ここでは、TekuRobo工作室で作ろうとしているロボットの構想についてお話します。これからどんな風にロボット作りを進めていこうか、どんな部品やどんな手法を使ってみようか、など、取りあえず考えていることをご紹介していきます。その時々の期待や思い込みなどもありますが、よければご覧下さい。

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1. 先ず始に...ロボットの構想】 2001/01/08
2. 【AKI-H8によるロボット制御】 2001/06/04
3. 【SH2とPICによるロボット制御】 2002/05/09
4.

【体内LANによるギヤードステッピングモータ制御】

2003/10/30

2001/01/08

■1.先ず始に...ロボットの構想

先ず始めに、どんなロボットを作ろうかという構想をはっきりさせないと、作業が進みません。TekuRobo工作室では、当然のことながら2本足で歩くロボットを目指します。で、以下のようなところを考えつつ、その姿をイメージして行きます。

1.どういう脚にするか

タイヤやキャタピラは考えません。2本足で歩かせたいので脚部を作ることになりますが、股関節、ヒザ、足首を持った脚部といっても、以下のように2種類考えられます。

脚部その1 ニワトリ型

【ニワトリ型】

まず、逆関節タイプです。ヒザの関節が人間とは逆方向に曲がる構造です。ニワトリなどはこの構造です。名前は忘れましたが、ロボコップ(第1作目)に出てくる悪役のロボットは、確かこのタイプでした。いかにもロボットという感じがして、個人的には好きなのですが、普段ヒザの関節が大きく曲がる形となるため、脚部の強度や、ヒザを伸縮させるためのトルクが多く必要な気がするため、今回はやめておきます。

脚部その2 人間型

【人間型】

そして、こちらが人間型です。つまり、私たちと同じように進行方向に向かってヒザの関節が曲がる構造です。HONDAのASIMOやP3、そしてSONYのSDRなど、ヒューマノイド型ロボットはこのタイプです。普段はヒザを軽く曲げる形で、ニワトリ型よりは関節部の強度やトルクが少なくて済むのではないかと思います。ただし、屈伸運動などをさせる場合には、それなりのトルクも必要となります。今回は、この人間型で進めることにします。


2.どうやって動かすか

実際の生き物の場合には筋肉の収縮で関節を動かすのでしょうが、自由に伸縮を制御できて筋肉の代わりに手軽に使える動力源が見当たらないため、やはりモーターを使うことになります。モーターを使う場合、以下のような選択肢が考えられます。

【ステッピングモータ】

加える駆動パルスによって正確に回転角が制御できるモーターで、パルスモーターとも呼ばれています。おそらく現在実用化されているロボットのほとんどは、このステッピングモーターを採用していると思います。マイコン制御に向いているらしいのですが、どれくらいの大きさで、どれくらいのトルクと保持力があるのか分からないし、どこで、いくらで買えるのかも分からないので、今回はパスします。でも、この選択が後々尾を引きそうです...。

【DCモーター】

いわゆるマブチモーターです。これならその辺の模型屋さんで買えるし手軽です。でも、正確に回転角を制御するには不向きです。オモチャの自動車のスピード制御なら簡単ですが、ロボットの関節では駆動部分でせいぜい半回転(180°)しか回さないので、やはり正確な回転角の制御が不可欠です。どうしよう...と迷うところですが、今回はDCモーターを採用します。きっと何とかなるでしょう。DCモーターはギヤボックスで大きく減速し、ゆっくりとした動作と、大きなトルクを得ることができます。

タミヤウォームギヤボックス

ギヤーボックスは田宮模型が何種類か発売していますが、今回は「ウォームギヤボックスH.E」を採用します。このギヤボックスはモーターの回転を336:1にまで減速し、直流3Vの電源で最大トルクは5400g/cm、回転数は30回転/分だそうです。定価850円です。

ウォームギヤ説明

ところで、ウォームギヤって何?という話になりますが、モーター本体の回転軸に図中ピンクのイモネジのようなギヤ(ウォームギヤ)を取り付け、これに灰色のようなギヤ(ウォームホイール)を当てます。イモネジが回転すると、そのネジ山が軸方向に移動し、それにつられて灰色ギヤが回転します。逆に、負荷側からの力で灰色ギヤを回そうとしても、イモネジでストップされて動きません。つまり、停止状態での保持力に優れています。これが最大の採用理由でもあります。


