでません。私です」 「落ち着け」 「もう我慢できない・・・」 コスタの死体が運ばれていく。「いい男だった。彼にも表彰状をやってもいい」 バートレットが言う。「おあいこか・・・」 ウードラフは言った。「軍法会議は甘くないぞ、人生を棒に振る気か」 バートレットはジープに乗り立ち去った。街を米軍の戦車、ジープが走る。 ウードラフはコスタの死体を見てつぶやいた。「ジョー、俺はやる、お前を見習うよ・・・」 その後、ウードラフは師団本部に電話をかけた。「パーソンズ大将を・・・」 ![]() |
| 映画館主から 男くさい映画で定評のあるロバート・アルドリッチ監督が描いた軍隊内部告発映画の傑作。極限状況の中でも無能な上官のもとでは死んでゆかねばならないという意味において反戦映画たり得ています。 ジャック・パランス、エディ・アルバート、リー・マービンという悪相(失礼)のくせ者俳優が3人も揃えばただの映画では終わる筈がありません。 凄まじいばかりの上官に対する執念の演技をジャック・パランスが演じます。 彼は「シェーン」(’53年)で黒尽くめの殺し屋を演じてから悪役の代表みたいな存在になりましたが、本作での彼は命を懸けて戦う戦士です。彼は戦争で受けた火傷による整形手術で一種人間離れした不気味な容貌となったのですが、まさに《男の顔は履歴書》で、以後の映画活動には最大に生かされたのです。 エディ・アルバートは「ローマの休日」(’53年、監督:ウィリアム・ワイラー、主演:オードリー・ヘッップバーン、グレゴリー・ペック)でのカメラマン役もいい味出していました。 更にリー・マービン。本作でもあくの強い世渡り上手の上官をふてぶてしく演じています。 監督のロバート・アルドリッチは、出世作「ヴェラクルス」(’54年)で男くさい西部活劇としての評価を得、「何がジェーンに起ったか?」(’62年)でおぞましいスリラー、「ソドムとゴモラ」(’63年)で聖書劇、「飛べ!フェニックス」(’66年)でサバイバルに挑戦する男たちと、いろんなジャンルで異色作を発表してきましたが、その根底にあるのは“反骨精神でありました。 この「攻撃」は初期作品の中でも“反骨精神”が最も端的に表れた作品と言えると思います。 スタンリー・キューブリック監督の「突撃」(’57年。主演:カーク・ダグラス)と邦題が似ていますが、こちらはフランス軍部の内部告発映画で、一見に値する名品です。 |
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