===================================
 日本の原典〜古事記物語〜第11号 2003年8月11日発行 
 ===================================
 目次
 ★古事記物語「第11話 天の岩屋戸」
 ★【キリのコメント】
 ★【次号の予告クイズ】
 ===================================
 <第11話 天の岩屋戸>
 
 「ズズズゥゥ……」

 天の岩屋戸の扉を閉めたアマテラス。

 「な、なんだ。どうしたんだ!」
 「辺り一面真っ暗になってしまった」
 
 神々が住まう高天の原(たかまのはら)だけでなく、人々の住むアシハラノナ
 カツクニ(葦原中國)も突然闇におおわれてしまった。

 そして太陽のない闇に包まれた日が続いた。

 闇につつまれたのをいいことに、これ幸いとわざわいの神々が不穏な動きを始
 める。

 このままでは、わざわいの神々に国を乗っ取られてしまう。
 一刻も早く、アマテラスに天の岩屋戸から出てきてもらわないといけない…

 やおよろず(八百万)の神々は、あめのやすのかわら(天の安の河原)に集ま
 り、知恵の神、オモヒカネノカミ(思金神)を中心に作戦を練った。
 どうすれば、アマテラスを天の岩屋戸から出すことができるか?

 ………………

 「そうだ!」

 名案が閃いたオモヒカネノカミは、すぐさまそのアイデアを実行に移す。

 「皆の者、ありったけの長鳴鳥(ながなぎどり)を集めて鳴かせるのだ!」

 「かしこまりました!」

 「次に、イシトリドメノミコト(伊斯許理度賣命)はヤタノカガミ(八尺鏡)
  を、タマノヤノミコト(玉祖命)はヤサカノマガダマ(八尺の勾珠)を作る
  のだ。」

 「おぉ! 承知いたしました。」

 「フトダマノミコト(布刀玉命)は、天香山(あまのかぐやま)へ行って、鹿
  の骨を使って占いをし、榊の木を取って、上の枝にヤサカノマガダマを、真
  ん中の枝にはヤタノカガミを、下の枝には木綿と麻をつるしたものを用意す
  るのだ。」

 「分かりました。それでは、さっそく榊を取りに天香山へ行って参ります」

 「頼んだぞ。さぁ、皆の者急ぐのだ。早く高天の原に光を取り戻すのだ!」

 …………………

 準備が整い、最後の手はずを指示するオモヒカネノカミ。
 
 「フトダマノカミは榊を持ち、アメノヤノミコトはノリト(祝詞)を読むのだ。
  そして、アメノタヂカラヲノカミ(天手力男神)はアマテラス様がお隠れに
  なった天の岩屋戸の脇に隠れているのだ。よし、準備はよろしいか。では、
  アメノウズメノミコト(天宇受賣命)、頼んだぞ!」

 天の香山(あめのかぐやま)から取ってきたササの葉を持ったアメノウズメは、
 胸を出した状態で、神がかりにあったように一心不乱に踊りだす。

 それに合わせて、八百万(やおよろず)の神々は大いに笑った。

 「あーはっはっは」
 
 「いいぞー、もっと踊れや、歌えや、大いに騒ごうぞ!」

 「いやぁー、はっは、愉快愉快」

 ………………

 その笑い声は天の岩屋戸に隠れたアマテラスの耳にも聞こえてきた。
 おかしいと思ったアマテラスは天の岩屋戸を少し開け、外の様子をのぞくと、
 アメノウズメが踊り、神々が笑っている姿が目に映った。
 そこで、アメノウズメに話しかけるアメテラス。

 「何やら騒がしいようですね。でも、高天の原は私がいなくなって闇につつま
  れているはず。どうして、お前は歌い踊り、神々は笑っているのですか?」

 「あなた以上に貴い神がお出でになられたのです。だから、私たちは喜び笑っ
  ているのです。」

 アメノウズメがアマテラスと話している最中に、アメノコヤネノミコトとフト
 ダマノミコトが鏡を差し出し、アマテラスに見せると、その鏡には光り輝く神
 の姿が映っていた。

 「(本当に自分以外の日の神が現れたのかもしれない。ここから出てもっとよく
  見ないと…)」

 自分の姿を別の貴い神だと勘違いしたアマテラスは、不安になってもっとじっ
 くりその神を見ようとそろそろと天の岩屋戸から出てこようとした。

 アマテラスが岩屋戸から出てこようとしたそのとき、

 「パシッ」

 岩屋戸のそばに隠れていたアメノタヂカラヲノカミは、アマテラスの手をつか
 み、一気に岩屋戸からアマテラスを引き出した。

 「それっ! 今だ!」

 アマテラスが天の岩屋戸から完全に出てきたその瞬間、フトダマノミコトは、 
 天の岩屋戸に二度と入れないようにしめ縄で封印し、アマテラスに懇願した。

 「これからは二度とこの中に入らないでください。」

 アマテラスが天の岩屋戸から出てくると、辺り一面に光が戻り、明るくなった。

 <参考文献>
 岩波書店:古事記(倉野憲司校注) 
 ===================================

 【キリのコメント11】

 *このページは古事記との違いや、さらに詳細な説明が書かれています。
  お時間に余裕がございましたら、ご覧くださいませ。

 第12話<スサノオの追放と五穀の起源へ>

 戻る


 |  医食同源<体にいい食べもの>  |  週刊「孫子の兵法」  |  週刊「国宝」  |  週刊「論語」  | 
 |  織田信長一代記  |  一日一考  |  古事記物語  |  お城旅行記  |