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戦国の風雲児〜織田信長一代記〜 第12号 2003年11月27日発行
「第12話 弟喜六郎落命」
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6月26日、守山での出来事。
守山城主の孫十郎信次と若侍が川狩りをしているとき…
「やや、何だ、あいつは?」
「殿の前を馬を乗ったままで通るとはなんたるバカ者よ」
「こうしてくれる!」
そういって若侍の一人、洲賀才蔵はキリリと弓を引き絞り、ヒョウッと矢を放
つ。
ドサッ
「一体、誰だったんだ?」
そういって川から上がってその武者の顔をのぞいて見ると…
「あっ!!」
「!!!」
「そんな!」
馬から落馬して絶命している武者は、なんと、信長の弟、喜六郎秀孝だった!
年は、15、16で、肌はおしろいのように真っ白で、赤い唇で、やさしい姿や顔
かたちのうるわしいことは人よりすぐれ、その美しさはなんともたとえようの
ない様子だった。
「なんてことをしてしまったのだ!」
殺した相手が信長の弟と知った孫十郎は身震いした。
そして、とるものもとりあえず、そのまま守山に戻らず、馬にムチを入れてど
こへともなく逃げ去ってしまった。
「何だと、弟が! ええい、許さん!」
家臣からの知らせを聞いた勘十郎信行は、弟の死を知ると、すぐに兵を守山に
送り、町に火をつけ、はだか城にしてしまった。
「何? 喜六郎が?」
カカッ カカッ
信長も清洲から守山までの12キロの道をただ一騎で一気に駆けつけ、守山の
入り口、矢田川で馬の口を洗っているところに、守山城から犬飼内蔵がやって
きた。
「孫十郎殿はすぐにどこかに逃亡してしまい、城内には誰もいません。町は勘
十郎殿が焼き払ってしまいました。」
「そうか。我々の弟なるものが、供を一人もつけず、しもべのようにただ一騎
で駆け回るなど正気の沙汰ではなく、全く興ざめだ。もし、生きていたとし
ても今後とも決して許しはしなかっただろう」
そういってそのまま清洲に帰ってしまった。
<参考文献>
ニュートンプレス:信長公記(太田牛一:原著 榊原潤:訳)
角川ソフィア文庫:信長公記(奥野高広、岩沢愿彦 校注)
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*このページは信長公記との違いや、さらに詳細な説明が書かれています。
お時間に余裕がございましたら、ご覧ください。
+++++++++++++(編集後記)++++++++++++++++
皆さん、こんにちは。
キリです。
最近、コンビニで、横山光輝さんのマンガ「信長」の1巻を読みました。
原作は、山岡荘八さんの同名の小説です。
ちょうど現在書いている、坂井大膳や柴田権六の話や、孫三郎などが出てきて
いました。
山岡荘八さんの小説はすでに読んでいたのですが、あらためてマンガを読んで
いると、話の流れが信長公記と違うのに気づきました。
まぁ、小説なので、問題ないのでしょうが、あきらかに話を作ってしまってい
ます。
あらためて、歴史小説を読んで歴史を分かったように考えるのは危険かもなぁ
と思いました。
マンガに描かれているのは、山岡さんの描いた信長であって、歴史的事実とは
異なっている可能性の方が高いかもとか思いました。
どっちがいいのかは分かりませんが、私の描く信長物語はできるだけ信長公記
をベースに歴史的事実に基づく物語にしていきたいと思います。
なんて、なんだかえらそうですね(^^;