3.どれくらいの大きさにするか

出来るだけコンパクトなロボットを目指したいので、ウォームギヤボックスを実装した時に、最も小さくできる大きさを検討します。脚部だけで、股関節、ヒザ、足首左右、足首前後といった駆動部分が必要となるため、それなりに大きくなりそうです。で、ちょっとCADソフトで書いてみました。

ここから下はちょっと大きな絵なので、ダウンロードに時間が掛かるかもしれませんが、お許しを。

ロボット脚部

図中、緑色で描かれているのがギヤボックスです。ギヤボックスのシャフトには、駆動させる対象物の空回り防止用にピンをはめる穴が開いていて、脚の幅はその穴のピッチで決まります。脚の長さはお互いの機構がぶつからない位置で決まります。腰から下の部分までしか書いていませんが、42.5cmあります。SONYのSDRが身長50cmらしいので、それに比べると小さくもありませんが、とりあえずこんなところかな。この絵は、アルミ板を加工して作ることを前提として書いています。


4.どんな感じで歩かせるか

自分で歩いてみて、どうやって歩いているのか考えてみました。すごく当然のことですが、歩いている時は必ず片足で立つために、僅かですが体重移動を行っています。つまり上体を左右に振りながら軸足に体重を掛けて、もう片方の足を浮き上がらせています。長時間片足で立とうとするならば、完全に軸足に体重を掛けるために大きく体を傾ける必要がありますが、歩いている時にはそれほど完全には体重移動を行っていないようです。つまり、歩いている途中に片足を浮かせた状態で急に停止したら、バランスを崩して倒れてしまうくらいの体重移動です。私たちは、倒れる前に足を着くということで、一連の歩くという連続の動作をスムースに行っています。では、ロボットにはどうやって体重移動をさせたら良いのでしょうか。

【腰を固定する方法】

下の図は、両脚を支える腰の部分をガチガチに固めた状態で、体重移動をさせた場合の例です。腰が固まっているので、足首による傾斜だけで体重移動します。上半身が付いてないので良く分かりませんが、相当派手に上体を左右に振りながら歩くことになりそうです。ひと昔前のB級SF映画あたりに出てきそうなロボットの歩き方です。でも、腰を固定させることにより、構造が簡単で済みそうです。

歩き方1

【腰を使う方法】

下の図は、両脚を支える腰の部分を可動させて体重移動をする例です。腰、両脚、および地面を結ぶ並行四辺形を形作り、腰から上の上半身はほとんど傾くことはありません。体重移動のために、両足首と腰を同期させて駆動する必要があり、ソフトウエア的に結構難しそうです。例えば、両足首だけを駆動させ、腰の部分をフリーにしても下図のような形を取る事は可能ですが、体重移動させた後に片足を持ち上げるという動作が必要なため、やはり腰の部分の動力による駆動は不可欠となりそうです。

歩き方2

以上、どうせ歩かせるなら【腰を使う方法】にしたいと思いますが、まだ先の話なので、この辺は後で考えることにしましょう。


5.どうコントロールするか

今まで書いてきた部分はアクチュエータ、つまり動かす対象についての構想でした。今度は両脚と腰の部分を合わせて10個あまりのモーターをどうやってコントロールするかが最も重要な部分となります。

【全手動タイプ】

全てのモーターに対する電源の供給と極性の切り替えを手元のスイッチで行えば、とりあえず動きます。しかし、あくまでこれは実験の途中段階での方法です。手動で動かしても面白くも何ともありませんし、自律的に動くロボットを目指す上では、あまり意味がある方法ではありません。

【パソコンパラレルポートによる制御】

複数のモーターを制御するためには、やはりコンピュータを使用するのが一番妥当だと思います。パソコンの拡張スロットなどにパラレルポートを追加すれば、パソコンのプログラムによってロボットを制御することが可能となります。プリンタポートなども使えるかもしれません。この場合、パラレルポートからDCモーター制御用のパワーICかパワートランジスタを経由して、実際にモーターを動かすこととなります。でも、ロボットの頭脳は全てパソコン本体ということになります。ここでも、自律的に動き廻るロボットを目指す上では、ちょっと支障があります。

