第22話 信行殺害

 「お館様、勘十郎殿が竜泉寺に城を築きました」

 「…そうか」

 「お館様! 柴田権六殿がお館様に火急の用があるとのことです」

 「そうか、すぐに会おう」

 …………………………………

 「して、権六、火急の用とは」

 「はっ、実は勘十郎様のことで…」

 「勘十郎がどうかしたのか?」

 「また謀反を思い立たれているようでございます」

 「…」

 「誠でございます」

 「…して、どのように」

 「はい、上の郡岩倉の織田伊勢守(信安)としめしあわれ、お館様の蔵入れ地
  である、篠木三郷を横領なさろうとしております」

 「ふむ、どうしてそなたがそのことを」

 「…この権六、勘十郎様の家老として忠義を重ねて参りました。が、勘十郎様
  は、津々木蔵人などという若造をかわいがり、おもだった家臣を津々木にお
  付けになり、あのような若造にないがしろにされる日々が…」

 「それを無念に思ってか」

 「…はい」

 「よくぞ申してくれた。感謝いたす。そこで、もう一働きしてくれぬか」

 「かしこまりました」

 「わしはこれから仮病をつかい…」

 そういって信長は、権六の耳元であることをささやいた。

 …………………………………………

 弘治四年(1557)十一月二日。

 「勘十郎や、信長が病気にふせて何日もたつ。兄弟の間がらなのだから、お見
  舞いにゆかれるがいいのではありませんか」

 「そうでございます。ここでお見舞いにいくことで、勘十郎様のお人柄を皆ほ
  めたたえるでしょう」

 「ふーむ、あまり気乗りはせぬが、母上や権六がそこまで言うなら一つ見舞い
  に参ろうか」

 そういって勘十郎は清洲へ信長の見舞いに行った。

 「こちらでお待ちください」

 勘十郎は清洲の北やぐらに案内された。

 「失礼いたします」

 「ん? 何だ、川尻と青貝ではないか、何用だ」

 「お館様の命です」

 「な、何をする、離せ!」

 「ご免!」

 こうして、弟勘十郎信行は信長の手によって自害させられた。
 桶狭間の合戦の3年前の出来事である。

 <参考文献>
 ニュートンプレス:信長公記(太田牛一:原著 榊原潤:訳)
 角川ソフィア文庫:信長公記(奥野高広、岩沢愿彦 校注)
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 【キリのコメント22】 

 *このページは信長公記との違いや、さらに詳細な説明が書かれています。
  お時間に余裕がございましたら、ご覧ください。

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