【マイコンボードによる制御】

マイコンボードとは、ワンチップのコンピュータを実装した小さな基板のことです。その大きさは物にもよりますが数センチ四方程度の物があり、ロボット本体に実装させるには十分の大きさです。ひと昔前は、Z80という8ビットのマイコンが良く使われ、現在でも入門用として互換性のあるボードが多数発売されており、関連の書籍も良く見かけます。何か良いボードはないかと探していると、秋月電子通商からAKI-80というZ80互換のボードが発売されていました。手頃でいいかなと思ったのですが、同社から、さらに16ビットマイコンボードAKI-H8なる日立H8/3048CPUをベースとしたボードが目に入りました。

AKI-H8マイコンボード

16ビットマイコンで、フラッシュROM128KB、SRAM4KB、パラレルI/O最大78本、A/D変換8CH、D/A変換2CH、多機能タイマー5CH、シリアルポート2CH、16MHzクロック動作で高速、など、かなり使えそうで、ボードの大きさは横7cm縦5cmと小さく、ボード単体の値段はキットで3800円と、とても安い。もう、これを使うしかないでしょう、という感じです。


6.先ずは片脚から...

以上、構想としては脚の部分までしか出来ていませんが、とりあえず脚から作り始めようかと思います。今後の工作は、だいたいこんな手順で進めることになるでしょう。

【1】先ず片脚だけ作り、マイコンボードによって思うように動かせるようになる。

マイコンボードでモーターを制御する場合、DCモーター制御用のパワーICを使うのが手軽です。で、回転速度やトルクの制御をするため、PWM制御なる手法を取り入れる必要があります。また、例えば屈伸運動などをさせる場合、股関節、ヒザ、足首のモーターをバランスよく連携して動作させる必要があり、そのためのソフトウエアをどう作ったらよいか、といった課題があります。更に、各関節がどれくらいの曲がり具合であるか、を検出するためのセンサーも必要となります。

【2】両脚分を作って、連携して動かせるようになる。

両脚分のモーターを、全て一台のマイコンボードでバランスよく動作させるのは、相当難しくなってくると思います。片脚だけの場合でもそうですが、一連の動きをさせたい場合、以下の2種類のタイプがあると思います。

1)全くシーケンシャルな動作

これは、あらかじめ決められた動きを順に行っていくタイプです。マイコンのプログラムに、あらかじめ各モーターに対する動作をデータテーブル(表)として記述しておき、プログラム上で順にテーブルからテータを読み込み、その通りにモーターを制御して行きます。ここで、複数のモーターを連携良く動作させるために、どういうタイミングでお互いのデータを読み込み、動作させていくのか、といったところが課題です。例えば、単純に一定の期間ごとにデータを読み込むのか、または、あるモーターの動きを基準として別のモーターを動作させるタイミングを作るのか...。どしよう。

2)ある姿勢を保持するフィードバック動作

これは、外からの情報をもとに、自分の姿勢を保とうとするタイプです。例えば、前後左右の傾きを検出するセンサーを脚のテッペンに取り付けます。で、傾きを自由に変えられる不安定な台の上に脚を載せたときに、センサーからの情報を元に、脚自身が倒れないようにバランスを取る制御です。センサーから傾きを示す情報が出力されなくなるように、脚自身の姿勢を制御するようにします。今の私には、どういうソフトウエアにしたら良いのか、見当も付きませんが...。

とにかく、両脚分のモーターを自由に連携動作させられれば、ここでの課題は終了です。

【3】腰を作って両脚を繋ぎ、いよいよ歩行できるようになる。

多分【2】の2)がうまく行けば、腰を含めた姿勢制御も問題ないと思います。片脚で立たせてバランスを取るなんてことも出来そうです(?)。しかし、【2】の1)がうまく行ったとしても、簡単に歩かせることは可能でしょうか。平地で単純に歩くという動作は、基本的にはシーケンシャルな動きだと言えますが、中途半端な体重移動と、それによって倒れることを想定して足を着くといった、前後の動作の連携が重要な、極めて動的なシーケンスが必要になるでしょう。ああ、やっぱり無理かなあ。

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2001/06/04

【2.AKI-H8によるロボット制御】

記念すべき2001年の元旦に始まったこのTekuRobo工作室ですが、早いものでもう6ヶ月が経ちました。この6ヶ月の間にマイコン周辺の回路がほぼ揃い、ロボット本体も足腰が出来上がり、ソフトウエアの開発環境や基本的な組み方も大体ご紹介できました。これからは、いよいよ実際にロボットを制御していくところをご紹介して行きたいと思います。と言っても、まだ自由自在に動かせるわけではありません。力弥の思考錯誤を少しずつまとめながら、出来る範囲でご紹介していきたい思います。

で、先ずは現状の回路構成とロボット本体(足腰)によって、何が出来るのかということをちょっとまとめてみます。

 

■現状の構成で可能な接続と運動

現状のブロック図

 

現在までに製作している回路構成では、8チャンネルのDCモータードライバ回路1個と、外部との接続用にコネクタを追加しているAKI-H8開発ボード1個だけです。そして標準のAKI-H8では、8チェンネルのA/D変換入力までしか対応していないため、現状では8個のモーターまでしか動かすことができません。ちなみにA/D変換入力は、関節角度の検出用です。今回製作している足腰では12個のモーターが付いているので、4個余ってしまうことになります。まあ、しばらくは8個のモーターを自在に動かせるようになることを目標におき、この環境で進めていこうかと思います。

で、12個のうちで動かす8個のモーターをどれにするかですが、上の図の1L、2L、3L、4Lと、1R、2R、3R、4Rのモーターにしようと思います。これらはそれぞれ、太もも、ヒザ、足首の前後方向の駆動と、つま先の向きを回転させるように駆動するモーターです。これだけあれば、取りあえずは屈伸運動と、ガニマタ/ウチマタ運動ができます。

残りの5L、6L、5R、6Rのモーターは、開脚方向と足首左右方向の駆動用で、ロボットを左右に体重移動させるために必要な部分となります。この部分はちょっと後回しになりそうです。

 

■当面のソフトウエア制御の目標

 

当面は、あらかじめ決められたシーケンシャルな動きを行なわせるためのソフトを作ります。動かす関節と、スピードと、停止させる関節角度をデータとして持たせ、その通りに動かします。実はこのような基本的な動きは、脚が一本しかない当時に既に出来ているのですが、より自由度が高く、少しでも滑らかに動くようにしたいと思います。具体的には、同時に複数の関節を動かす場合、お互いの状態を監視しつつリンクを取りながらバランスよく同期して動かす、といったところです。動きを記述するデータデーブルは、パソコンからシリアル通信で流し込もうと思います。データの作成は、表計算ソフトによって表形式で書き込み、CSV形式のファイルに変換してからハイパーターミナルでAKI-H8に流し込みます。そのうちウィンドウズのGUI画面で、ロボットの人形の絵をマウスで摘みながらいろんな格好をさせると、実際のロボットも同じ動きをするようになるかもしれません。

 

その後は、体の傾きを検知するセンサーを取り付け、不安定な台の上に載せても、勝手にバランスを取って立っていられるような、姿勢制御に移ります。足の裏にも何かしらのセンサーが必要になると思います。いよいよ自律的に動かすための第一歩に入ります。でも、これはまだ大分先の話なので、また後でゆっくり考えます...。

 

■次の目標

8個の関節をほぼ自由に動かすことができるようになったら、12個の関節を動かせるように発展させます。ただし、ハードウエア的に12チャンネル仕様に増設しなければなりません。だいたい以下の図のようなブロックになるかと思います。

ちょっと先のブロック図

DCモーター駆動回路は、あと1セット必要になります。そして、8CHまでしかないAKI-H8のA/D入力を増やすため、アナログスイッチICを使ってマルチプレクサ回路を作ります。これで16個のアナログセンサー入力を受け付け、必要なセンサー入力を得たい時には、AKI-H8のPIO出力を使ってスイッチングして取り込みます。この回路構成に発展させるのは、そんなに先のことではないと思います。

これでロボットが左右方向に体重移動できるよになるので、ようやく夢の片脚立ちや、片脚姿勢制御に入ることができます。

 

■更にその後の発展は...

 

アクチュエータ編 8.足腰写真館でご紹介しているロボットの写真を見て頂くと分かりますが、はっきり言って、あまり良い出来ではありません...(; ; 先ず、遊びが多くガタツキが激しい。そして、やはり田宮の工作用ギヤボックスに限界を感じています。強度が低い、トルクが弱い、遊びが大きいなどなど。しかし、力弥はDCモーターを諦めた訳ではありません。世の中にはギヤードモーターというものがあります。これは、DCモーターと減速ギヤの機構が一体となったものです。例えば田宮のギヤードモーターなど、7.2Vの電源で12Kg・cmものトルクを発生するようです。遊びがどの程度かは、まだ分かりませんが、トルクと強度については軽くクリアするでしょう。その代わり、ちょっと重くなったりしますが...。とにかく、ちょっとくらい大きくなっても良いので、しっかりした作りの頑丈な体を作りたいと思うのです。

ギヤードモーターによる二足歩行ロボットといえば、井藤功久氏によるSilf-H1の右に出るものはいないでしょう。その機構や電装、部品配置、使用回路、スタイル、コンパクトさ、どれをとっても溜息がでるばかりの完成度の高さです。ギヤードモーターを使うということは、もはやSilf-H1のスタイルをマネッコするということになってしまうのは必定です。というより、もうあのスタイル以外考えられないといったところまで行き着いていると思うのです。もう、マネッコと言われてもいい!力弥もああいうロボットを作るんだー!と、今は勝手に思っています。

TekuRobo工作室にとって、第二世代とも言うべきギヤードモーター仕様のロボットを作るころには、AKI-H8よりも強力なCPUを求めているでしょう。今はAKI-H8に全然不自由に感じていませんが、次世代のCPUの候補としては、日立SuperHシリーズのSH7051Fあたりを狙っています。

勝手なことを色々と言ってきましたが、目の前の目標を少しずつ進めていくしかないので、マイペースでゆっくり進めていきたいと思います。

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2002/05/09

【3.SH2とPICによるロボット制御】

気が付くと、このコーナーもかれこれ1年間更新していませんでした...(^^;

ロボット作りが全然進んでいないのがバレバレですが、決してサボっていたわけではありません。ちょっとずつではありますが、次の世代のロボット作りの準備を進めていました。とは言っても、その基本設計思想を練ってから、やはり1年近くたってしまいそうな勢いです。本当に月日が経つのは早いものですね。

さて、感慨にふけっている暇はありません。あまりにロボット作りが進まないので皆さんに叱られないうちに、今どんなロボットの構想を持っているのかをご紹介しょう。これらは、既にほぼ準備が整っているものがほとんどです。

 

■当面の制御系統

TekuRobo2号制御系統

TekuRobo2号の動力は、モモ、ヒザ、足首の前後方向がギヤードモータで、左右に体重移動を行なうための股関節と足首部分はサーボモータを利用するハイブリッド方式です。

従来はギヤードモータの角度制御は、メインのCPUボードに直接ポテンショメータのアナログ電圧を与えてA/D変換で検出して、それによって各ギヤードモータに対するPWM制御を行なっていました。しかし、それではメインのCPUに掛かる負担が大きく、本来の姿勢制御が圧迫されるため、ギヤードモータの角度制御部分をPICに任せることにしました。

メインのCPUからはPICに対してサーボモータと同様のPWM波形を投げてあげます。PICではそれを受け取り、各関節のポテンショメータからのアナログ電圧と比較して、ギヤードモータを制御するためのPWM波形を出力します。そのPWM波形は比較的容量が大きなモータドライバIC(L6203)に渡され、実際のギヤードモータをドライブします。

本来PICでは最大4チャンネル分のモータ制御が可能ですが、今回は6チャンネル分を制御するために、3チャンネルづつ、2個のPICで制御を分担します。

これにより、メインのCPUからみれば、12チャンネル全てをサーボモータの制御として扱うことができます。つまり、CPUの負担が軽くなり、姿勢制御に専念できるわけです。今回、メインのCPUにSH2-7045Fを採用します。このCPUボード専用のマザーボードも製作しました。

 

■これからの目標

以上の制御系を組んだら、いよいよ歩行です。実際にはPICによるギヤードモータの角度制御の精度や応答性などについて不安要素がありますが、やはり形だけでも歩行させることを最優先にしましょう。

ハード的に歩行可能であることが確認できたら、歩行のアルゴリズムの研究に入ります。その方面での研究論文などを見させてもらうと、行列によるベクトル計算や、連続的な重心移動計算など、力弥の頭ではとても追いつかないことばかりですが、力弥なりに簡略化したモデルを考えたいと思います。もちろん、形になったら記事でご紹介します。

ハードウエア的には、SH2-7045FだけではPWM波形を12チャンネルまでしか出力できないため、上半身用にもっと多チャンネルのPWM波形が出力できる環境を整備します。今のところCPLDを使ってみようと思っています。デバイス的にはALTERA(アルテラ)にしようと思いますが、そのへんの開発環境の整備や、VHDLでのハードウエア記述言語の使い方なども、順次解説記事を増やしていきたいと思います。

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2003/10/30

【4.体内LANによるギヤードステッピングモータ制御】

さて、1年半ぶりにページを更新します。まだロボット作りやってたのか!とか、諦めてなかったのか!なんて言われそうですが、一応マイペースで進めてます...(^^;; 

前回2002/05/09付けのロボットの構想は、TekuRobo2号という形で一応歩行まで辿り着きましたが、動作の安定性やボディの剛性などの点で納得のいくものではありませんでしたし、ギヤードモーターの制御についてもサーボモータのPWM制御という方式が基本にあり、その枠から抜け切れませんでした。

やはりラジコンサーボというのは良く出来ていて、小型軽量なのに20Kgfcmに迫るトルクが出せて、しかも制御が簡単で精度が高く、まったく言うことがありません。ほとんどの皆さんが利用するのには確かに頷けます。しかし、力弥まで同じ事をやっていたのではTekuRoboの存在意義がありません。で、別の動力を探してみたところ、ギヤードのステッピングモータに出会いました。

もともとステッピングモータは、トルクが小さく回転に振動が伴い、脱調による回転不良を起こしやすい構造を持ちます。しかしその反面、回転させられる負荷の範囲内であれば、与えるパルスの数で回転角度を正確に制御することができる利点があります。今回、ギヤードのステッピングモータを利用することによって、計算上はトルクを15Kgfcm程度で駆動軸を1秒間に半回転程度回せるモータを選定しました。回転角度の制御についても、ギヤードにすることによってギヤ比分だけ精度が向上します。実機検証はこれからですが、それなりの結果を期待しています。

 

■TekuRobo3号機の制御系統

で、以下のブロック図が今回検討しているTekuRobo3号機の下半身の制御系統です。

 

■ギヤードステッピングモータ

ステッピングモータには直径42mm、ギヤ比1/30程度のバイポーラ型ギヤードステッピングモータで検討しています。カタログ上、500ppsの回転速度で約0.7Kgfcm程度のトルクを出します。ギヤ比1/30で減速すると、この時約15Kgfcm程度のトルクで1秒間に約1/3回転する速度となります。ちょっと遅めですが、テスト段階としては十分です。ステッピングモータにはユニポーラ型よりも高トルク、高効率のバイポーラ型を選定します。ステッピングモータの制御には専用コントローラの日本パルスモータ製のPCD4511を利用します。これによって、動かしたい回転角度と速度をパラメータ設定してあげるだけで、関節制御が可能となります。最終的にはエンコーダを使って関節角度の検出を行い、フィードバック制御を行う必要があると思いますが、とりあえずはフィードバック無しで進めてみます。ステッピングモータで回転角制御を行う場合、あくまで相対位置制御となるため、特定の関節角度を原点としてカウントをリセットする処理が必要です。そのためのスイッチか、フォトインタラプタのようなセンサーを設ける必要もありますが、上記のブロック図にはまだ記入していません。

 

■体内LAN

TekuRobo2号までは、CPUからのタコ足配線でモータを制御していましたが、今回は体内LANに挑戦したいと考えています。本当は自動車内の制御に多く用いられているCANを使いたいのですが、CANをサポートするマイコンチップがH8/36037(H8 Tinyシリーズ)など数種類に限られており、チップの入手やコンパイラ環境の整備が手間であることなどから、ちょっと二の足を踏んでいます。ここでは一般的な多ノード間通信の手法であるRS485を試してみようか、などと考えています。これは普通LANとは呼ばないと思いますが、バス接続型で32程度の端末間での相互の通信が可能な規格です。外来ノイズにも強いバランス伝送を行っていますので、安定した通信が期待できます。

分散側のCPUとしてH8 Tinyを使い、これにRS485ドライバとPCD4511コントローラとバイポーラステッピングモータドライバを組み込んだ小基板を作り、各関節用のモータに抱き合わせます。小基板を極力小さく作るのがキーポイントですが、なかなか難しそうですね...(^^;;;

 

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